企業は、投資家に求められる価値を創造し、事業から生み出すキャッシュフローや企業価値を最大化させることが重要である。企業価値を最大化させるには事業をスケールさせていく事業ポートフォリオの設計が鍵となる。市場価値を測る「事業性評価」と、経済価値を測る「投資効率評価」を十分にしていくことが必要だ。
第2回のテーマは「事業評価と事業をスケールする成長戦略」。企業価値向上を実現するためにどのような成長戦略を立てるのか、またどのようにして事業価値を評価するのか、具体的な事例や経験談から学ぶ。
開催日時:2023年4月21日
取締役 経営管理本部長 阿部 光良 氏
はじめに
アイドマホールディングスは、コンサルティングやアウトソーシング、営業DXツールなどの営業支援サービスを提供するグループである。
人口減少下において、採用環境は厳しい状況が続いているが、アイドマホールディングスではこれを成長の機会と捉え、人口減少時代に今まで働きたくても働けなかった潜在的な働き手と企業が抱える経営課題を解決する「ワークインフラ」を提供することを目的とした事業に取り組んでいる。
人口減少を成長の機会と捉えどのように戦略を打ち出すのか、また、変化し続ける組織におけるCFOの役割についてご講演いただいた。
まなびのポイント 1:これからの時代に必要な経営手法の理解
2030年には労働人口が710万人減少する見込みであり、特に地方における正社員の採用はよりハードルが上がることが想定される。企業が正社員を採用し成長していくという従来型の経営戦略にはやがて限界が訪れるだろう。
労働人口減少下においても企業成⾧を実現するためには、従来の正社員を採用した拡大戦略のみではなく、新しい経営手法としてクラウドワーカーとテクノロジーの活用が必須である。
アイドマ・ホールディングスの事業展開
まなびのポイント 2:新しい取り組みに挑戦する経営陣のコミットとマインドセットの醸成
経営トップである社⾧は新しい取り組みに対してもコミットしていくことが求められ、経営幹部はその取り組みを行う前提で、想定されるリスクを洗い出し、その管理及び対応方針について整理を行い、現場を巻き込んでいくことが重要である。
そのためには、企業が何を目指すのか、どうなりたいのかのビジョンを設計しなくてはならない。明確なビジョンを持って変化に対応するための施策を打ち出せば、リスクを取るような判断も取ることができる。
経理部の業務分類と業務移行事例。
リモートでやるべき仕事の分類(棚卸と切り分け)を行う
まなびのポイント 3:業務可視化からスタートし、テクノロジーを活用する
社員がクラウドワーカーや新たなテクノロジーを組み込んだ、組織運営の方法論を理解し、そのための組織を社員自らが立ち上げ、運用できるノウハウを資産化していくことが求められる。
まずは業務を難易度と重要度の2軸で整理し、必要な業務、不必要な業務を明確化する「業務の棚卸(可視化)」が必要である。それらを解決するテクノロジーや人材は、無数に存在しており、今後はそれらを有効に活用して業務の効率化を進めることが求められる。