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【研究リポート】

ウェルビーイングでビジネスを成長させる研究会

新たな時代で勝ち残るための生活者視点・お客様視点の事業戦略をウェルビーイングの視点から学びます。
研究リポート2024.03.08

『ウェルビーイング×事業価値創造』の取り組み:クラブツーリズム

【第1回の趣旨】
ウェルビーイングでビジネスを成長させる研究会では、『ウェルビーイング』を中心としたビジネス展開や、ウェルビーイング視点で価値創造を行っているさまざまな企業の視察を通じて、ウェルビーイングでビジネスを成長させるヒントをつかむ、あるいは事業構造を変革するきっかけをつかんでいただく機会を提供している。

今回は「ウェルビーイングビジネスを体験・体感する」をテーマに、2社のゲスト講師からこれまでの会社・事業の成長の歴史、成長してきたポイントを伺うとともに、ウェルビーイングビジネスのターゲットや商品についてディスカッションを行った。

開催日時:2024年2月21日(埼玉開催)

 

『ウェルビーイング×事業価値創造』の取り組み:クラブツーリズム

 

クラブツーリズム株式会社
創造事業本部 営業企画部 新規事業開発 アライアンスビジネス担当 課長 井原 優 氏

 

 

はじめに

 

クラブツーリズムは「旅を通して、出会い、感動、学び、健康、やすらぎの種をまき、はつらつたる喜びに満ちた社会を花開かせていく」というミッションのもと、旅を中心として地域創生やコミュニティの創造など、多くの事業を展開している。

 

その中で、ウェルビーイングをコンセプトの中心に置いた事業を、様々な企業とアライアンスを組みながら幅広く展開している。これまで旅行をはじめとして様々なサービスを生み出してきた経験を、ハード(場所や顧客基盤)は持っているが十分に生かしきれていない企業と提携し、魅力ある多くのサービスを生み出している。

 

今回はクラブツーリズムがイオンタウンから委託され運営するイオンタウンふじみ野内にあるコミュニケーションスペース「cotokoto」を視察し、ウェルビーイングビジネスの実状を伺うとともに、全国で展開されている様々な施策から、『ウェルビーイングでビジネスを行うとはどういうことなのか?』を研究した。

 

 

企業ロゴは、手をつないで踊る5人は旅仲間であり、旅で豊かになる五感であり、「出会い」「感動」「学び」「健康」「やすらぎ」の旅の5大要素を表している。5大要素はいずれもウェルビーイングにつながっている。
企業ロゴは、手をつないで踊る5人は旅仲間であり、旅で豊かになる五感であり、「出会い」「感動」「学び」「健康」「やすらぎ」の旅の5大要素を表している。5大要素はいずれもウェルビーイングにつながっている。

 


 

まなびのポイント1:これまでの新規事業創造における過程と今後の展開

 

クラブツーリズムは事業を通じて「体験づくり・つながりづくり・居場所づくり・生きがいづくり」など多くの〇〇づくりを行っており、〇〇づくりがウェルビーイングビジネスの中心にあると言える。

 

例えば『クラブ』活動を通じたつながりづくりでは、クラブツーリズムキャストとして、お客様にも“能動的に”事業活動に関わってもらっている(一緒にクラブ活動を拡げる役割をお客様に担ってもらう。キャストがクラブツーリズムファンコミュニティをつくっている)。

 

これらの取り組みがお客様のLTV(顧客生涯価値)を高める、あるいは一人のお客様をファンに育てる(伝播する)ことにつながり、ウェルビーイングなコミュニティが多く創造され、今も拡大し続けている。

 

 

 

まなびのポイント2:地域の良さや持ち味を探求、発信する先にあるウェルビーイング×地域活性化の形

 

地方創生の一環で、全国各地域で様々なことに取り組む人物にフォーカスを当て、オンラインでつないでの地域体験などの講座を多数用意している。

 

その中で、今回は島根県の玉造温泉の薬湯づくり体験を実施。オンラインで講師の片岡諒先生(松江市立病院)と繋ぎ、薬草と湯治の街である玉造温泉の歴史や、地域資源を活用したウェルネスツーリズムの取り組みを知り、健康やリラックスに効果のある薬湯づくりと入浴方法について学んだ。

 

地域で育まれてきたものの中には、まさしくウェルビーイングなことが多くあり、それを知ることが重要である。知ることで、『自らも地域に貢献したい』と能動的に考える人が増える。ウェルビーイングビジネスとは、ターゲットとなる顧客に商品やサービスを享受してもらうだけでなく、“能動的に”自社の事業に関わってもらうことが重要なのである。

 

合同会社薬雲(やくも)及び松江市立病院代表 片岡 諒氏(右)とのオンライン中継
合同会社薬雲(やくも)及び松江市立病院代表 片岡 諒氏(右)とのオンライン中継

 

 

まなびのポイント3:イオンタウンふじみ野 cotokotoリビングスペースでの体験価値創造

 

クラブツーリズムの体験価値は、旅行~旅の友という情報媒体~地域のイベント実施~cotokoto(コミュニケーションスペース)などお客様と継続的につながることによって、“タビマエ”と“タビアト”の付加価値を高めていることがポイントである。

 

cotokotoはふじみ野という街自体をウェルビーイングにする取り組みを行う起点としての役割を担っており、あるいは情報が発信され集約されるプラットフォーム的な役割を担っているとも言える。

 

コミュニティとは、生活に欠かせない重要な役割(社会関係資本)であるとクラブツーリズムは考えており、全国各地の目的型コミュニティづくり(アクティブシニア×旅/趣味嗜好が同じ参加者が集まる)を通じて、一人ひとりの『居場所』づくりが進められているのである。

 

 

イオンタウンふじみ野内にあるコミュニケーションスペースcotokoto
イオンタウンふじみ野内にあるコミュニケーションスペースcotokoto

 

 

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