ハミダス活動とともに、MVの浸透と風通しの良い職場づくり、社員の士気向上のために大切にしていることがある。それが、経営層と現場が対話する「あぐら」だ。
社長や経営幹部はMVの意義や現在進行形の経営メッセージを、社員は日々感じている現場の生の声を、双方向のコミュニケーションで思いを伝え合う場として、階層別に10名前後と少人数制のメンバー構成で、約2時間かけて実施している。
MV策定後にスタートしたあぐらは、これまでに500回以上、参加者数は6000名超を数える。現場だけでなく、支社長、工場長、部長など、次代の経営を担う経営層とも、それぞれにあぐらを実施。議事録は非公開にすることで活発な対話が生まれ、互いの距離感が縮まるとともに、ハミダス活動やSDGsにつながる事例が生まれ、社員の悩みの受け皿となる「ハミダスなんでも相談室」も新設された。現場の課題解決や新たな施策が、そのままMVを実現する確かな推進力になっている。
もう1つ、経営層と現場の社員を結ぶ取り組みが、社長メッセージを動画で配信する「動画メッセージ」だ。ハミダス活動とともにスタートし、毎月1回以上、経営内容から事業所・新入社員紹介まで幅広く発信。社内認知度の高まりとともに配信頻度も増え、現在はテーマ選定から原稿作成、撮影、編集まで、社員参加型の動画配信へと進化を遂げている。
大ヒット商品「本格炒め炒飯」が年間売上高100億円を突破した時には、国内外の事業所から祝福のメッセージが相次いで発信され、全社一丸となって盛り上がりを共有し、さらなる事業活性化にもつながった。
ハミダス活動、あぐら、動画メッセージは、いずれもMVを浸透させるだけでなく、SDGsやサステナビリティとの相関性も高く、その目標達成や業績向上のアクションにつながっている。さらに、社内外へ活動の範囲が広がることでハミダス活動の役割も変化し、今後は生活者とのコミュニケーションも大切な役割として担っていくことになる。
MVの策定とともにハミダス活動が始まった2011年当時、同社の売上高は横ばい、営業利益率も1%台と低成長の業績が続き、社内の雰囲気は停滞していた。十数年の歳月を経たいま、ニチレイフーズの加工食品事業の売上高は前年比315億円増の2757億円(2023年3月期)と、冷凍食品市場の国内トップシェア企業として高成長軌道を描いている。
経営トップと社員、社員同士が互いに意見し、行動を起こし、評価し合う双方向型のハミダス活動は、MV浸透や業績に着実な成果をもたらしているが、実はまだ道半ばだ。
ビジョン浸透と、行動につなげるハミダス活動に終わりはない。双方向型からさらに、いつでもどこでも受発信できる「循環型コミュニケーション」と呼べる姿へと、進化を遂げていこうとしている。
たゆみない「ハミダス」の連続が、ブランドステートメント「ほんの少しの、その差にこだわる。」を、次代にも体現する確かな道標になっていると言えよう。
(株)ニチレイフーズ
- 所在地 : 東京都中央区築地6-19-20 ニチレイ東銀座ビル
- 設立 : 2005年
- 代表者 : 代表取締役社長 竹永 雅彦