中堅・中小企業におけるDXの実態とDX推進事例:株式会社オービックビジネスコンサルタント
当研究会は、デジタル戦略のケーススタディー・ワークショップを通じてデジタル戦略のロードマップを描くことを目的としている。今期のテーマは、「従来の見える化手法とDXを横断し、マネジメントをアップデートする」。
第1回は、築地本願寺様より創建400年のお寺が挑んだDXについて、オービックビジネスコンサルタント様よりバックオフィスDXの要諦についてご講話いただいた。開催日時:2023年9月25、26日(東京開催)
はじめに
オービックビジネスコンサルタントは、「奉行シリーズ」を代表するクラウド会計ソフト・会計システムの開発を手掛けており、中堅企業で約1万5000社、上場企業で約1500社の導入実績がある。バックオフィス領域においては業界の先駆者であり、社内でもDX人材の育成に取り組んでいる。
オービックビジネスコンサルタントHP
まなびのポイント1:リスキリングによる「自律型企業」の実現
日本におけるDXの推進状況は諸外国に比べ大きく後れをとっている。特に、バックオフィス部門はフロントオフィス部門に比べ売り上げに貢献しづらい部署であることから、クラウド化が遅れていた。
もう1つ、日本でDXが進まない課題として「IT人材の不足」が挙げられる。IT人材の育成には企業内でのリスキリングが不可欠であり、米国ではリスキリング機会の提供を義務化しているほどだ。
リスキリングを進める場合、まずはスキルの可視化が重要だ。「人材要件定義」「求人情報」「研修情報」などから、特定職種に求められるスキルを明確にし、常に更新し続ける仕組みを構築しなければならない。
リスキリングの手法としては、「1+3リスキリング」という考え方がある。「経営者のリスキリング」+「3つの従業員のリスキリング(使いこなし・変化創造・仕事転換のリスキリング)」からなっている。この中で最も重要なのが経営者のリスキリングであり、経営者自身がデジタルを学ぶことで社内の変革が生まれる。
DXを実現するには、デジタイゼーションからデジタライゼーションへステップアップするためのIT導入と、IT人材を育成するための社内リスキリングの実行、この両輪で取り組む必要がある。
まなびのポイント2:今後の基幹クラウドサービス
テクノロジーの進化とともに、「システムが人をアシストする」領域が増えることで業務効率化が実現されてきた。基幹システムもオンプレからクラウド、そこからコネクト(連携)へと進み、さらなる効率化につながっている。
また、AIの活用により大量のデータを蓄積・分析し、簡単に最適解を出せるようになった。
結果として、「学習し、動かすテクノロジーの時代」から、「人がシステムをアシストする時代」へと変化している。例えば、ビックデータやAI活用によるクリエイティブ業務領域の自動化である。また、RPAによる業務プロセスの自動化なども挙げられる。
「システムを使って業務を行う」という前提から、「システムによって自動化し、人がシステムをアシストする時代」へと変化しているのだ。
研究会の様子
まなびのポイント3:中堅・中小企業におけるバックオフィスDX推進事例
バックオフィスDXの推進実例については、3社の取り組みを紹介する。
事例1:紙運用からシステム活用へのデジタイゼーション
給与以外の人事労務業務が紙やエクセルによる管理で属人化されていたA社。バックオフィスDXによって、ペーパーレス化などの業務効率改善だけでなく、「いつでも誰でもどこでも業務ができる」体制の構築に成功。
事例2:業務プロセスの自動化(デジタライゼーション)。
従業員数14名のうち、経理業務を1人で担当し、日常業務で精一杯であったB社。経理業務全体のデジタル化で各業務プロセスをつなぐことで、付加価値の高い理想の経理部門へと変革。
事例3:クラウドサービスの統一
統一感のない社内システムをクラウドサービスで一元管理することで、生産性向上と運用管理コストゼロを実現し、より次元の高い業務に専念できる環境に変革。
オービックビジネスコンサルタントが開発する「奉行シリーズ」。主要業務に幅広く対応し、企業全体の生産性向上に貢献