モデル企業
2022.03.01
Webマーケティングで見込み顧客にアプローチ:コープデリ生活協同組合連合会
1都7県で事業展開するコープデリ生活協同組合連合会(以降、コープデリ連合会)。宅配事業ではWebマーケティングに力を入れて新規組合員を募っている。複数のデジタルメディアを活用する多彩な手法を探った。
オウンドメディア『つかうほど、じぶんらしく。』で、宅配サービスの強みを分かりやすく伝えている
次世代の組合員獲得のためWebマーケティングに注力
新型コロナ感染拡大に伴って、巣ごもり需要が拡大したのは記憶に新しい。中でも好調なのが食品の宅配サービスだ。夫婦の共働きや高齢者の増加という社会的要因を受けて、多くの事業者が参入している。そうした中、1992年の設立以来、一貫して宅配事業を続けてきたのがコープデリ連合会である。
同会は関東甲信越のコープみらい、いばらきコープ、とちぎコープ、コープぐんま、コープながの、コープにいがた、コープクルコ※という1都7県の生協が参加する事業体。その規模は事業高6286億円(2020年度)、組合員数約512万人(2021年3月時点)に上る巨大な生活協同組合である。
同会の宅配事業では、各コープが複数の宅配センターを構えており、そこで営業担当者が新規顧客の獲得に当たっている。同時に新規顧客集客の役割を担っているのが宅配EC事業推進部だ。
「新規顧客獲得のためにメインで活動しているのは、宅配センターの営業担当者や配達担当者です。直接、消費者のお宅を訪問して新規加入のための営業活動を行っています。しかし、新型コロナ感染拡大に伴い、訪問自体が難しい状況になる中、Webやメールから会員になっていただく流れが従来以上に重要になっています」
自身の果たす役割をそう説明するのは、コープデリ連合会宅配EC事業推進部営業推進課担当係長の山元志保氏だ。Webで加入した顧客は、組合員として同会の宅配サービスを受けられるようになる。
組合員になると、メインカタログ「ハピ・デリ!」や小さな子どもがいる家庭向け「きらきらBaby&Kids」、シンプル・ナチュラルな暮らしを応援する「Vie Nature(ヴィ・ナチュール)」、地方の名産品や専門店の味を案内する「ぐるめぐり」、介護食や大人用おむつなどに特化した「いきいきくらす」など、小さな子どもから高齢者までさまざまなニーズに対応したカタログから商品を注文できる仕組みである。
同会の宅配サービスの注文受付はカタログだけではない。年々、ニーズが高まっているのがインターネット注文である。
その役割を担っているのが、インターネット注文サイト「コープデリeフレンズ」。同サイトには、週1回決まった曜日に商品が届く「ウイークリーコープ」や、週3日から利用できる「デイリーコープ」をはじめ、スマートフォンで冷蔵庫の在庫や家計簿のチェックができる「ほぺたんポータルアプリ」、LINE注文や音声入力注文の受付、さらにはコープデリの商品情報をシェアできる組合員のコミュニティーサイト「コープ・デリシェ」などが集合している。
※コープにいがたとコープクルコは2022年3月21日より合併してコープデリにいがたになります
2016年にリニューアルしたECサイト「コープデリeフレンズ」
週1回決まった曜日に商品が届く「ウイークリーコープ」や、週3日から利用できる「デイリーコープ」をはじめ、組合員同士のコミュニティーサイト「コープ・デリシェ」など多彩なコンテンツが集積
オウンドメディアで多様な世代に向けて情報を発信
こうしたカタログや注文サイトを活用してもらうために、宅配EC事業推進部では、Webを最大限に生かして新規組合員の集客に当たっている。
Webからの新規加入のメインターゲットは、20~30歳代の出産・子育て世代である。これまでは50歳代以上の顧客が多かったコープデリ連合会だが、次世代の組合員を獲得するためにも、Webからの新規加入が重要な施策として位置付けられている。
若い世代にとって、スマホなどのデジタルツールを使って情報収集やサービスを受けることは当たり前。Webによる新規獲得という手法とマッチする世代に対し、同会は多様な手法を用いたデジタルマーケティングを展開している。
例を挙げると、ユーザーが検索したキーワードに連動して掲載されるリスティング広告をはじめ、バナー広告などのアフィリエイト、FacebookやInstagramなどのSNS、オウンドメディアなどがある。
「特に力を注いでいるのがオウンドメディアの『つかうほど、じぶんらしく。』です。多様な世代や家族構成の方に最適なサービスを届けるという、当会の宅配サービスの強みを前面に押し出して、新規組合員を募っています」
