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【特集】

グローバルビジョン

人口減少による日本の内需縮小が「確実にやってくる未来」である今、海外進出は全ての日本企業に とって必須の成長戦略となった。自社のグローバルビジョンをアップデートし、それに基づく長期視点の 海外戦略をデザインするメソッドを提言する。
2024.01.05

成長する世界市場への展開で確かなプレゼンスを高める:東洋紡エムシー

出口を増やし最適なものづくりで次の一手を

 

大阪府の中心地である梅田に本社を構える東洋紡エムシー。フリーアドレスのオープンオフィスには社長室がなく、森重氏は日々社員と机を並べる。PCには部門別に色分けした特製名札を付け、互いの存在と仕事がひと目で分かる工夫も凝らす。同社の取り組みを耳にした東洋紡グループでも、実施に向けて検討が始まった。いずれも、社員の意見を積極的に吸い上げる三菱商事の企業風土とうまく融合した成果だ。

 

新風は、人材のポテンシャルを生かす変革にも吹き始めた。営業本部主催の商材勉強会がスタートし、年齢別に3層に分けて実施。各世代の社員同士に、より深く密なつながりが生まれている。

 

「人材の育成については、入社後15年目までに複数の事業や地域を経験し、その上で自分が進む方向性を固めていくようにできればと考えています。国内外を問わず、お客さまに求められるのは、商材や用途の知識が豊富で、多様な見方ができる人材ですから」

 

そう笑顔で語る森重氏は、開発畑でキャリアを培ったものづくりのエキスパートだ。東洋紡のフィルム事業をグローバル商材に育てた立役者の一人でもある。

 

「メーカーは設備産業です。新しい設備と独自のプロセスで、他社がすぐにできない商材を作り続けないと勝てません。出口(需要と販路)を増やしながら、最適なものづくりの姿をつくることで、何をどう伸ばすべきか、次の対策が決まります。目指すのは、樹脂や繊維などの素材領域で世界中から『まず、東洋紡エムシーに聞いてみよう』と最初に声がかかる存在になることです」(森重氏)

 

東洋紡グループの企業理念である「順理則裕」は、「なすべきことをなす」攻めの姿勢とともに、「なすべからざることはなさない」守りの大切さも意味する。先行きが不透明な時代であるからこそ、攻めと守りを的確に判断し、迅速に次の一手を決断することで、同社は真のグローバル企業へと飛躍を遂げていく。

 

 

 

PROFILE

  • 東洋紡エムシー (株)
  • 所在地 : 大阪府大阪市北区梅田1-13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス
  • 設立 : 2022年
  • 代表者 : 代表取締役 社長執行役員 CEO 森重 地加男
  • 従業員数 : 2000名(連結、2023年4月現在)

 

 

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