人的資本経営に当たり、カオナビは何の情報を開示すべきか。あらためて検討するため、同社は社内でコンセプトワークを実施した。
「求める人材像については、採用の際に掲げることが多いものの、既存の従業員にも当てはまるのかどうか。また、ビジョンやパーパスはどの程度、事業や社員に落とし込まれているか。社内でアンケートを取って調べることで、人的資本に関する自社の課題が明らかになると考えました」
平松氏は、自社を例に人的資本情報開示への取り組み方をそう説明する。同社はこうしたコンセプトワークの結果、ビジョンやパーパスに関しては社員の理解や浸透度も深いことが判明。一方、それらを実践していくためのバリューについてはアップデートしたという。
また、バリューに連動した重要指標10項目は、開示を視野に入れ、客観的に理解されやすい内容を意識して策定したという。人的資本の情報開示を機会に、自社のCIのアップデートや社内外でのパーパス・ビジョンの理解度向上を図る取り組みは、多くの企業にとって参考になるだろう。
「カオナビ」は、システムのサポート体制の充実にも定評があり、顧客から支持される大きな理由となっている。例えば、「カオナビキャンパス」ではユーザー同士が交流を図り、タレントマネジメントについて学び合うことができる。
このコミュニティーでは、「チューター」と呼ばれるユーザー企業が、積極的に生きた事例や活用法を発信し、「カオナビ」導入企業をサポートしている。また、旬なテーマを題材にしたトークイベントや交流会も開催し、他社との交流や生きた事例を学び合う場を提供している。
さらに、2023年3月には、カオナビと提携するパートナー企業による専門的かつ実践的なノウハウを提供するポータルサイト「カオナビキャンパスLab」を開設。パートナーシップを組んでいる士業やコンサルティング会社を紹介し、タレントマネジメントに関する課題解決の場にしたいという。
「当社はタレントマネジメントシステムを提供し、支持をいただけていますが、人事戦略などその上流工程についてはタッチしていません。その領域については専門家にお任せし、パートナーシップを結んだ企業とは、人事戦略やタレントマネジメントシステムのニーズがある企業を紹介し合う形をとっています。そうした当社のパートナー企業をユーザーの方々に広く知ってもらい、活用してもらいたいという思いでカオナビキャンパスLabを開設しました。現在はタナベコンサルティングともパートナーシップを結んでおり、補完し合って支援を進めています。今後も連携を図りながら、お客さまの課題をトータルで解決していけたら、と考えています」(髙岡氏)
カオナビは今後、教育・人材育成分野でのサービス提供も視野に入れている。具体的には、DX対応をはじめとするリスキリングのニーズが高まる中、「カオナビ」でユーザーが勉強できるコンテンツの提供やパートナーシップの締結など、多角的な視点で方法を模索中という。サービス開始以来、10年にわたって企業の人材戦略を支えてきたカオナビが、新たな躍進を遂げようとしている。
パートナー企業と連携しながら人的資本経営、人事課題解決をトータルでサポートします
PROFILE
- (株)カオナビ
- 所在地:東京都港区虎ノ門1-3-1 東京虎ノ門グローバルスクエア15F・16F
- 設立:2008年
- 代表者:代表取締役社長 Co-CEO 佐藤 寛之、代表取締役 Co-CEO 柳橋 仁機
- 売上高:44億9600万円(非連結、2022年3月期)
- 従業員数:271名(2022年12月現在)