その他 2022.03.01

幼児用ヘルメットの認知拡大に成功:オージーケーカブト

幅広いデザインや形状をラインアップしているチャイルドメットシリーズ

 

イメージを一新するためブランドサイトをリニューアル

 

ピコットの発売に併せて、オージーケーカブトはチャイルドメットシリーズのサイトを一新した。それまでは機能面をアピールする構成だったが、ヘルメットのデザイン性が分かる洗練されたデザインにリニューアル。ピコットを含むチャイルドメットシリーズのブランディングを試みた。

 

「ウェブによるマーケティングやブランドページのリニューアルにはタナベ経営の力をお借りし、全体的なブランディングの在り方からサイトリニューアルに至るまで提案していただきました。サイトリニューアルでは、私たちはヘルメットをオートバイ用からスタートしたこともあり、安全ツールとして捉えていましたが、『保護者はファッションの一部として見ている』という指摘があったので、その考え方を生かし、デザイン性が高く、訪問するのが楽しくなるようなページにリニューアルしました。新しいブランドイメージも定着したと感じています。

 

もう1点、タナベ経営に依頼して大きく変化したのは、社内の意識です。ウェブマーケティングやブランディングの重要性を外部からアドバイスいただくことで、社員の意識に変化が生まれたのです」(柿山氏)

 

販売店員へ情報を提供するBtoBを意識した特設サイトや、楽天やアマゾンなどのECサイトへブランドページを戦略的にひも付けることで、ピコットは大きく販売数を伸ばした。

 

ピコットのマーケティング戦略が優れていたのは、商品の情報提供だけでなく、幼児用ヘルメット着用の啓発活動を同時に行ったところである。

 

成功の要因について、柿山氏は「幼児のヘルメット着用が努力義務であるという法律も、へルメットを正しくかぶることで死亡率が4分の1に減るということも、保護者の約半数が知りません。そこで、『やさしい未来のために、カブト、かぶろ。』といったスローガンを掲げ、啓発的な要素を盛り込んだウェブ広告や、新製品のPR動画を配信するサービスを活用して、ヘルメット着用の大切さを広めました。この安全に関する認知の向上が、製品の販売数につながったのだと思います」と話す。

 

また、法律的な側面、多発する幼児の事故を中心に、ピコットの開発背景やデザイン性、機能性をまとめ、ウェブサイトで公開。ピコットに興味を持った全ての閲覧者に向けた施策であったが、リアル店舗の販売員のヘルメットに対する理解を深めるツールとして活用され、店舗でも商品の売り上げが向上したという。

 

 

ピコットの経験を企業ブランディングに生かす

 

ウェブメディアを使ったユーザーとのコミュニケーションにより、商品ブランディングを成功させたオージーケーカブト。次なる目標は、自社のブランディングだ。

 

「ピコットやチャイルドメットシリーズのブランディングを皮切りに、最終的には企業ブランディングを行いたいと考えています。社員も今回の成功によってブランディングの重要性が認識できたと思います。

 

当社はこれまで、良い商品を開発・生産し、社会に提供してきました。メーカーとして、これまでは市場競争的にそれで良かったのかもしれません。しかし、これからは社会とどう向き合い、どのような価値を提供していくべきかを、もう一度考えて再構築し、伝えていく必要があります。その手始めとして、良いスタートが切れたと思います」(柿山氏)

 

「Safety Meets Style」というビジョンを掲げ、「安全性」と「スタイル」を融合させながら、主にバイクや自転車などスポーツ分野のヘルメット&ギアメーカーとして存在感を示してきた同社は、全ての人々に安全を提供するメーカーとして新たな独自ブランドの確立を目指していく。

 

 

社会とどう向き合い、どんな価値を提供していくべきか
もう一度考えて構築し、伝えていきたい

オージーケーカブト開発部企画・広報課の係長・柿山昌範氏と、picotをかぶらせたクマのぬいぐるみ。店舗で陳列した際、他の幼児用ヘルメットに埋没することなく最小サイズであることをPRできる

 

 

PROFILE

  • (株)オージーケーカブト
  • 所在地:大阪府東大阪市長田西6-3-4
  • 設立:1982年
  • 代表者:CEO 木村 秀仁
  • 従業員数:105名(2021年12月現在)