住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会では、「住まい」というハードに、「暮らし」というソフトを付加し、商品・サービスの価値を高めること、1人の顧客と末永く繋がり続けること、周辺分野への進出、コミュニティーづくりなどを、事例企業から学びながら、業界全体を成長させる【共創】の視点で、業界の継続発展を目指す。
第3回は、住まいと暮らし業界と親和性の高いライフスタイルビジネス研究会との共同開催により、業界を越えて新たな価値創造を学んだ。経営理念を刷新するなど常に変化し続けるサンワカンパニーと、純利益31%増と業績好調のLib Workに自社の強みを発揮する秘訣を学んだ。
開催日時:2023年1月19日、20日(大阪開催)
代表取締役社長 瀬口 力 氏
はじめに
インターネットやVRを活用して住宅・不動産を販売しているLib Workが、業界内外から注目されている。ウェブを駆使した常識を打ち破るような新しいビジネスモデルで成長し、2015年には福岡商圏取引所へ、2019年には東証マザーズへ上場した。また、「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング(九州・沖縄エリア版)」において、住宅・不動産業界の企業の中でトップにランクイン。「インターネットで『家』を売る企業」から「『暮らし』を『創造』する企業」への成長を目指す同社の、圧倒的な採用力や、純利益31・9%増(前期比、2022年6月期連結決算)と業績好調の要因を学ぶ。
まなびのポイント 1:インターネット展示場やSNSなどのデジタル技術活用による集客の仕組み
従来の業界の常識であったモデルハウスでの営業から、デジタル化を推進しウェブでの集客へといち早くシフトした同社。「SUUMO」や「アットホーム」など大手ポータルサイトに頼ることなく独自のメディアを構築した。「エリア×土地」などのようにカテゴリー別にメディアを展開。「断熱材」や「注文住宅」などさまざまなコンセプト設けた中で、成功と失敗を経験しながら、結果的には「尖ったコンセプトであればあるほどHOTなリードが獲得できる」ことを知った。
2020年、デジタル技術の進化が進む中、5G時代を見据えた同社は、事業に変革をもたらせるよう画像のデータを全て動画へ入れ替え、YouTubeの活用に踏み出した。現在、チャンネル登録数は5万人超、動画の総再生回数は1800万回以上を誇る。直接的な受注を狙わず視聴者に楽しんでもらうことを意識してコンテンツを制作しているという。
Liv Work独自の集客メディア「e土地net」「e平屋net」「e注文住宅net」。コンセプトが尖れば尖るほどホットなリードが獲得できる
まなびのポイント 2:SNSの活用による業務効率化やデータベース化によるサブスク収益の創出
熊本地震の復興需要により業務が多忙を極めていたころ、現場管理において行程管理とチャットによるコミュニケーションが図れる現場管理SNS「kizuku」を導入。導入後、現場の進捗を写真で確認することができるため、現場監督が現場へ出向く回数が削減され、監督が受け持つ案件の数は2倍となった。
また、「my Home Robo」という新築ビルダーや工務店向けの画期的なサービスをリリース。数千ものプランから顧客の要望に合わせた設計図面をスピーディーに提案できるというサービスだ。社員個人のスキルに左右されずに高いレベルの提案ができるため設計担当者の負担を減らせ、業務の効率化や人件費削減につながる。
「my Home Robo」では、AIが施主に合った最適なプランを提案したり、高画質CGパースとVR閲覧用の二次元コードを配置したプレゼンボードを自動作成する
まなびのポイント 3:2023年度卒人気就職企業ランキング不動産・住宅部門1位の秘訣は「リモート採用」
公表された「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング(九州・沖縄エリア版)」の調査において、九州地場大手企業の名前が並ぶ中、同社は17位にランクイン。住宅・不動産業界の企業の中ではトップに輝いた。合同説明会などのリアルな場だけでなく、リモート採用を行ったことが高評価を得た要因の1つとして挙げられる。
リモート採用があれば採用者の間口を広げられ、優秀な学生と繋がる機会を創出できるといったメリットがある。また、YouTubeを活用した説明会や、採用候補者との連絡にはLINEを使用するなど、世代に合わせたコミュニケーションが奏功し、エントリー数は1000名を超えた。学生が社員となった後の不安感を払しょくできるよう、簡単にマニュアルを作成・共有できるクラウドサービスを利用するなど組織の整備を進めている。
「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング(九州・沖縄エリア版)」にて、大手企業が並ぶ中17位を獲得。