マネジメントDX研究会は、デジタル戦略のケーススタディー・ワークショップを通じてデジタル戦略のロードマップを描くことを目的としている。今期は「従来の見える化手法とDXを横断し、マネジメントをアップデートする」をテーマに掲げている。
第4回は、「デジタルワーク」を研究テーマに、生産性改革・働き方改革によって全社員が夢を持てる現場を作る、そのためのデジタル活用について研究した。
開催日:2024年3月8日(東京開催)
人事統括部 人事部 伊﨑 公司氏
はじめに
1873年に創業し、2023年に創業150周年を迎えたコニカミノルタは、「Imaging」を中心とした材料・光学・画像・微細加工の4つのコア技術で、時代と共に変化する人々の「みたい」に応えてきた。
同社のグループ会社で日本の事業会社であるコニカミノルタジャパンは、ペーパーレス時代に突入し、「OA機器会社のままでは生き残れない」と危機感を抱き、2013年に「働き方改革プロジェクト」を発足。コロナ禍前より、フリーアドレスやフレックスタイム制度、テレワークなどの柔軟な働き方に取り組んできた。
今回は、常に最新の働き方を取り入れてきた同社におけるタレントマネジメント設計の秘話や現場視察を通じ、推進のポイントについて、人事統括部人事部の伊﨑公司氏に伺った。
コニカミノルタは、材料・光学・画像・微細加工の4つのコア技術で時代とともに変化する人々の「みたい」に応えている
まなびのポイント 1:在るべき人財の見える化
製造業などの国内回帰や、医療・公共サービスの地域分散など、事業環境の変化が激しい中で企業が競争力を高めるためには、事業変革・人的資本の強化や加速するデジタル化への対応が迫られる。
そのような中、同社は大切にしたい社会的意識として、「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」を設定した。その上で目指す姿が、「真の社会課題解決企業~人と社会の未来を創る、進化し続けるイノベーション企業~」である。また、「闘う集団への変革」を実現するための人財育成や人財の可視化を行ってきた。
タレントマネジメントシステムでは、役員、組織長、全社、人事部など、階層を分けて機能を展開
まなびのポイント 2:事業貢献につながるHRDXは単なるITシステム投資ではない
事業環境が変わる中、コニカミノルタジャパンにとって必要な人財も変わる。同社では、必要な人財を「顧客価値創造のプロ集団」「個が人財が輝く集団」と設定。この実現には人事部のみでなく、全社において人財の見える化が必要である。
当社では、費用削減目的ではなく、データ収集と利活用を行える基盤を構築し、「経営戦略への貢献を実現する」ためにタレントマネジメントシステムを活用している。
来社した人が利用できるブース。カフェも併設されている
まなびのポイント 3:タレントマネジメントシステムの導入で見えてきた課題
タレントマネジメントシステムを導入し、社員のスキル・経験・意識の可視化だけでなく、役職・組織・年齢別の構成も見える化した。結果として、ピープルアナリティクス(人財の活躍の分析)の難しさや、役員・執行役員など後継経営者が不在であることが明確になった。
そこで同社は、幹部候補生の育成に注力するとともに、長期ビジョン実現に向けた人財DX施策を支える基盤として、迅速なシステム強化・改修、および人財育成を実現する一気通貫の基盤としてタレントマネジメントシステムをアップデートし続けている。
執務室がショールームとなっており、実際に働いている姿を見せることで柔軟な働き方を提案している。また個別ブースも設置もしており、集中したいときに活用できる