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研究リポート

ライフスタイルビジネス研究会

変容する社会課題や顧客課題を的確に掴み、ドメインとバリューチェーンの拡大を切り口にした新たな「ライフスタイル価値」を創造するための真髄に迫ります。
研究リポート 2023.01.31

スポーツビジネスが実現する地域活性化に繋がる顧客体験価値:株式会社レバンガ北海道

【第2回の趣旨】
ライフスタイルビジネス研究会(第3期)は「CX(顧客体験価値)」を追求し、真のライフスタイルカンパニーへ進化しよう」をコンセプトとして掲げている。第2回では、「①自社事業と地域社会課題を結び付け、社会貢献型ビジネスを構築」「②ライフスタイルカンパニーにおける多角化」「③顧客をファン化するノウハウとその考え方」の3つをテーマとし、それらを実践している2社(レバンガ北海道、竹栄)に講演いただいた。研究会参加者は、講演受講とともに、竹栄が運営する無人店舗「Manhattanstore Mujin(マンハッタンストア ムジン)」を視察し、新たな試みによって生み出されたCXを体験した。

 

 

株式会社レバンガ北海道 代表取締役CEO
横田 陽 氏

 
 

はじめに

北海道初のプロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」を運営する株式会社レバンガ北海道は、「北海道から『人』に『社会』に感動を届け、世の中を笑顔にする。」を企業理念とし、2011年に設立。2016年に横田陽氏が代表取締役CEOへ就任後、初の単年度黒字化を果たし、2022年6月期で6期連続黒字を達成した。売上高は前年度比137.9%の10億7473万円、広告料収入は過去最高益。興行収入はダイナミックプライス(変動価格)により客単価を上げ、前年度比で大幅増となった。

 

「バスケットボールの試合を提供する」というスポーツビジネスにとどまらず、地域の人々の生活に寄り添った活動や企業との連携によって、“ライフスタイルカンパニー”としてのビジネスモデルを設計し、躍進を遂げている。

 


レバンガ北海道の2022-2023シーズン広告


 

まなびのポイント 1:中期経営計画をマイルストーンとし、ビジョン実現に向け成長

 

同社は、「2030年ビジョン」という10カ年ビジョンと、5カ年の「中期経営方針」(×2)を策定し、その計画に沿って成長してきた。中期経営方針を2030年ビジョン達成のマイルストーンと位置付けていることが、同社が持続的に成長している要因の一つと考えられる。

 

実際、「中期経営方針2016(2016-2020)」を「財務基盤構築“赤字体質からの脱却”」と位置付け、バスケ事業を中心とした事業の売上高を主要KGI(重要目標達成指標)に掲げることで、6期連続の黒字を達成している。また「中期経営計画2021(2021-2025)」は「将来構想新B1入会に向けた“新たな経営成長”」と位置付け、バスケ事業以外の新規事業を開発して事業ポートフォリオを再構築。これにより収益基盤の確立を図っていることが、同社のますますの成長につながっている。

 


レバンガ北海道の中期経営方針

 

 

まなびのポイント 2:スポーツ×地域×企業による地方創生およびSDGsへの貢献

 

同社は、事業の本質を「バスケの試合の提供」ではなく、「スポーツによって社会課題の解決に貢献すること」だと考えており、特に地方創生に力を入れている。また、地方創生は「クラブ(レバンガ北海道)」「地域・行政・NPO」「企業」の“三方よし”の連携で実現しようとしている。

 

例えば、学校訪問プロジェクトを実施し、地域の子どもにスポーツの素晴らしさを伝えるととともに、クラブとしてはファンの創出につなげている。また、スポンサー企業のSDGsの取り組みへ、クラブの選手が積極的に参加することにより、スポンサー企業への注目度が高まるという付加価値も生み出している。

 


スポンサー企業のSDGsの取り組みにレバンガ北海道の選手も参加

 

 

まなびのポイント 3:非バスケ事業への投資による企業価値の向上

 

同社の2022年6月期の事業収益は、バスケ事業(広告料収入や興行収入など)が8億2000万円、非バスケ事業(アカデミーや飲食事業収入など)は2億6000万円であった。2018年6月期の非バスケ事業の収益(9000万円)と比べると、3倍近くも成長している。「ホームゲームに勝っても負けても楽しい環境をつくり、負けても応援されるクラブをつくる」ことを目指し、非バスケ事業にもしっかりと投資する資源配分が奏功しているといえよう。

 

単に強いバスケチームをつくるだけではなく、バスケットボールやチアリーディングのアカデミーを開催して子どもとクラブの接点を増やしたり、飲食事業を展開し、スポーツ観戦だけによらない体験価値を生み出し、企業価値を向上させているのである。