オウンドメディア「つかうほど、じぶんらしく。」の役割をそう説明するのは、コープデリ連合会宅配EC事業推進部営業推進課担当係長の秋葉啓由氏だ。加入への入り口には、「資料請求」、おかずや冷凍食品などを試せる「選べるおためしセット」、お得なクーポン券が付いた「ウェブ加入」の3種類がある。それぞれコープデリのサイト上に専用のランディングページを設けて新規顧客獲得を行っている。その中の「選べるおためしセット」は、洋食や中華料理などの食材をセットにし、さらに割引で提供することで新規加入を促すものだ。
その他にも、コープデリには複数のランディングページがある。子育て世代に対しては、離乳食や白かゆ、うどんのお試しセットなど、忙しく働く世代のために時短で料理ができるミールキットを紹介することで、新規加入を獲得してきた。
さらに、同会はSNSの活用にも力を注ぐ。例えば、オウンドメディアの「つかうほど、じぶんらしく。」は同会の公式FacebookやInstagramと連動している。こうしたSNSに写真映えする「おためしセット」などの画像をアップすることで、SNSを多用する子育て世代に情報を届け、効果的に訴求しているのだ。
他社とコラボしたノベルティーをプレゼント
同会では、こうしたオウンドメディアやSNSを使った情報発信のみならず、他社とのコラボレーションを積極的に行うことで発信力を高めている。その取り組みの1つが、Webから資料請求をした人に対してノベルティーをプレゼントするという企画だ。
コラボ先として選んだのは、フランスのキッチンウェアブランド「ル・クルーゼ」。機能性に優れたホーロー鍋や、テーブルを彩るカラフルな食器などで、高い人気を誇るブランドだ。
「Webからの新規加入が多い世代に人気のある、華やかな色使いのブランドが最適だと考えてル・クルーゼを選びました。当会の食に対するこだわりとル・クルーゼの世界観をマッチングさせたかわいらしいデザインのディッシュクロスです。有名ブランドとのコラボは初めての経験でしたが、そのときに尽力してくれたのがタナベ経営でした」(山元氏)
狙いは的中し、若い世代から多くの反響があったという。また、同会では年2回、紹介キャンペーンを行っている。以前はコープの商品を使っていたが、こちらもノベルティープレゼントへの転換を図った。コープデリeフレンズに紹介キャンペーンのページを設けて告知を行っている。
企画内容は、時期によってさまざまだ。例えば、コープオリジナルキャラクター「ほぺたん」のバスボールやクリアボトルのプレゼントは、ファミリー層に人気を博した。さらに、「お友だち紹介キャンペーン」でもコラボ企画を実施している。
「こちらもタナベ経営に協力いただいて、サンリオキャラクターの『ポムポムプリン』とほぺたんがコラボした買い物バッグを制作しました。組合員の中にはサンリオのファンも多いので大きな反響がありました」(秋葉氏)
今後もこうしたコラボを増やし、若い世代の興味を引くノベルティーのプレゼント企画をすることで、さらに新規組合員の集客に力を注ぐという。
フォローメールでアプローチをかけ新規加入を増やす
ノベルティーによる新規加入キャンペーンを展開してきたコープデリ連合会の宅配事業。今後は実践してきたWeb広告の費用対効果を検証し、成果の上がった方法を継続していく予定だ。
また、フォローメールの充実も図る。資料請求をしたが、加入には至っていない人々にメールでアプローチすることで、新規加入者を増やしたいという狙いがある。
「以前は配送センターの担当者が訪問していましたが、コロナ禍で訪問することもままならなくなったため、メールでのフォローを強化しました。当会の人気商品や加入特典、サービス案内などを、画像で分かりやすく説明したHTMLメールでご案内しています。その結果、ここ1年ほど、メール経由で入会していただくケースがかなり増えてきました。メールでのフォローに今後はさらに力を入れ、加入につなげていきたいと考えています」(山元氏)
こちらも、どのメールがより多くの入会に結び付いたのかを検証し、内容をブラッシュアップしていくという。Web広告、オウンドメディアの充実、ノベルティーのプレゼント企画に加え、メール活用により新規加入につなげるコープデリ連合会。宅配(リアル)とWebを駆使し、それぞれの利点を生かしながら、今後も見込み顧客とのコミュニケーションに磨きをかけ続ける。
コープデリ生活協同組合連合会 宅配EC事業推進部 営業推進課 担当係長の山元 志保氏(左)と秋葉 啓由氏(右)
PROFILE
- コープデリ生活協同組合連合会
- 所在地:埼玉県さいたま市南区根岸1-4-13
- 代表者:代表理事 理事長 土屋 敏夫
- 供給高:4326億円(2021年度)
- 職員数:729名(2021年3月現在)