その他 2022.07.01

意欲が湧いた時に学べる仕組み:加和太建設

「学ぶ必要性」を知る機会が必要

 

加和太アカデミーと連動する仕組みとして、同社では社員のバイタリティーを定期的に観測するエンゲージメントサーベイを実施している。部門・チームの組織的な課題に自分事として向き合い、解決するアクションプランを実行する中で、足りないスキルや知識を知り、加和太アカデミーを活用することによって社員一人一人の能力を向上させていくためだ。

 

「なぜ学ぶかと言えば、そこに必要性があるからです。では必要性とは何か。人に認められたいこと、アウトプットしたいことがあるから学ぶのです。学ぶ機会と、学ぶ必要性を知る機会。当社が目指す姿を形にしていくためには、どちらも大事だと思っています」(河田氏)

 

コンテンツのアップグレードなど、「改善の余地はまだたくさんある」と語る河田氏。今後はマネジメントや業務のスキル修得・向上にフォーカスした、新たな学びの仕組みを構築予定だという。社員の平均レベルの底上げだけでなく、リーダーから幹部候補になっていくトップラインの人材に磨きをかけられるような「加和太アカデミーの“進化版”」の構想をすでに描いている。

 

元気なまちをつくるというビジョンの実現へ向け、「地方ゼネコンの可能性を信じる」と公言する河田氏は、都心部に比べ学びの機会が少ない地方企業ならではの学びが重要だと、思いを込めて語る。

 

「不確実性の高い時代ですし、地方ほど少子高齢化が速く進み、課題が多い。変化に対応できる知識や経験を持つ組織に変わる必要性に迫られています。会社を通して、人の成長を促す学びの機会が増えれば、町や地域が良くなっていきます。そういう取り組みがどんどん広がって、そんな地方の企業が1つでも増えてくれるとうれしいですね」(河田氏)

 

加和太建設 代表取締役 河田 亮一 氏

 

 

Column

トップが自ら学び、アウトプットし続ける

「学び」を企業の文化や習慣にするためには、仕組みをつくったり、社員に機会を与えたりするより、もっと大事なことがある。

 

「学ぶことがいかに大事かを言い続けています。そして、自分も学び、アウトプットし続ける姿を社員に見せるよう意識しています。そうでないと、社員にうそをついていることになりますから」と河田氏は話す。

 

先進的なまちづくりを実践している地域への視察や人との会話、読書などで、学んだことをリポートにして社員に発表する。読了した書籍は誰でも手に取れるよう社内で共有する。さらに、社内報や社員へのメール配信など、さまざまな機会を通して「自分も学びたい」「学ばなくては」と社員を誘発するような発信を続けている。質の高い学びを追求するため、河田氏は社員が制作する加和太アカデミーのコンテンツへも目を光らす。

 

「その内容で本当に人が育つのか、学びへと人を動かそうとしているのか。もし単なる作業になっているなら、厳しいことも言います」と語る河田氏。トップの学びに対する妥協しない姿が、社員の意識を変え、その家族にも影響を与え、地域の学びの水準が高まり、町が活性化する。同社の学びは、ビジョンである「元気なまちをつくる」を実現するための根幹を成しているのだ。

 

 

 

 

PROFILE

  • 加和太建設(株)
  • 所在地:静岡県三島市文教町1-5-15
  • 設立:1946年
  • 代表者:代表取締役 河田 亮一
  • 売上高:118億4000万円(連結、2021年12月期)
  • 従業員数:327名(連結、2022年1月現在)