はじめに
1967年設立の東京システム運輸ホールディングスは、首都圏を中心に展開している総合物流企業で、細川氏は5代目社長のである。事業持ち株会社である東京システム運輸ホールディングスでは倉庫事業・不動産事業・介護事業などを手掛け、グループ会社3社は運送事業・倉庫事業・開発事業などを展開している。
同社は2010年にホールディング制へ移行し、分社化による予期しなかった負荷やホールディングス経営によるメリット・デメリットなど、多くの経験を蓄積している。ホールディングス化とそのプロセスを通じて得られた「経営上の課題」「メリットとデメリット」を、同社の取り組みからひも解いていく。
まなびのポイント 1:予期しない負荷の発生とトラブル対応
ホールディングス化に当たり、想定通りに事が運ぶことは少ない。東京システム運輸ホールディングスにおいても、当初予期しなかった負荷として、会計ソフトの分社対応能力の不足や金融機関ネットバンクなどのリンクエラー、税制変更による優良申告法人継続の危機など、現場レベルも含め数多くのトラブル対応が発生。また、グループ間では、分社化前までは、同級階層だった既存事業会社と、急な上下関係に変わることでの組織的な帰属意識の課題も経験した。
ホールディング制への移行は大きな組織再編であり、計画通りに実行できるものだと楽観視しないことが重要であり、経験したことのないトラブルの真因に対処することがポイントである。
まなびのポイント 2:予期しなかった負荷の実例と注意点
・株式評価のため、子会社配当をなくす→実態現場・現業では不可能。 ・グループへの管理業務委託と出向契約は(課税か不課税か)。 ・分社を公示するための株主総会決議通知、ひな形などの収集。 ・分割後の手順説明をコンサルティング会社と詳細に行うこと。 ・分割後の経理部の実務負荷のアナウンスまでない場合もある。 ・新・旧入金口座の入り繰り、ひもどき ・現行会計ソフトの分社対応能力不足、仕訳・伝票取り込みエラー ・金融機関ネットバンクなどのリンクエラー ・銀行保証、個人保証、利益相反取引用、担保 ・代表変更における、当座銀行作成 ・非課税売上などの増加による消費税処理が変更(個別売上比率)。 ・新設会社設立登記と与信、取引先との交渉。
まなびのポイント 3:ホールディング経営と中期経営計画を連動させる
重要なのは、持続的な成長・企業価値の向上に向け、ホールディング制を中期経営計画と連動させることである。
東京システム運輸ホールディングスでは、グループ中期経営計画の策定に当たってプロジェクトを立ち上げ、経営幹部の人材育成の要素も含め、コンサルティング会社のアドバイスも受けながら取り組んでいった。
人材の成長がなければグループの成長は実現できない。グループ中期経営計画を策定し、全社員に発信することで、中長期的な目線合わせをして一致団結することが重要である。
2008年10月に開始した第1期中期経営計画のプロジェクト(PJ)メンバー10名。現在は2期生がPJを承継し、活躍している。第1期PJメンバーが名付けた「物流商品製造業」という企業ドメインは、社是である「誠実」「信頼」とともに今も伝えられ、全社員が大切にしている