先端事例に学ぶニューノーマルの人材育成DX:ユームテクノロジージャパン株式会社
戦略人事研究会では、「事業と連動した戦略人事を実践する」という企業側の視点と、「社員の活躍を最大化させる」という社員側の視点から、現代に不可欠な戦略人事と組織パフォーマンスを追求していく。
第1回は「組織パフォーマンスの最大化を実現させる人事施策」について、先駆的な取り組みをしている2社に講演いただいた。
開催日時:2022年11月24日(大阪開催)
ラーニングコンサルタント 岡本 智明 氏
はじめに
『「テクノロジー」と「学習の科学」で世の中の学びを変え、その結果、世界をより良いものにする』を企業理念に掲げるユームテクノロジージャパン。同社が提供する学習のプラットフォーム「UMU」は、「2021年度に最もビジネスパーソンからの支持を集めたIT製品トップ50」で第1位に輝く商品であり、従来の集合型研修からの脱却だけではなく、インプットからアウトプットまでの一貫した教育施策に取り組め、日本のさまざまな企業においても、学習効果を高める取り組みを実現したとして多くの功績を残している。「知っている」を「できる」にするために、従来型の教育からの脱却、質の高い教育の実現へ向けた考えやヒントについて他社事例を交えながら講演いただいた。
「知っている」と「できる」の間には大きな壁がある
まなびのポイント 1:企業学習のDX
事業環境が変化し続けているVUCAの時代において、従来通りの画一的な内容の集合研修だけでは、それらの変化に対応し切るのは難しく、リスキリング、アンラーニングなどの企業の学習の在り方にも変革が求めらている。日々、新しく生まれる情報・知識をキャッチアップして、社員個々の意欲や状況に応じた最適な学習コンテンツを提供するためには、企業学習のDXが必須だ。新しい学習コンテンツをタイムリーに提供し、場所・時間に問わず学べる環境、学習データを貯めて活用していく体制の構築が急務である。
VUCA時代に求められる学習の在り方
まなびのポイント 2:自律学習の浸透
研修を用意したが受講率が上がらない、階層別研修をモチベーション高く受講する社員が少ないなど、各企業で社員育成に関する悩みは尽きない。社員の自律学習を実現するためには、多様な動機に対応した学びの仕掛けを作ることがポイントとなる。例えば、学習自体を楽しめるようゲームの要素を取り入れた企業がある。進捗や受講率に応じてレベルやポイントが上がっていく設定になっており、学習者が自ら進んで取り組めるように工夫した。その他の、受講者同士で連絡を取り合うコミュニティーを形成したり、受講者間で競い合えるランキングを導入したりと研修内容だけではなく、“動機づけ”の工夫も考えて取り組むことが重要となる。
まなびのポイント 3:知識・スキル向上の課題と解決策
研修の受講後に確認テストを実施するという従来型の形式で学習した場合、その場限りの学習になり、多くの人が内容を忘れてしまう。企業教育では、復習を個人に任せてしまい、知識の定着に繋がっていない教育になっていることが多くある。そうならないためには、復習する仕組みを構築し、学習内容を短期記憶から長期記憶に変化させる必要がある。
「UMU」導入企業の事例では、研修後に毎日5問のクイズを配信することで、知識定着を図ると共に学習の必要性を理解させるケースや、学習者がカメラに向かってロールプレイングを実施して、その動画をナレッジとして活用したり、動画の内容をAIに評価させるケースなど、工夫を凝らして知識・スキル向上の仕組みを構築している。
エビングハウスの忘却曲線。知識は復習を重ねることで定着する