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【研究リポート】

地域創生型新しいビジネスモデル研究会

地域における課題に対して「産学官民連携」をキーワードとした事業開発の切り口で、地域課題解決型事業を学びます。
研究リポート2024.06.04

行政と協同する意味、そして可能性:和歌山県 商工労働部企業政策局 成長産業推進課

【第2回の趣旨】
地域創生型新しいビジネスモデル研究会では、「地域創生×産学官民アライアンス」による新規事業開発を実現するため、行政・教育機関・スタートアップ企業・地域創生型ビジネス牽引企業などのゲストを迎え、事業開発の切り口となるイノベーション・共創へのヒントを提供し、社会課題解決型事業の具体化する機会を提供する。
第2回では和歌山県 商工労働部企業政策局 成長産業推進課の吉田氏とMs.Engineer株式会社代表取締役 やまざきひとみ氏をお招きし、行政と協業するための切り口や行政と連携した事業開発の視点をお話しいただいた。

開催日時:2023年4月18日(大阪開催)

 

 

行政と協同する意味、そして可能性:和歌山県 商工労働部企業政策局 成長産業推進課

 

和歌山県 商工労働部企業政策局
成長産業推進課 吉田 圭吾 氏
和歌山県入庁以来、一貫して商工行政に従事する商工行政のスペシャリスト。
起業家プラットフォーム立ち上げやデザイン経営を活用した中小企業価値創出プロジェクト、アントレプレナーシップ教育プログラムなどを企画・運営。R6からスタートアップ・ベンチャー支援に携わる。

 

 

はじめに

 

本研究会のテーマである「地域創生×産学官民アライアンス」によるビジネスモデルを検討するにあたり、第2回においては行政視点での「協業」について理解を深める回となった。

 

講演のポイントは大きく3点であった。

 

❶行政と民間企業と協業するとはどういうことなのか。

❷民間企業はどうすれば行政と協業することができるのか。

❸地方と共に協業・事業を進めていくためには。

 

各県、市区町村に必ず存在する行政は身近な存在でありながらも、行政とのつながり方や予算策定プロセス・行政が実施したいことなど、実際に民間企業が知らないこと多々存在する。今回は和歌山県庁の吉田氏をお招きし、行政と民間企業との協業の在り方について体系的に説明いただいた。

 

知事・議会・公務員・県民の全体外観を整理し、それぞれの役割について体系的に説明。
知事・議会・公務員・県民の全体外観を整理し、それぞれの役割について体系的に説明いただいた。

 


 

まなびのポイント 1:どの行政プレイヤーとつながるのか/何でつながるのか

 

行政と協業をする際に重要なポイントが2点ある。1つ目は「行政のどのプレイヤーに接触するか」である。行政の特徴として「決められたルール・方針を超えた」交渉や協業は後ろ向きになりやすい傾向にある。決まったことを動かすパワーは非常に強いものの、動き出すまで・上申するまでは行政の一“個人”と共にディスカッションを進めることになるため、ディスカッションをする行政職員の熱量や権限にも着目する必要がある。

 

2つ目は「どのような切り口でつながっていくのか」である。各行政別に長期総合計画が存在する。長期総合計画こそが行政の長期の“方針”にあたる。長期総合計画に記載されている戦略のうち、各課別の取組実施内容や現在の進捗状況を確認したうえで、課題解決のアプローチ・協業ディスカッションを進めることが望ましい。

「和歌山県長期総合計画」より抜粋
「和歌山県長期総合計画」より抜粋
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/chokei/honpen/honpen.html

 

 

 

まなびのポイント 2:行政との共感形成を進めながら協業を進めていく

 

地域の“潜在課題”や協業が必要な地域課題を明確にしたうえで、なぜ行政と民間企業が一緒になって取り組むべきことなのか、膝を突き合せた“対話”が必要になる。行政は地域住民が今よりさらに住みやすく、さまざまな公共サービスが享受できるを地域を形成したいと考えているが、行政サイドからは“気づけていない”課題が存在することも事実である。

 

行政と共に潜在課題を理解し、その課題を解決することでどのような地域を実現できるのか、地域がどう変わっていくのかなどの社会的インパクトも設計しながら、共感形成を進めていくことが重要だ。また一つの行政で課題解決モデルの事例をつくることができたら、同一の課題を持つ行政にもアプローチする横展開モデルも可能となる。

地域課題解決に貢献するローカル・ゼブラ企業

 

 

 

まなびのポイント 3:ローカル・ゼブラ企業への挑戦

 

地域の未来に対して、企業が主体となった地域課題の解決を進め、かつ社会的インパクトを創出する企業を「ローカル・ゼブラ企業」と呼ぶ。ローカル・ゼブラ企業の担い手は地域の中小企業・小規模事業者であり、“互いに連携”“アライアンス”を軸とした課題解決モデルに期待が高まっている。

 

今回の当研究会のコンセプトでもある「行政や住民・大学等の教育機関を巻き込みながら、経営資源の“不足”を補い、社会課題に立ち向かうこと」とも重なる部分が非常に多い。しかし、定性的・表面的な社会解決モデルではなく、社会的インパクトの定量化・可視化が必要であることには注意が必要だ。企業経営においても重要な考え方であるKGI・KPIの視点を持ちながら、挑戦していくことが望ましい。

ローカル・ゼブラ企業の役割
「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」より抜粋
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki_kigyou_kyousei/2024/20240301.html

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