視察企業 1 Fattoria Lavacchio
有機栽培にこだわる名門ワイナリーのCX
家族経営で代々受け継いできた伝統を大切にしながらも、地域で最初にオーガニックに取り組んだ革新的な名門ワイナリー。化学肥料や農薬を使用せずにブドウを栽培することで、ブドウの品質を向上させ、自然の風味を最大限に引き出している。
並行してオリーブ栽培を行うことで気候変動・病害虫リスク、市場の多様性へ対応し、土地利用の効率化、収益源の多様化を実現。訪問者向けには、ワインの風味や香りを体験できるテースティングとともに、ブドウとオリーブの栽培農場・製造工場見学や、オーベルジュ(レストラン付きの宿泊施設)で、製品の背景や製造プロセスの体験を提供。顧客のより深い理解と愛着を育んでいる。
ヴェネツィア・ブラーノの街並み(左)化学肥料や農薬を使用せずにFattoria Lavacchioで栽培されたブドウ(右上)Moscattini Farm視察の様子。工場や倉庫を見学しながら製品のストーリーや製造方法を知ることで、より深い理解が得られた
視察企業 2 Moscattini Farm
伝統と技術を融合させた6次産業CX
Moscattini Farmは、ボローニャ地域の伝統と現代の技術を融合させた高品質な乳製品を提供。地域とのつながりを大切にしながら、持続可能な農業を実践している。イタリアを代表するチーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」は、原産地名称保護制度(DOP)によって厳正に管理されており、細かく定められた製造方法にのっとって、特定の地域で生産された牛乳を使い、熟練の職人が手作業で作っている。
ウシの飼育からチーズの加工・製造、直売所での販売、レストラン経営と、生産から販売までを一貫して行う6次産業化により、付加価値を高めている。また、工場・倉庫の見学とチーズの試食をしながら、製品の背後にあるストーリーや製造過程を消費者に伝えることで、製品理解や愛着を高め、ブランド価値を向上させている。
視察企業 3 Ferrari Factory
高級スポーツカーとレーシングカーのみを追求
人口2万人弱の小さな町であるマラネッロに本社を置くフェラーリは、高級スポーツカーとレーシングカーの製造に特化した自動車メーカーである。「跳ね馬」のシンボルとイメージカラーである「フェラーリロッソ」の赤色が象徴的で、世界中に多くのファンを持つ。創業者エンツォ・フェラーリの「F1(フォーミュラ1)で勝ち続ける」という情熱と夢がブランドの根幹にある。強い存在意義を持つ同社は、品質管理と顧客管理を徹底しており、オーナーには転売禁止やカラー変更の際の事前申請が義務付けられている。製品は全て受注生産で、高価格にもかかわらず最新モデルの購入には3年を要するほどに多くのファンから求められている。
フェラーリ・マラネロ博物館の展示品(左上)STEFANO BEMERの職人による技巧、長年にわたるナレッジが詰まった製品が人々の心を魅了する(左下)17世紀の織機を用いてLuigi Bevilacquaで製造されたファブリック(右上)サルヴァトーレ・フェラガモの手掛けた数々の作品が展示されている(右下)