いつものもしもCARAVAN:良品計画
2022年5月は東京都豊島区、6月は岐阜県各務原市、7月は広島県広島市で実施。10月には新潟県上越市で開催予定だ。今後、国内の全ての地域で開催することを目標にしている
OMO ―おも―:星野リゾート
THE CAMPUS:コクヨ
ライブオフィスとショールームがあるほか、新規技術の研究や新事業開発の場としてのラボを設置し、他企業との協業も実施している。「THE CAMPUS SHOP」では、AR(拡張現実)技術を活用した展示をスタートした
BEAMS LIVE:ビームス
2022年5月は東京都豊島区、6月は岐阜県各務原市、7月は広島県広島市で実施。10月には新潟県上越市で開催予定だ。今後、国内の全ての地域で開催することを目標にしている
イベントを通して遊びながら防災を学ぶ
国内では毎年、甚大な被害を及ぼす自然災害が発生している。いつ自然災害が起こっても不思議ではない状況において、欠かせないのが日ごろの備えだ。ただ、いつ、どのような災害が起こるか予測できないだけに、「何から準備すべきか分からない」という人も少なくない。
そうした課題解決のため、無印良品を運営する良品計画は、2011年から「いつものもしも」プロジェクトを展開している。同プロジェクトは防災について学び、考え、実践する活動であり、「物」「知識」「スキル」という3つの切り口から日常的な備えの重要性を伝えている。
具体的には、日常でも災害時にも使える商品を選定・開発し、「防災日用品」として店頭でプロモーションを実施。また、特設サイトでは防災に役立つ情報を発信し、日常において防災について考える機会を提供している。
さらに、2020年からは体験型のイベント「いつものもしもCARAVAN」を開催。イベントを通じて地域の人や企業、自治体が垣根を越えてつながることで、地域全体の防災力の向上を目指している。
同イベントの魅力は、遊びながら楽しく防災について学べること。普段から常備しているレトルト食品の効率的な保存法といった講習や、アウトドアのスキルを防災に生かす丸太切りやまき割り体験、毛布を使った担架タイムトライアルや避難時を想定した段ボールベッドでの宿泊体験など、子どもから大人まで楽しめるさまざまなプログラムを用意している。
イベント会場では無印良品の「いつものもしも」に選定された商品が販売されており、参加者は体験によって高まった防災意識をもって商品を購入できる。
良品計画によれば、2022年以降は各地域に合った防災備品や知識を盛り込みながら同イベントを全国に拡大していく計画であり、CX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験価値)を高めながら防災という社会課題に取り組んでいく。
PROFILE
- (株)良品計画
- 所在地:東京都豊島区東池袋4-26-3
- 設立:1989年
- 代表者:代表取締役社長 堂前 宣夫
OMO ―おも―:星野リゾート
旅のテンションを上げる都市観光ホテルブランド
初めて見る景色やご当地の絶品グルメ、旅先での出会いといった新しい発見は、旅行の醍醐味と言えよう。そうした“ご当地”ならではの魅力を発見できる仕掛けを盛り込み人気を集めているのが、星野リゾートが展開する都市観光ホテルブランド「OMO」だ。
OMOのコンセプトは、「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市ホテル」。同ブランドにはカプセルホテルのOMO1、ベーシックホテルのOMO3、ブティックホテルのOMO5、フルサービスホテルのOMO7という4タイプがあり、旅の目的に合わせて選ぶことが可能だ。2022年7月現在までに全国12施設を展開している。
「旅のテンションを上げる」と銘打つOMOは、どのホテルも立地の良さが際立っている。例えば、札幌を代表する繁華街・すすきのや、京都風情を満喫できる祇園など、街そのものにブランド価値があるエリアに建っており、グルメスポットや観光名所などへのアクセスも抜群だ。
加えて顧客の“テンションを上げる”のが、ホテルに仕込まれた3つの仕掛けである。1つ目の「ガイド付きツアー」は、街を知り尽くしたスタッフ「OMOレンジャー」が街を案内するというもの。近所の散歩から、知る人ぞ知るグルメスポットまで、街の魅力を満喫できるツアーが毎日開催されている。
2つ目は、「ご近所マップ」。一部の客室やパブリックスペースの壁一面に、街の名所や観光スポットを詰め込んだ大きな地図が描かれており、眺めているうちに「どこに行こうか?」「何を食べようか?」と自然にテンションが上がる仕掛けである。
3つ目が、「OMOベース」というパブリックスペースだ。観光の合間に一息ついたり、ご近所マップを見ながらプランを考えたりと、旅のエネルギーをチャージできる空間を提供している。
OMOは、ただ寝る場所ではなく、「旅の体験価値を上げる基地のような存在になる」というホテルの新たな可能性を示している。
PROFILE
