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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2024.08.01

ミッション・ビジョン実現に向けた「ハミダス活動」 ニチレイフーズ

ボトムアップ型の活動を展開
  日本の冷凍食品事業のパイオニアであるニチレイグループの加工食品部門として設立したニチレイフーズ。フロンティアカンパニーの誇りとこだわりを継承し、独自技術と丁寧なものづくりで、中食・外食など食の外部化や個食化、健康・環境意識の高まりなどの社会課題の解決に貢献し、食と健康を支える企業として新たな顧客価値を創造し続けている。   「簡単で便利、おいしさと栄養バランスを両立し、長期保存が可能で必要な分だけ使えて食品ロスも削減する冷凍食品は、次の100年を担う未来の食品になる」という考えのもと、2011年、自社の使命と存在意義を明確にし、社員が同じ方向へ歩みを進めるために、風土・経営・収益構造の改革に着手し、新たにミッション・ビジョン(MV)を制定した。(【図表】)   【図表】ニチレイフーズの企業コンセプト・ミッション・ビジョン 出所 : ニチレイフーズホームページよりタナベコンサルティング戦略総合研究所作成   環境改善や社員のモチベーションを高めて、明るく元気な風通しの良い会社にすること。ものづくりの思いや冷凍食品の良さを、広く世の中や生活者に伝えること。さまざまな思いを言語化したMVと、実現への行動指針「ハミダス(とらわれず、明るく)」を掲げて、同社は「ハミダス活動」を始動した。   「思いやり・チャレンジ・楽しく」の3つをキーワードに、小学生対象の出前授業「出張工場見学」や、フードロス削減に貢献するブロークン商品(品質に問題はないが外箱破損などで廃棄される商品)のフードバンクへの寄付、社員試食会の開催、体験型の食育プラグラム、被災地支援、新入社員交流、社員の家族参加型のイベント開催まで、幅広い取り組みを実施している。   「社員のハミダス気持ちをカタチにする」ハミダス活動は、プロセスがそのままMVの浸透・定着につながっている。ポイントは、各部署から選出した「ハミダスフレンズ」を中心に社員が主体的に活動内容を考えることと、強制や押し付けは一切ないボトムアップ型の仕組みであることだ。   活動全体を統括するハミダス推進グループは、旗振役とサポート役に徹し、全国の工場・事業所で自ら手を挙げたハミダスフレンズが推進力となって独自に活動。上司・部下というタテ組織の関係性や、担当業務の枠組みを超えて、互いに否定しないことを前提に自由かつ気軽に参加でき、おそろいの「ハミダスTシャツ」を着て一体感も醸成している。また、社長が「ハミダスフレンズ応援団長」となって任命書を渡すなど、全社を挙げた支援体制も確立している。   ハミダス活動の研修会「ハミフレワークショップ」は年2回実施。ハミダスフレンズも年々増加し、ニチレイグループの社員にも広がっている。   全てのハミダス活動は社内イントラに掲載して共有し、毎年「ハミダス大賞」の社員投票を開催。3つのキーワードにふさわしい活動を表彰している。さらに、ハミダスマークは躍動感のあるシンボルマークとして全社員の名刺に記載し、顧客や取引先にも発信することで、MVに対する社員の理解・行動意識を高めている。   2018年、ハミダス活動は消費者庁「平成30年度消費者志向経営優良事例表彰」で「消費者庁官表彰」を受賞。その後も、環境活動や食品ロス削減、子ども食堂への寄付など、その名の通り「はみ出す」活動が拡大することで、MVの実現や持続可能性を高める源泉となっている。    
経営層と現場の社員を結ぶ取り組み
  ハミダス活動とともに、MVの浸透と風通しの良い職場づくり、社員の士気向上のために大切にしていることがある。それが、経営層と現場が対話する「あぐら」だ。   社長や経営幹部はMVの意義や現在進行形の経営メッセージを、社員は日々感じている現場の生の声を、双方向のコミュニケーションで思いを伝え合う場として、階層別に10名前後と少人数制のメンバー構成で、約2時間かけて実施している。   MV策定後にスタートしたあぐらは、これまでに500回以上、参加者数は6000名超を数える。現場だけでなく、支社長、工場長、部長など、次代の経営を担う経営層とも、それぞれにあぐらを実施。議事録は非公開にすることで活発な対話が生まれ、互いの距離感が縮まるとともに、ハミダス活動やSDGsにつながる事例が生まれ、社員の悩みの受け皿となる「ハミダスなんでも相談室」も新設された。現場の課題解決や新たな施策が、そのままMVを実現する確かな推進力になっている。   もう1つ、経営層と現場の社員を結ぶ取り組みが、社長メッセージを動画で配信する「動画メッセージ」だ。ハミダス活動とともにスタートし、毎月1回以上、経営内容から事業所・新入社員紹介まで幅広く発信。社内認知度の高まりとともに配信頻度も増え、現在はテーマ選定から原稿作成、撮影、編集まで、社員参加型の動画配信へと進化を遂げている。   大ヒット商品「本格炒め炒飯」が年間売上高100億円を突破した時には、国内外の事業所から祝福のメッセージが相次いで発信され、全社一丸となって盛り上がりを共有し、さらなる事業活性化にもつながった。   ハミダス活動、あぐら、動画メッセージは、いずれもMVを浸透させるだけでなく、SDGsやサステナビリティとの相関性も高く、その目標達成や業績向上のアクションにつながっている。さらに、社内外へ活動の範囲が広がることでハミダス活動の役割も変化し、今後は生活者とのコミュニケーションも大切な役割として担っていくことになる。   MVの策定とともにハミダス活動が始まった2011年当時、同社の売上高は横ばい、営業利益率も1%台と低成長の業績が続き、社内の雰囲気は停滞していた。十数年の歳月を経たいま、ニチレイフーズの加工食品事業の売上高は前年比315億円増の2757億円(2023年3月期)と、冷凍食品市場の国内トップシェア企業として高成長軌道を描いている。   経営トップと社員、社員同士が互いに意見し、行動を起こし、評価し合う双方向型のハミダス活動は、MV浸透や業績に着実な成果をもたらしているが、実はまだ道半ばだ。   ビジョン浸透と、行動につなげるハミダス活動に終わりはない。双方向型からさらに、いつでもどこでも受発信できる「循環型コミュニケーション」と呼べる姿へと、進化を遂げていこうとしている。   たゆみない「ハミダス」の連続が、ブランドステートメント「ほんの少しの、その差にこだわる。」を、次代にも体現する確かな道標になっていると言えよう。    

(株)ニチレイフーズ

  • 所在地 : 東京都中央区築地6-19-20 ニチレイ東銀座ビル
  • 設立 : 2005年
  • 代表者 : 代表取締役社長 竹永 雅彦