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【研究リポート】

建設ソリューション成長戦略研究会

人件費・資材の高騰、地方の衰退など、外部環境の変化に合わせて提供価値を進化させている企業を研究し、建設業界の発展に寄与する機会を作っています。
研究リポート2024.03.01

「建設DX」に関する取り組み:アクティオ

【第3回の趣旨】
本研究会では、秀逸なビジネスモデル・経営ノウハウを持つさまざまな企業の現場を「体感」する機会と、経営改革・業務革新のヒントを提供する。昨今は、経済的価値(技術・請負金額・工期などを通じて顧客に提供する価値)と社会的価値(人的資本の充実、地球環境配慮など社会課題の解決に資する価値)を組み合わせた経営が、高収益なビジネスモデルを実現する鍵となる。

第3回は、アクティオICT営業部の日南茂雄氏より、建設業におけるウェブ注文サービス、竹中工務店・カナモト・センシンロボティクスと共同開発した「BIM×Drone(ビム・クロス・ドローン)」、無人化施工についてご講演いただいた。

開催日時:2024年1月26日(東京開催)

 


アクティオのショールーム
 


 

まなびのポイント1:顧客の利便性と社内の生産性向上に不可欠なウェブサービス

 

アクティオは、建設機械や重機、器具などのレンタル・リース・販売などを国内外で展開する企業である。

 

同社におけるウェブ注文サービスは、顧客の利便性と社内の生産性向上に不可欠なサービスとして位置付けている。注文の流れとして、「アクティオ建機レンタルサービス」にアクセス後、ページ内の総合カタログからレンタルしたい建設機械をカートに入れ注文を行い、同社営業所スタッフとチャットでやり取りを行い注文を確定する。

 

チャットはメールに比べて要件のみの入力で済むため、スマホからでも入力が容易である。また、記録を残せるため、顧客にとっては後で見返すことができる安心感が利点となっている。さらに、緊急の場合は営業所スタッフが電話でフォローする仕組みも構築している。

 

 

まなびのポイント2:BIM×Drone(ビム・クロス・ドローン)

 

同社はこれまで、竹中工務店、カナモト、センシンロボティクスとともに、BIM※を用いた屋内外自立飛行システムの実証実験を実施してきた。結果として、共同開発した屋内自律飛行システム「BIM×Drone(ビム・クロス・ドローン)」による屋内外の計測が可能となった。従来のドローンでは、建物内・地下・橋梁下などGNSS(衛星測位システム)が機能しない場所だと安定的に飛行できない、どこを飛んでいるか分からないという課題があり、自動飛行の実現が難しかった。

 

BIM×Droneでは、センシンロボティクスの業務自動化プラットフォームを使い、カメラで撮影した映像から自己位置の推定と、環境地図の作成を同時に行う技術を実装。 BIMや3Dモデルから作成したマップを、機体の飛行指示に活用している。建設現場や大型施設などの点検・建設業務を人に代わって効率的に作業できる。

 

※BIM(Building Information Modeling)。コンピューター上に作成した主に3D の形状情報に加え、室などの名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなど、建物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステム

 


共同開発した屋内自律飛行システム「BIM×Drone(ビム・クロス・ドローン)」

 

 

まなびのポイント3:人の安全性を考慮した無人化施工

 

無人化施工については、浅間山災害時の応急復旧作業を視野に入れた施工を実施している。浅間山の度重なる噴火により甚大な被害が発生してきた歴史を振り返り、ハードとソフトの両面から火山対策を行っている。

 

例えば、最大通信距離10kmのWi-Fiを使用して、重機を離れた場所から操作するなどである。この操作では、ドローンも活用している。重機に設置したカメラの映像だけを頼りに操作すると距離感をつかみにくい。クローラーダンプのオペレーターは、「どのくらい無人バックホー(ショベルがオペレーター側に取り付けられている建機・重機)に近付けば、ショベルと荷台の位置が合うか」といった判断が難しい。それを補うのが、ドローンからの映像である。オペレーターは操作室から、無人バックホーに設置したカメラ映像と、ドローンの映像を見ながら操作端末を使って無人バックホーを操る。

 

 

ショベル容量0.7㎥のバックホーをラジコン化

バックホーの正確な位置を測位するためのGPSアンテナ(左)、バックホーのアームの動きを測定するセンサー(右)

 

クローラーダンプには建機用無線操縦ロボット「アクティブロボSAM」を装着

操作室では無人バックホーを遠隔操作

 

 

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