- (株)星野リゾート
- 所在地:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2148
- 創業:1904年
- 代表者:代表 星野 佳路
ライブオフィスとショールームがあるほか、新規技術の研究や新事業開発の場としてのラボを設置し、他企業との協業も実施している。「THE CAMPUS SHOP」では、AR(拡張現実)技術を活用した展示をスタートした
街に開かれたオフィスで価値を実験
コロナ禍で働き方の多様化が加速している。仕事の拠点であるオフィスの役割が変わりつつある中、新たなワーク&ライフスタイル提案の場として注目を集めている「THE CAMPUS」。老舗文具・家具メーカーのコクヨが2021年に東京都港区につくった「オープンオフィス」である。
THE CAMPUSのコンセプトは、「みんなのワーク&ライフ解放区」。働くことや暮らすことをより豊かにする学びや気付きを提案するため、コクヨのオフィスに加え、パブリックスペースとしてショップやカフェ、イベントスペースなどを併設している。低層階は一般客や地域住民も利用が可能だ。
あえて街に開かれた空間を取り入れたTHE CAMPUSが目指すのは、多様な価値が混ざり合い、新しい科学反応を生み出し続ける実験・実践の場。その試みとして、高層階の自社オフィスをライブオフィス※として公開するほか、広々としたショールームでは顧客がコクヨ製品を実際に利用できる。
一方、パブリックエリアにある「THE CAMPUS SHOP」では、AR(拡張現実)技術を活用した展示をスタートした。もともと同ショップは、創造性を刺激するコクヨ製品を集めて新たな切り口で製品情報を発信するマーケットのような位置付けだったが、2021年秋から店舗内でタブレット画面にARコンテンツを表示する機能を追加した。これにより、通常の売り場よりも商品の感性的・機能的な価値を伝えることが可能になった。
例えば、商品に近づくとラインアップや商品の使い方の動画が表示されたり、使用例を画面で確認できたりする。また、ECサイトと連動しており、店頭在庫がない商品でもその場で購入し、配達の手配までを完了することができる。
中長期的には、店舗内コンテンツの拡充や、ファニチャー事業や新規事業領域への活用についても検証していくというコクヨ。リアルとデジタルを融合した体験価値の設計により、自社の未来を開いていく。
※ショールームを兼ねたオフィス。社員が働いている様子を見学できる
PROFILE
- コクヨ(株)
- 所在地:大阪府大阪市東成区大今里南6-1-1
- 創業:1905年
- 代表者:代表取締役社長 黒田 英邦
BEAMS LIVE:ビームス
販売スタッフのメディア化で共感を呼ぶ
衣料を中心にファッションやライフスタイルを提案するセレクトショップ大手のビームス。国内外に約170店舗を展開する同社は今、オンラインとオフラインを融合したオムニチャネル化の推進によって顧客体験価値の新たなステージに踏み出そうとしている。
コロナ禍による来店客の激減を受け、これまでリアルの店舗を重視してきたアパレル各社は、こぞってECサイトへの依存度を高めている。だが、ビームスがオムニチャネル化に向けてECサイトの大改革に乗り出したのはコロナ禍前の2016年のこと。顧客視点でサイトを見直し、それまでバラバラに運営していたコーポレートサイトとECサイトをいち早く統合した。
さらに、2020年にはライブコマースをスタート。店舗スタッフをはじめバイヤーやディレクターを含めた自社のスタッフが定期的にライブ配信を行い、背後にあるストーリーや思い入れ、着こなし術なども含めて商品の魅力を伝えている。2021年にはライブコマースのシステムを自社で構築し、ライブ配信の視聴から商品の購入、決済までの手続きをワンストップで可能とした。
全国各地のスタッフが、公式サイトやInstagram、Twitter、YouTube、ライブコマースといった複数のメディアを駆使し、スタイリングやフォトログ、ブログ、動画といったコンテンツを発信しており、その量と鮮度は圧倒的だ。顧客がコンテンツの中から自分の感性に合ったスタッフを発見し、フォローし、つながることで、スタッフと顧客のコミュニティーができていく。
実際、オンラインでスタッフの人柄やブランド愛に共感してリアル店舗へ来店したり、店舗での接客がきっかけでスタッフのSNSやライブコマースをフォローしたりと、顧客はオンラインとオフラインを行き来している。そのプロセスを通してスタッフから顧客に自然とブランド価値が伝わり、共感が高まっているところに、同社の好調の理由があるのだろう。
1976年の創業以来、日本の若者の風俗・文化を変えようと挑戦を続けてきたビームスは、スタッフと顧客をつなげながら新たなカルチャーを発信し続けていく。
PROFILE
- (株)ビームス
- 所在地:東京都渋谷区神宮前1-5-8 神宮前タワービルディング
- 創業:1976年
- 代表者:代表取締役社長 設楽 洋
