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その他

建設業の「働き方改革」

人材不足の中、 時間外労働の上限規制の適用開始が 2024年4月1日に迫る建設業。 労働環境の改善や生産性の向上など、 抜本的な「働き方改革」が待ったなしの状況だ。 業界全体の喫緊の課題に向き合う 実践経営のヒントを提言する。
その他 2023.12.01

「数」を満たし、仕事と働き方の「質」を変えるプラットフォーム:助太刀

助太刀 執行役員 CAO 植村 具民 氏

 

現場に立つ職人の有効求人倍率は7~8倍と言われ、働き手が減り続けている建設業界。世の中を変える社会的インパクトが大きい巨大なマーケットにおいて、これまでにないプラットフォームが人手不足を解消し、「3K」と呼ばれる働き方を変え始めている。

 

 

工事会社と職人が出会えるマッチングアプリ

 

恒常化した建設現場の人手不足。待ったなしの社会課題の解決に向け、スタートアップとして新たな扉を開いたのが助太刀だ。自社開発のアプリ「助太刀」は、現場仕事を発注したい元請けの工事会社と、請け負う個人事業主の一人親方や職人との出会いを生み、長期的な取り引きにつなげるマッチングサービスである。2017年12月のローンチから2023年12月現在までの6年間で利用事業者数は20万事業者を突破。現場の人手を確保し、働き方を変えるプラットフォームとして、建設業界の希望の星となっている。

 

「業界の慣習として、現場仕事の依頼は旧知の取引先のつながりに頼るか、電話帳やインターネット検索で網羅的に見つけるかが当たり前でした。でも、それだけではもう間に合わないのが現状です。

 

『助太刀』はマーケットの常識を変えていくポテンシャルがあって、良いマッチングが生まれることで、使うほどにメリットを実感できます。『こういうサービス、以前からあったら良かったのに』という声をたくさんいただいています」

 

そう語るのは同社執行役員CAOの植村具民氏だ。人気タレントを起用したテレビCMで認知度を高め、元請けと職人、両方の登録母数を増やすマーケティング。UX※1を高めるユーザビリティーへのこだわり。氏名と電話番号、職種、居住地の登録だけで、希望条件に合う現場・元請けの情報を入手できるシンプルさ。工事会社でキャリアを築いた代表取締役社長兼CEOの我妻陽一氏による、職人の実態や行動を深く理解したマッチングサービスで、「助太刀」は圧倒的なシェアを獲得した。

 

「助太刀」との併用で急成長を遂げるアプリもある。建設業界に特化した採用サービス「助太刀社員」だ。現場を熟知する職長などマネジメント人材の求人広告、職人へのダイレクトなスカウトなどが中心である。

 

「現場の仕事と人材の採用は相互に連携し、連動していくもの。現場の職長と職人がそろえば、受けたくても諦めていたビジネスチャンスをつかめて、業績向上のサイクルが回り始めるようになります」(植村氏)

 

独立起業する一人親方が、知人もつながりもない新天地で取引先を開拓できた。修繕工事会社が2カ月で新たな発注先3社とマッチングした。求人難の電気工事士資格を持つ人材が、広告掲載後2カ月で採用が決まったなど「助太刀」「助太刀社員」を利用した成功事例は多数ある。

 

「2カ月で新たな発注先3社と出会うすごさは、業界の方なら分かるはず。『10年で5社増えたら上々』と我妻は自らの経験から語っていますが、新規顧客を探さないし探せないのが常識だったこれまででは考えられない数字です」(植村氏)