「健幸都市こうし」の実現とこれからのまちづくり:合志市役所
官民連携による「地域共生社会実現」に向けた住まいと住まい方:株式会社サンコーライフサポート
新型コロナウイルス感染拡大という全世界的パンデミックにより、医療業界は大きな転換期を迎えている。経営の方法や仕組みを変えることは重要であるが、今も昔も医療を支えるのは“人材”だ。
当研究会では、地域医療の未来と課題解決を参加者と考え、「2040地域ケア型経営モデル」の実現に向けたヒントとなる取り組みを紹介している。第4回では、「人的資本経営」をテーマに各分野のスペシャリストが登壇した。
開催日時:2022年10月25日(大阪開催)
サンコーライフサポート 代表取締役社長 橋本 一郎 氏(右)
はじめに
合志市は熊本県の北部内陸部に位置する人口約6万人の市である。熊本市に隣接した南西部一帯に新市街地を形成し、熊本市のベッドタウンとして人口は増加傾向にある。そんな合志市で2004年に創業したサンコーライフサポートは、福祉から建築・不動産へと事業を展開し、近年は行政とのさまざまな取り組みにより、「健幸都市こうし」の実現に貢献している。今回は、合志市役所・サンコーライフサポートより、日本の高齢化対策の見本となる都市の在り方を聞いた。
まなびのポイント 1:産官学連携による「健幸都市こうし」の実現
少子高齢化が進む日本において、合志市でも就学以下・30歳前後の人口層は増えているものの、高齢化は着実に進行している。そのような中、「健康で幸福な社会を目指す」をコンセプトに掲げ、全ての市民が健康で穏やかに、安全に、安心して暮らすことができるまち「健幸都市こうし」の実現に向け、産官学連携を積極的に推進している。
熊本大学や、スポーツクラブを展開するルネサンスとの共同による健康データの取得や研究への活用、産学連携による地元産野菜を活用した健幸弁当事業はほんの一部である。今後の“健幸”な社会を考える上で、産官学連携がより一層、鍵となることは間違いない。
まなびのポイント 2:課題解決型企業が選ばれる時代
サンコーライフサポートが合志市で事業を開始して18年、「住まい事業」=建築・不動産事業、「住まい方事業」=福祉・障がい者支援・保育を主要ドメインと位置付け、地域の課題解決型企業として取り組みを進めている。
合志市居住支援協議会の一次会員でもあり、支援が必要な人を見つけ出す取り組みや、空き家をつくらないための高齢者の終活支援を地域一体で行っている。このような取り組みが、結果的に行政・地方公共団体との考えと合致し、安定的な案件受注につながっている。
サンコーライフサポートの事業ドメイン
まなびのポイント 3:“人と人”、“人と資源”が世代や分野を超えてつながる
サンコーライフサポートは、「地域共生社会」の実現を目指している。それは、地域住民や地域の多様な主体が参画し、“人と人”、“人と資源”が世代や分野を超えてつながり、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともに作る社会である。
今後は、「健幸都市こうし」の実現に向けた高齢者向けの食事指導や、農業参入企業を支援して誘致する新たなプロジェクト検討、障がい者を含めたさまざまな人が暮らす「福祉村」をつくり、就労・居住支援を行っていくという。地域が一体となることで誰一人取り残さない仕組みづくりが、今後のヘルスケア業界に求められている。
デンマークのまちづくりを参考に、「合志市版 福祉村」の構想を描いている