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【特集】

リードナーチャリング

国内の人口と企業数が減少する中、BtoBにおいてもBtoCにおいても、新規顧客開拓の難易度はますます上がっていく。この状況下で重要性を増しているのが、過去にアプローチした見込み客情報(ハウスリスト)だ。自社に眠る財産であるハウスリストを活用し、見込み客を顧客へ変えていくリードナーチャリングのメソッドを提言する。
2023.02.01

見込み客が顧客に変わる提案:ランドネット

 

 

見込み客の購買意欲を高め、受注へとつなげるために、顧客との接点を「見える化」できるMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入。さらにDXを推進し、ライフスタイルの変化にも対応しながら生涯にわたる関係性を築くチャレンジを始めた企業がある。

 

 

ランドネットのオフィス

 

 

不動産投資の買い主へアプローチを強化

 

物件の仕入れから売買、賃貸管理、仲介、リフォーム&リノベーションまで、安心ある不動産投資のワンストップサービスを提供するランドネット。投資用ワンルームマンションの取引高・契約件数は業界トップクラスに成長を遂げ、2021年7月に東証スタンダード市場にIPO(新規上場)を果たした。設立23年を迎え、新たに掲げる旗印が「第二創業」だ。

 

「上場によって資金と人材を得て、従来の区分マンション中心のビジネスモデルから、戸建てやアパートも対象にしようと、できることからチャレンジし始めました」。そう笑顔で語るのは創業者で代表取締役の榮章博氏である。同社は2019年2月にMAツールを導入し、挑戦が可能な環境整備を進めてきた。榮氏は次のように続ける。

 

「当社にとって市場の鍵を握るのは不動産所有者データです。電話営業やDMで追客するので、所有者リストを増やすほど市場が広がるのです。そこで、売り主との交渉履歴や内容がひと目で分かる独自のCRM(顧客関係管理)システムを構築しました。顧客情報を的確に把握できるのが強みです。さらに、物件の買い主へのアプローチも強化して顧客を育てようと考え、MAツールを導入しました」

 

不動産投資セミナーの参加者や資料請求の申込者などの見込み客を、どうすれば個別面談へとつなげ、買い主という名の顧客に変えていけるか。まずは築浅のワンルームマンション物件からMAツールの活用を開始。1回限りの付き合いになりがちなファミリータイプと違い、ワンルームタイプはローンをうまく活用すれば複数物件への投資が可能だ。眠っていたCRMの名簿を活用し、年齢や年収、広告やセミナーなどの流入経路を調査して営業担当者へのヒアリングも実施。利益を最大化できるターゲット層の仮説を立て、「40歳以上で年収800万円以上」が最も複数物件を成約する可能性が高いことを、明確な答えとして導き出した。

 

見込み客が顧客に変わるアプローチのプロセスと顧客行動の把握。年齢や年収など顧客情報の一元管理と分類。そして、ターゲットを明確にした企画の立てやすさと、ふさわしい物件や企画のプロモーション――。MAツールによる「顧客の動きと情報管理の見える化」によって、個別面談数や契約数が右肩上がりで増加した。

 

「まだまだ試行錯誤しながらですが、『攻めの施策』を推進しています。MAツールの便利な機能をアレンジし、買い主の行動を分析する独自の仕組みとツールの開発にも着手しています」(榮氏)

 

 

 

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