人口減に加え、65歳以上高齢者のいる世帯が4割を超える「社会課題解決時代」が到来している。さらに2100年の国内人口は高位推計でも5000万人を切ると予測されている。縮小する市場の中で競争を続けていては、業界全体が疲弊するだけで、明るい未来はない。
当研究会では、「住まい」というハードに、「暮らし」というソフトを付加し、商品・サービスの価値を高めること、1人の顧客と末永く繋がり続けること、周辺分野への進出、コミュニティづくりなどを、事例企業から学びながら、業界全体を成長させる【共創】の視点で、業界の継続発展を目指す。
今回は高齢期の暮らし方に焦点を当てる株式会社マザアス様、プロフェッショナル・エージェンシーのパイオニアであるクリーク・アンド・リバー社に講演いただき、住まいと暮らしに関わるプレーヤーとしてできること、また建築業界における新たな価値創造を学んだ。
開催日時:2022年10月19日、20日(東京開催)
吉田 肇 氏
はじめに
2025年、「団塊の世代」の全員が75歳以上の後期高齢者に達する。その時期に向けて、新たな「高齢期の住まい方選択」が求められている。
マザアスはミサワホームグループの理念「住まいを通じて生涯のおつきあい」のもと、住宅メーカー出身の介護会社として創業。国の「地域包括ケア」の方針を受け、住み慣れた地域で「自立」「介助」「介護」の各ステージにおいて、一人一人が「自分らしく」暮らせるようお手伝いをすることを目指している。
まなびのポイント 1:「介護施設」ではなく、「住まい」の視点に立った新発想
マザアスでは介護保険制度が始まる前から現在まで、20余年間にわたる老人ホームの運営をはじめ、「住まい」という視点を大切にしながら、自立から要介護段階までさまざまな介護事業を展開してきた。
住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、また高齢者が安心で快適に過ごせる“わが家”づくりという視点を今後も重視していく。
ミサワホームの企業理念「住まいを通じて生涯のおつきあい」
まなびのポイント 2:「住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続ける」ための仕組み
超高齢社会を見据え、国は「地域包括ケアシステム」の方針を打ち出している。住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供されるシステム、つまり「自立」から「介護」までのネットワーク化が求められており、これはマザアスが創業当初より首都圏で取り組んできたことである。
これまでの事業方式に注力しながら、同社ではこのネットワークを東名阪、札幌地区でも展開していく。
まなびのポイント 3:「ご家族の安心」と「ご利用者の満足」、そして「社会貢献」
今後は特に「看取りのケア」と「認知症ケア」の二大介護テーマに対する独自能力を高めていく。また、介護を通じた社会貢献の“要”となる社員が、「高齢社会に貢献する会社で働き続ける」ことを可能にするために、体制を強化する。
マザアスは過去から培ってきたノウハウとお客様への思いを胸に、利用者、ご家族、社員など、かかわるすべての人に「納得」「満足」「継続」を提供していく。
そして、世界に類を見ない超高齢社会を迎える中、「なくてはならない組織」であり続けることを目指して邁進していく。
高齢者住宅の『看取りからみた分類』