メインビジュアルの画像
研究リポート
ナンバーワンブランド研究会
コロナ後の新しい時代に合わせた最新のブランディングを研究し、参加者の皆様が自社で実装するために、コンサルタントがアドバイス・サポートいたします。
研究リポート 2023.05.26

「おいしい記憶をつくりたい。」キッコーマンのブランドマネジメント キッコーマン

【第4回の趣旨】
リアルとデジタルの融合により、商品やサービス、人材・採用、そして企業価値ですら再定義が必要な時代が到来している。物理的価値や金銭的価値だけではステークホルダーから選ばれない時代でもあり、本質的欲求をもとにした体験価値のデザインが求められているのだ。
ナンバーワンブランド研究会では、コロナ禍で変わった価値観に対して、自社価値の再定義に取り組む企業を紹介。第4回では、特別ゲスト2社が実施しているインナー・アウターブランディングの中でも、課題解決に向けた取り組みと未来戦略についてご講演いただいた。
開催日時:2023年3月22、23日(東京開催)

「おいしい記憶をつくりたい。」キッコーマンのブランドマネジメント:キッコーマン 執行役員 経営企画室 コーポレート政策推進担当部長 大津山 厚 氏

キッコーマン 執行役員
経営企画室 コーポレート政策推進担当部長
大津山 厚 氏

 

はじめに

キッコーマンは、1917年に千葉県野田市で野田醤油として設立。野田のしょうゆ醸造家一族が合同して設立した、キッコーマンの前身となる会社である。恵まれた地の利に安住せず、各醸造家の秘伝の技と知恵を結集し、その技術力と団結によって、より高品質で安定したしょうゆの供給を目指した。

 

六角形に「萬」の字のマークは「キッコーマン」ブランドのおいしさと品質の象徴として受け継がれている。同社は、日本の伝統調味料であるしょうゆの歴史と品質を大切に守り続けつつ、さらなる品質の向上に努めている。

 


 

まなびのポイント 1:食にまつわる幸せな体験を提供する「おいしい記憶」づくり

 

同社はしょうゆの価値の提供に加えて、しょうゆが生み出す幸せな体験や、ストーリーを提供し、さまざまな形で顧客へ提供している。

 

取り組みの一例として、「あなたの『おいしい記憶』をおしえてくださいコンテスト」の開催が挙げられる。このコンテストは、食べ物に関する思い出や体験を共有し、おいしい食事の楽しみや、食べ物がもたらす感動や喜びを広く伝えることを目的に開催。

 

また、食文化や料理の歴史、食材の多様性についても関心を深め、食に関する知識や情報を広めることを目的としており、活動を通じて食に対する関心や興味を高め、より良い食文化を育むことが期待されている。

 

食にまつわる幸せな体験を提供する「おいしい記憶」づくり 読売新聞掲載
読売新聞掲載「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください」作品募集ページ

 

まなびのポイント 2:キッコーマンの想いを伝える取り組み

 

同社はキッコーマンの想いを伝える施策として、「もしも、この国にしょうゆがなかったら。」というテーマでのショートドラマを作成し、YouTubeやテレビ番組で放映している。

 

作成の目的は、日本の食文化に欠かせないしょうゆの重要性を伝えることである。視聴者や消費者に、日本にしょうゆがないという架空の状況を通じ、日常的に使用していることに気づかなかったしょうゆの存在価値や、その味わいの大切さを再認識してもらうことが狙いである。

 

作品を通じて食文化や料理に対する理解を深め、それらを大切にする重要性を示すことも目的の一つだ。さらに、自分たちの食生活や食文化について考え、改善するきっかけを提供することも意図している。

 

キッコーマンの想いを伝える取り組み
同社作成のショートムービー「もしも、この国にしょうゆがなかったら。」

 

まなびのポイント 3:組織活性化ビジョンの浸透による「エンゲージメント」の向上

 

同社は、「企業の想いを明文化して表明し、具体的な取り組みを体系化することが重要」と考え、ブランド構築のステップとして「組織活性化ビジョン」を導入。組織活性化ビジョンは、①ビジョン、②求める人物像、③着任2-3年後の人物像、④ビジョンを実現するための方策、の4項目で構成される。

 

このビジョンを浸透させるべく、同社の取り組んでいる事例の1つが、「組織活性化ビジョン研修」である。所属長が自身のビジョンを発表し、同社COOと研修者が対話を行う。

 

各自研修での学びや気付きを職場に持ち帰り、内容や伝え方をブラッシュアップする、という内容だ。狙いとしては、全職場で所属長とメンバーの対話を通して組織活性化ビジョンを共有することにより、グループ社員が「キッコーマンの約束」に向かって日々成長し、チームとしての一体感を持って課題に取り組むことである。

 

 

ブランディング・戦略PR支援サービス特設サイト