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【企業事例】優れた経営戦略を実践する企業の成功ストーリーを紹介します。
モデル企業 2026.02.27

グローバル人財を戦略的に育成する「グローバルコース」を創設 カルビー



成長をけん引する海外事業海外売上高比率を30%へ

「2030ビジョン『NEXT Calbee & Beyond』」を掲げ、さらなる成長と改革に向けて踏み出したカルビー。2030年の目指す姿として「海外市場と新たな食領域を、成長の軸として確立する」というメッセージを打ち出し、社会価値と経済価値の創出に向けて取り組んでいる。


中でも、2030ビジョンの実現の鍵を握るのが、「国内コア事業」「海外事業」「新規領域」の3つの柱だ。特に、海外事業は順調に成長を続けている。世界の11の国・地域で事業を展開しており(2025年4月時点)、2021年3月期に531億円だった海外売上高は2025年同期には794億円に増加。5年間で約1.5倍の規模に急拡大を遂げた。すでに海外売上高比率は24.6%を占めるなど、同社の成長をけん引する存在となっている。


ただ、この状況に同社は満足していない。2025年度の「KPI目標」として海外売上高比率を30~35%に設定。重点地域である北米・中華圏を中心に、マーケティングや開発のローカライゼーションを進めることで、現地の市場環境やニーズに合わせた戦略を推進していく方針だ。各国で確立しつつある商品ブランドを軸に置きつつ、同社ならではの独自の製法技術、独自の食感や素材の本物感、おいしさで差別化を図っていく。


例えば、北米エリアでは主力ブランドである『Harvest Snaps』の製品ラインアップを拡大すると同時に、『かっぱえびせん』『じゃがりこ』など日本発の製品展開を強化する。一方、中華圏ではインバウンドで増加した認知度を生かして小売店舗やEC販売を強化。特に消費者との接点を増加すべく、小売店の配荷率を上げる。また、中国国内およびアジアの生産拠点からの供給拡大を目指していく。


また、そのほかの国においても、現地のマーケットや消費者のニーズ、所得状況といった最新データを活用しながら、現地の状況に応じた戦略を立案して拡大を図っていくのに加え、中長期的には『じゃがりこ』をグローバルブランドへと育成していく考えだ。



全員活躍できる仕組みでビジョン2030を実現

海外事業を強化し、ビジョン2030の達成に向けて進むカルビー。その過程で課題となるのがグローバル人財の育成だが、すでにビジョン実現に向けた人財採用、人財育成に向けた手は打たれている。


NEXT Calbee & Beyondを実現する上で最も重要な資産を「人財」と位置付ける同社。人財戦略において何より大切にしている考え方は、全ての従業員が圧倒的な当事者意識を持って企業理念や価値観、文化を尊重しながら、自分の頭で考え行動するよう促すこと。この「全員活躍」の方針のもと、「全員活躍のための組織・人づくり」と「戦略人財への投資・育成」に力を注ぐ。


「全員活躍のための組織・人づくり」が見据えるのは、従業員一人一人が自由闊達かったつで高い妥協点を共有するプロフェッショナル集団だ。その一環として、2025年に働く場所や時間を自立的に選択できる「カルビーハイブリッドワーク」へ移行。各自が仕事の目的や成果から逆算して、モバイルワークと出社を柔軟に組み合わせられる環境を整備した。


一方、「戦略人財への投資・育成」において重点となるのが、次世代ビジネスリーダーやグローバル人財、そしてDX人財の育成である。中でもグローバル人財の育成について、同社はカルビーの企業DNAを有する人財のグローバルへの配置を進めるほか、海外人財育成プログラムを新設するなどして人財育成や確保に積極的に取り組んでいる。



グローバル展開の次の一手となる人財育成プログラム

海外人財育成プログラムの要となるのが、2027年4月入社の新卒採用から新たに創設される「グローバルコース」だ。海外事業の拡大を支える人財の採用と育成を目的としており、将来は長期的に海外駐在員として海外グループ会社の経営や現地生産をリードし、リーダーシップを発揮できる人財の育成を目指していく。


背景には、急拡大するグローバル事業を担う人財の不足感がある。カルビーが本格的に海外への挑戦を始めたのは2010年ごろだ。これまでも海外領域を担える人財の確保・育成に努めてきたものの、さらに海外展開を加速させるには強いグローバルマインドを持つ人財の増強が不可欠だった。特に、語学力と経営マネジメント力の両方を備えた人財の確保は喫緊の課題となっていた。


世界で活躍できるグローバル人財をどのように育成していくのか。今回新設されたグローバルコースの特徴は、将来的な海外赴任を前提としたキャリア設計にある。具体的には、採用後に約5年間かけて国内の物流や財務、設備保全といった基礎スキルを習得した後、トレーニー(訓練生)として原則1年間、海外に赴任して業務経験を積む。その後は国内に戻って専門力やマネジメント力を磨き、将来的に駐在員として海外現地法人をリードする人財へと育成するのだ。


本格的に駐在する前に、まずは海外トレーニーとして経験を積む独自のプログラムであり、20歳代でトレーニーとして海外経験を積んだ後、早ければ30歳代でマネジャーとして海外に駐在することが可能となる。同社としても、採用と育成を一体化したコースを設けるのは初の取り組みであり、グローバルな視点を持った人財基盤の整備や人財マネジメントの強化を通してグローバル市場におけるさらなる成長を目指していく。


カルビーは1949年の創業以来、「自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します」という企業理念を体現してきた。事業は原材料の調達から製造、物流、販売まで幅広いバリューチェーンでつながっており、その中で成果を上げていくには部署の垣根を越えて仲間と協業し、課題を乗り越えていく人財が欠かせない。


グローバルコースがそうした人財を生み出す拠点となり、100年を超えて持続的に成長し続ける企業へと進化を遂げられるか。カルビーは今、その正念場にいる。


カルビー(株)

  • 所在地 : 東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館22階
  • 設立 : 1949年
  • 代表者 : 代表取締役社長兼CEO 江原 信
  • 売上高 : 3225億6400万円(連結、2025年3月期)
  • 従業員数 : 5138名(連結、2025年3月現在)