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【研究リポート】

視察リポート

タナベコンサルティンググループが行った視察(展示会、フォーラム、海外企業など)をリポートします。
研究リポート2023.07.25

「自治体・公共Week 2023」から見る3つの“地域創生”トレンド

 

2023年6月28~30日、東京ビッグサイトにて開催され、約2万名が来場した日本最大の自治体向け展示会「自治体・公共Week2023」(RX Japan主催)。地方創生・産業振興をテーマに、さまざまな自治体・公共向けの製品・サービスが展示される中で見えた“地域創生”のトレンドと課題をリポートする。

 

 

“地域創生”における課題

日本の多くの地域で深刻化する少子高齢化、人口減少、産業の空洞化。こうした課題の解決を目的に、政府は2014年、地方創生を国家戦略の柱と位置付け、内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置して、地方の経済・産業の振興、雇用創出、地域間格差の縮小などを推進する施策を開始した。

 

2014年度には、第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され、地域資源の活用、地域の産業振興、地域への人材定住促進などによって「まち」「しごと」「ひと」を循環させ、東京圏への一極集中を打開することで、地域格差を解消することが目指された。

 

しかし、東京圏への転入超過が続いたため、政府は2020年度に第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を開始。2020年12月にはコロナ禍を踏まえた改訂版を公表し、次の4つの基本目標と2つの横断的な目標を掲げて、人口減少の克服と成長力の確保によって「活力ある日本社会」の維持を目指している。

 

<基本目標>
①稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
②地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
③結婚・出産・子育ての希望をかなえる
④ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

 

<横断的な目標>
①多様な人材の活躍を推進する
②新しい時代の流れを力にする
出所:内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」、「まち・ひと・しごと創生『長期ビジョン』『総合戦略』『基本方針』」

 

また、2021年6月には「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」を公表。感染症が拡大しない地域づくりを含め、前述した6つの目標に加えて次の3つの視点を重点として、取り組みのバージョンアップを図っている。
①ヒューマン:地方へのひとの流れの創出、人材支援
②デジタル:地方創生に資するDXの推進
③グリーン:地方が牽引する脱炭素社会の実現
出所:内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局・内閣府地方創生推進事務局「まち・ひと・しごと創生基本方針2021について」(2021年6月)

 

こうした流れもあり、本展示会では自治体や公共のDXを支援する製品・ソリューションが数多く出展されていた。しかし、展示会参加者(自治体・官庁・議員・公共施設の方々)にヒアリングすると、行政が主体となって地域企業を支援したいものの、「何から着手すれば良いかが分からない」「主体となって企業のDXを推進するノウハウがない」といった声が多く、「デジタルをどう使うのか」「誰が推進するのか」が組織内で定まっていないという印象だった。
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