プレス・溶接エリアを担当する社員。より良い加工方法の考案や進捗など、密にコミュニケーションを取る
高収益・高成長を継続し「5年でプライム市場上場」(浜口氏)を目指すJRC。コンベヤ部品事業はソリューションビジネスの拡大と海外展開の強化、ロボットSI事業はブルーオーシャン市場のファースト・ムーバーとして優位性の確立に挑む上で、効率的かつ効果的なM&A活用への期待はさらに高まっていく。
「グロース市場に上場してから、おかげさまでM&A案件の持込数が増え、売り手企業からも『上場企業だから安心です』という言葉をいただいています。成長を実現する手段としてM&A戦略の重要性が高まっています。買い手の競合先が増えており、今後はますます競争力を高めて勝ち抜く必要があります。JRCがつくりたい世界を、M&Aでスピード感を持って実現できるように、業績や働く人の環境をより良くできる企業をターゲットに選び、トップ面談で自社の強い意欲をストレートに伝えることを大事にしていきたいです」(浜口氏)
「一般的なM&Aは指示統合型が多く、買い手のルールが適用され、売り手は子会社として下請け的な扱いになるケースが少なくありません。でも、当社のポリシーは『協業型M&A』です。買い手も売り手も、双方が尊重し合い、互いにメリットが生まれ、『一緒になって良かった』と思えるように戦略を推進することが、成功するM&Aの秘訣です」(常川氏)
同社では、経営人材の育成機会としてもM&Aを活用している。買収後に派遣した幹部人材が経営の最前線に立ち、経験を積むことによって、将来的にJRCへ還流することで成長力を高めるイメージだ。また、戦略投資部を中心にM&Aの推進力となる専門性の高い人材の採用、育成も着実に進めている。
「発見を、発展へ」をスローガンに掲げるJRC。成長を可能にする人・技術・事業を発見し、シナジーを生み出しながらソリューションビジネスの発展を目指す。
JRC 代表取締役社長 浜口 稔氏(左)、執行役員 CFO兼CSO常川 陽介氏(右)
COLUMN:スピード感を大切に「らしいM&A」を
M&Aを考える経営者が、心に刻んでおきたいキーワードは「スピード感」だ。
「大企業は取締役会の決定などに時間がかかる。一方で、中小企業のオーナー経営者は即断即決できるのが強みです。売り手も中小オーナー企業が多いですし、どの仲介会社も指摘する競争力の優位点が、スピード感です」(浜口氏)。
それは、売り手の信頼だけでなく、仲介会社から「案件情報を持ち込みたくなる」「M&Aを上手に活用する企業」という認知度を得ることにもつながっていく。また、M&Aの実績数を増やすことも重要だ。成功・失敗の事例パターンを見える化し、デューデリジェンスや買収後の100日プランなど、共通するノウハウのフォーマット化ができる。常川氏も「自社の型をつくることで、望ましいM&Aを実現できます」と語っている。
M&Aは特別なことではなく、身近な経営手段になっていく。だからこそ、自社にとって本当に必要な「らしいM&A」の実現が求められている。
(株)JRC
- 所在地 : 大阪府大阪市西区阿波座2-1-1 CAMCO西本町ビル 6F
- 創業 : 1961年
- 代表者 : 代表取締役社長 浜口 稔
- 売上高 : 89億6100万円(連結、2023年2月期)
- 従業員数 : 331名(連結、2023年2月現在)