データに基づきデジタル技術を活用した明光義塾のマーケティングDX~孤軍奮闘からの“DX推進”への歩み~:株式会社明光ネットワークジャパン
【第1回の趣旨】
当研究会は、「自社のファンを創造・育成するためのコミュニケーション設計を最先端事例から学ぶ」という趣旨のもと、ゲスト講師をお招きし、LTV向上の成功ポイントについて事例を交えながら紹介している。
第1回では、ゲスト企業に明光ネットワークジャパンとジクウを迎え、リアル・デジタルの観点から自社のブランド・サービス・商品のタッチポイントを創出していくためのDX活用例を紹介していただいた。
開催日時:2022年10月22日
執行役員 DX戦略本部長 谷口 康忠 氏
はじめに
先行きが不透明なVUCA時代において、デジタルテクノロジーが目覚ましい進化を遂げている。そんな中、さまざまな分野で「 DX(デジタルトランスフォーメーション)」を「教育×ビジネス分野」で推進している明光ネットワークジャパンだ。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって起こった消費者の価値観、行動様式、社会システムの変革の波を的確にとらえ、 DXを最重要戦略と位置付けた。顧客のニーズに合わせた個別最適なサービスを提供し、進化を繰り返しながら、デジタルの力で「やればできる」の記憶をつくる「教育×ビジネス」に取り組んでいる。
まなびのポイント 1:自社サービスや商品に基づいた「DXの自社定義」
少子化で人口が減少する中、ここ数年間の学習塾・予備校市場規模は横ばいで推移している。個別指導塾においては、出店が加速しており、競争が激化している様相だ。そこで、明光ネットワークジャパンでは、『属性・行動データに基づく顧客との新規かつ継続的な関係性を築き、デジタルで事業運営の仕組みを変革する』とDXの目的を定義付け、取り組みを推進。
最初は谷口氏一人ではじまった変革だったが、責任者との面談やウェブ上のデータを可視化し全社へ発信するなどして周囲を巻き込むことで、中期経営計画の重点施策として企業全体での取り組みへと発展をさせた。自社のマーケティングファネルの設定や、入会促進に向けたデジタル施策領域を促進するためHubSpotを導入するなど、常に新たなDX戦略の挑戦を実行している。
明光ネットワークジャパンが運営する事業の一部。中核となる明光義塾事業は、1984年の会社設立以来、蓄積された長年のノウハウが詰まっている。
まなびのポイント 2:消費者インサイトを熟知したデジタルマーケティング
デジタルシフトが進んだ現代において、消費者インサイトが大きく変化していることは教育業界でも同様である。以前は生徒や保護者が学習塾に訪問し比較検討が行われていたが、近年では比較検討の場がデジタル上で完結する。学習塾に訪問した段階では、すでに入会までのプロセスの70%が完了している。そのため、顧客のデジタル行動の中で、タッチポイントを増やすことが重要となる。同社では、経験則ではなくGoogleトレンドなどのデータを活用し、マーケット環境を読み取り、マーケティング戦略に生かし、WEB広告改善、MEO対策、SEO対策を実行推進している。また、スマホ学習アプリジャック・公式SNS整備(SNSガイドライン作成)などで、保護者ではなく中高生への直接的なアプローチを新たに行っている。
スマホ学習アプリの活用、SNS整備(ガイドライン策定)による各教室のSNS展開を活性化させる仕掛けを実施
まなびのポイント 3:業務体制を充実させるため攻めのDX戦略
安全(セキュリティ強化)・信頼・業務効率化をポイントに教室運営のDX戦略を展開した。今までフルスクラッチで構築し、運用していたERPシステムをフルクラウド化。データプラットフォーム構築を実装することで、データを抽出・蓄積・変換・可視化した。また、各種アプリケーション戦略で、今までExcelで管理していたデータをDXデータプラットフォームを構築することによってBI化し、大幅な業務改善を実現した。
学習塾業界初となる “みんなが待ってたスマホアプリ” 明光義塾「アプリ塾生証」は、入塾後の生徒・保護者とのコミュニケーションツールとして活用することで、教室長の問い合わせ業務などを削減し、本来の運営業務に集中できる環境づくりに成功した。
2022年業界初となるアプリを展開。保護者や生徒とのスムーズなコミュニケーションをはかり、業務の削減へとつながった