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【研究リポート】

観光・地域活性化研究会

観光は点(企業)から面(地域連携)への展開が不可欠です。地域活性化に欠かせないネットワークを研究しながら視察先や参加者、地域との「つながり」を構築しましょう。
研究リポート2024.04.02

全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」 ~高齢化・人口減少下の地域活性化について~:内閣官房

【第1回の趣旨】
当研究会では、個(企業)から地域(地域活性化)へ展開し、収益モデルを創造することをメインテーマとし、「持続可能な社会」と「自社の持続的な成長」の両立を実現することを先進事例から学ぶ。
第1回では、地域の自然を生かし、地域活性化のビジネスモデルを構築している企業を紹介、また、観光庁、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局より講師2名をお招きし、日本における観光業の潮流や今後の展望、全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」の実現に向けた取り組み事例などをご講演いただいた。

開催日時:2024年2月22日(東京開催)

 

 

内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
石川 悟 氏

 

 

はじめに

地方創生、デジタル田園都市国家構想では、以下のようなことを実現するため、取り組みを推進している。

 

(1)地方を中心に、人口減少・少子高齢化、過疎化・東京圏への一極集中、地域産業の空洞化といった地域課題の解決

(2)デジタル技術が急速に発展する中、デジタル技術の活用により地域の特性を生かしながら、地域の社会課題の解決と魅力の向上を図っていくとともに、地方活性化を加速

(3)国・地方が連携しながら取り組みを推進することで、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を実現

 

 

 


 

まなびのポイント 1:日本が置かれている現状

日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少しており、2050年には1億469万人(高齢化率:37.1%)、2070年には8700万人(高齢化率:38.7万人)になるとまで言われている(国土交通省「国土形成計画(全国計画)関連データ集」)。また、東京への転入者数の超過も続いており、今後も、さらなる東京圏への一極集中が進む可能性があると見られている。

 

その一方で、コロナ過を経てテレワークが普及し、20歳代などでは地方移住への関心が高まっている。ただ、仕事や収入、買物や公共交通などの利便性に不安を感じる人も少なくない。近年では首都圏から転出する企業が増えていることから、地方で暮らすことへの支援に向けた仕組みづくりおよび支援が重要となってくる。

 

 

まなびのポイント 2:全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」

デジタルを活用した社会課題解決の中でも、全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」という考え方が広がっている。これは、女性、若者、高齢者、障害者など、誰もが居場所と役割をもって活躍できるコミュニティーを目指すというもの。分野横断的かつ一体的にさまざまな事業を実施することにより、地域コミュニティーを活性化していく。

 

重要な観点としては、「交流・居場所」「活躍・しごと」「住まい」「健康」「人の流れ」の5分野を横断的に取り組むことでより効果的な取組となることである。例えば、町中で健康づくりのイベントなどを実施すれば、健康増進とともに交流機会を拡大させるなど、さまざまな効果を生み出す可能性がある。

 


地域課題を点で捉えるのではなく、面で捉えることでさまざまな効果を生み出すことが可能になる

(出所:内閣官房提供資料)

 

まなびのポイント 3:「生涯活躍のまち」の加速に向けて

「生涯活躍のまち」に向け地域コミュニティを形成し、地域の実情に応じた取組を推進するためには、次の3点がポイントとなる。

 

①地域課題やニーズの収集や整理
②①を踏まえ将来像の明確化
③②や事例研究等を踏まえ5分野の観点で事業を構想

 

このプロセスを参考に地域の実情に応じた対応策を講じることが重要である。また、このような取り組みは行政だけで推進することは難しい。官民連携によって推進されるべきであり、行政も民間企業との連携・ノウハウ活用を希望している。

 


鳥取県南部町にある「えん処 米や」。町が古民家を改修し、1階では「地域交流拠点」、2階では南部町の生活を体験するための「お試し住宅」を運営

(出所:内閣官房提供資料)

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