最新のデジタル技術と施設が生み出す新しい価値体験:東芝テック
【第1回の趣旨】
「デザイン経営」とは、デザインを「企業やビジネスモデルそのものを差別化する経営資源」と捉え、受け手側の体験価値を高め、自社らしさを醸成する経営手法である。デザイン経営モデル研究会の第2期では「『体験価値』と『自社らしさ』を創るデザインの力とは」をテーマに、個性化と高収益を実現する「デザイン経営モデル実践企業」を視察。経営の現場でデザインがどう活用され、他社との差別化、社員の活躍と成長、地域社会との共創を実現しているかを体験する。
当研究会第2期第1回目は、東芝テック株式会社の「RFID技術」を理解し、自社におけるRFID活用モデルを考察。技術を活用するさまざまな業態でロケーションを設定した「体験型展示室」を視察した。新しい体験価値創造モデルの体感・気づきから近未来的思考創造へのアプローチを行った。
開催日時:2023年9月24日(東京開催)
コンセプトルーム「TEC 01 SIGHT SHOWROOM」では、「近未来を自社の技術で体験してもらう」をテーマに人が集まるプラットフォーム(体験型展示室)を設計
はじめに
「モノ創りへのこだわりと挑戦 いつでもどこでもお客様とともに」を経営理念として掲げる東芝テック。世界の流通イノベーションにおいて中心的役割を果たす「グローバルトップのソリューションパートナー」になることを目指している。
電波を用いて非接触でタグの情報を読み取るRFID技術は、さまざまな業態、業界、シチュエーションに対応し「未来の在るべき姿」を描く。
自社内に設けたショールームでは、自社の尖端技術がどのように使われているかを体験できる。体験者とのディスカッションを通して、未来の在るべき姿を追及したり技術の応用ができないかをブラッシュアップしたりしている。
RFID技術は1社1社の顧客に合わせて課題を解決する。タグは各社の課題に合わせた形になるため、種類が豊富だ(出所:東芝テック提供資料)
まなびのポイント1:RFIDの技術の活用モデルを考察
RFID技術は近年目覚ましく発展しており、さまざまな業種・業態で活用されている。RFIDはRadioFrequencyIDentificationの略であり、電波・電磁波を用いたIDシステムだ。情報を記録する小型のICチップとアンテナを搭載したRFタグとRFタグ内のデータを読み取りや書き込みを行う。この技術はメリットデメリットがあり、導入するユーザーはデメリットを把握した上で課題をクリアし、上手に利用する必要がる。
まなびのポイント2:未来を感じ、未来を共に創るショールーム見学
東芝テックは、新しいコンセプトのショールーム「TEC01 SIGHTSHOWROOM」を2020年10月東京都港区にオープンさせた。ショールーム名のTEC01 SIGHTの01には「お客さまの問題を解決に導く」という思いを込め、SIGHTには「次のソリューションを見据える力」を表現している。ショールームは小売り、飲食、製造、物流などさまざまなシチュエーションにおける問題解決の技術を体験してもらい、自社の取り組みへの理解を深めてもらう場となっている。
量販店・コンビニ・アパレルなどの店舗モデルをショールームに設計し、具体的シチュエーションでどのように使われているかを体験できる
まなびのポイント3:さまざまな技術を生かした各業態の活用事例
1.データソリューション
無人店舗ソリューションを中心にIoTデバイスやデータ分析技術を活用した効率的な店舗運営。無人決裁店舗で買い物を体験できる。
2.量販店・アパレル・飲食
スーパー、ホームセンター、GMS、ドラックストア、アパレル量販などは1つの取り引き当たりの買い上げ点数が多い業界である。人手不足が深刻化する中で、効率化生産性UPの解決事例を学ぶ。飲食においても、少人化や効率化の解決法を具体的事例から学べる。