•  
ホールディングス・グループ経営モデル研究会のメインビジュアル
研究リポート
ホールディングス・グループ経営モデル研究会
6つのホールディング経営タイプをベースに、新たなグループ企業を研究します。自社がどのようなホールディングスモデルとして進化するのか、共に考えましょう。
研究リポート 2026.01.06

「らしさ」を貫くホールディングス・グループ経営 三和グループホールディングス

第2回の趣旨
タナベコンサルティングのホールディングス・グループ経営モデル研究会は、厳しい経営環境下において中堅・中小企業が持続可能な成長を実現するための具体的な戦略を探求する場である。単に理論を学ぶだけでなく、実践的な知見を深めることを目的としている。
第2回は、「『らしさ』を貫くホールディングス・グループ経営」というテーマに焦点を当てた。
本研究会は、参加者が自社の経営課題を解決し、将来のグループ本社モデルを描くための具体的なヒントを得ることを目指している。ご講演いただいた三和グループホールディングスの事例を通じて、グループ会社の遠心力を効かせながら求心力を保つための戦略の具体的な手法について深く掘り下げる機会となった。
開催日時:2025年12月4日(大阪開催)


はじめに

2025年12月4日、第2回「ホールディングス・グループ経営モデル研究会」が開催された。今回のテーマは、「『らしさ』を貫くホールディングス・グループ経営」である。

 

本講演では、三和グループホールディングスより、取締役・アシスト本部長の森本育宏氏を講師としてお招きした。オーナー家による総合ゼネコン事業から食品工場の建設へと特化し、グループ売上高327億円への躍進を遂げた同社。そのグループ経営モデルの成功要因について、ご講演いただいた。





三和グループ“らしさ”である理念を軸に求心力を発揮

三和グループホールディングスは、「つくるひとをつくる®」というグループ経営理念を掲げ、理念経営による求心力でグループを統率している。

 

同社は、建物をつくる人材を育て、顧客・社員・協力会社から選ばれる「かけがえのない存在」となることを目指しており、「社員が活躍すること」を会社の目的としている。「どこの会社でも通用する社員を育成し、その上で三和グループに留まる意義を与えることで、会社は必ず発展する」。この考え方のもと、同社は人への投資を最重要視しているのだ。

 

また、M&Aにおいても、この考え方に共感する企業のみをグループに迎え入れるという明確な判断軸を持っており、グループ全体としての価値判断基準を統一している。中核会社である三和建設だけでなく、グループ全体に「つくるひとをつくる® 」という経営理念を浸透させたことが、組織に求心力を与え、グループ売上高327億円への成長を実現した主な要因である。

  三和グループホールディングスの経営理念 出所:三和グループホールディングス講演資料 三和グループホールディングスの経営理念
出所:三和グループホールディングス講演資料

三和グループホールディングスの事業領域 出所:三和グループホールディングス講演資料 三和グループホールディングスの事業領域
出所:三和グループホールディングス講演資料

脱オーナー経営を実現するため、「稼業」から「事業」へ

現在、オーナー家である森本家は持株会社の株式を保有し、傘下の事業会社の自由度を高めるホールディングス体制を採用している。

 

現在の体制が構築されるまでは、オーナー家の「家業」が、そのまま稼ぐ主体としての「稼業」であった。その稼業を担う事業会社と、オーナー家(持株会社)を分離することで、「お家騒動」などのファミリービジネス特有のリスクを最小限に抑え、「事業」そのものを前進させる体制を整備した。

 

これこそが、同社のグループ・ホールディングス体制である。「価値を提供できる事業が存続すれば、事業は発展する」という「価値無限思考」に基づき、有限な存在であるオーナー家と、無限に価値を創造し得る事業を分離する。この体制により、オーナー企業ゆえの制約にとらわれることなく、企業拡大を実現しているのである。



グループ経営者を多数輩出する育成システム

同社では、M&Aにおいて、対象企業の特性に合わせて本社から新社長を選定するのではなく、新社長候補を先に選定・準備し、その人材に合わせて買収先を選ぶという「逆の順序」での人事を行っている。

 

本社からグループ各社へ経営人材を送り込むことで、昇格の機会が拡大し、管理職や役員を目指す社員の意欲向上につながっているという。

 

また、事業承継の際には、最低3年間は旧オーナーと伴走させる体制をとっており、経営者育成の観点から高い効果を上げている。さらに、旧オーナーによる伴走は、グループ子会社における円滑な組織PMI(統合プロセス)の促進にも寄与している。このように、グループ経営者を多数輩出し続けるシステムを確立したことも、同社が飛躍的な成長を遂げた大きな要因である。

  三和グループホールディングスの提案力 出所:三和グループホールディングス講演資料 三和グループホールディングスの提案力
出所:三和グループホールディングス講演資料

PROFILE
著者画像
森本 育宏 氏

三和グループホールディングス株式会社 取締役 アシスト本部長