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その他 2022.07.01

「主役意識」で学びが習慣化:ライオン

学びのデータ活用で成長活力の創出を目指す

 

人材開発センターは、LCVの受講人数や教材の再生回数、学習時間などをKPI(重要業績評価指標)に設定。未受講者への受講案内や継続受講促進キャンペーン、全社員宛てのメール配信など、地道なアプローチを続けている。

 

コンプライアンス関連の視聴必須コンテンツもつくり、LCVとつながる機会を設けて、常に「学びの門戸が開かれている」ことを周知する工夫も凝らす。

 

「2020年より、新たに多面行動能力認定を導入しています。一般的に『360度評価』と呼ばれるもので、当社のコンピテンシー(優れた成果を生み出す個人の能力・行動特性)をしっかりと把握し、上長とも共通理解を持ち、重点的で効果も高い学びを可能にするのが狙いです。将来的には、一人一人のLCVの受講データとコンピテンシーを掛け合わせて、『何をどのように学べば、強みを伸ばし弱みを克服できるのか』という分析にもつなげていきたいと考えています」(大道寺氏)

 

360度評価には、「ライオン流」とも呼べる独自の流儀がある。測定した能力を、評価ではなく未来の力を伸ばす学びの意欲につなげることだ。さらに、上長が部下の意欲を削がないための「タテの関係性」も重視する。「最も身近にいる上長の支援は意欲を高めますが、一方で、阻害要因にもなり得る可能性も秘めています」と大道寺氏は語る。2023年までに管理者研修プログラムを実施し、部下に対するマネジメントのアップデートも進めていくという。

 

また、受講者アンケートを実施し、新コンテンツのリクエストにも応えている。LCVの中で充実を望む声が多いのは、全体の約1割を占める社内制作コンテンツだ。

 

「社内には、もともと『ライオン流』を好む風土がある」と大道寺氏は笑顔で続ける。どの会社にも社内独自の用語が存在するが、新入・中途社員や他部門の社員には伝わらないし、辞書にも載っていない。ただ、このような企業独自の言葉は互いに理解し合う「共通言語」を持つというメリットもある。社内制作コンテンツを拡充することで、企業文化・風土の継承や浸透を強化しながら、新しいものを取り入れる学びと共通理解によって、流儀も進化を遂げていく。

 

「学びの環境」と「学びの習慣化」が多様なワーク・ライフスタイルを可能にし、それが多様化する社会ニーズに応える新たな価値づくりの力にもなる。生産性を高めて新たな価値が生まれ、持続的な成長につながる活力を創出するのだ。

 

「LCVでは、いつ・誰が・どこで・何を・どのぐらい学んでいるかが全て分かります。そのデータを蓄積し、分析・活用できるように、LCVも進化し続けていきます。全社でイノベーションが起き、『生産性が上がった』と社員から言われる日が待ち遠しいです」(大道寺氏)

 

「事業を通じて社会のお役に立つ」。熱心な社会事業家でもあったライオンの創業者・小林富次郎氏の志は、130年あまりの歳月を経た今も同社に息付いている。

 

未来の力を伸ばす 学びの意欲につなげる ライオン流360度評価

 

 

ライオン 人材開発センター 統括リーダー
大道寺 義久 氏

 

 

PROFILE

  • ライオン(株)
  • 所在地:東京都墨田区本所1-3-7
  • 創業:1891年
  • 代表者:代表取締役 社長執行役員 掬川 正純
  • 売上高:3662億円(連結、2021年12月期)
  • 従業員数:7584名(連結、2021年12月現在)