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【研究リポート】

SDGs・ESG経営研究会

2030年までの成長戦略は、環境・社会・経済のサステナビリティへの挑戦です。SDGs・ESGを通してサステナブルなビジネスモデルの再構築について学びます。
研究リポート2024.01.19

サステナビリティ経営を目指す企業が使う「経営デザインシート」~知財・無形資産活用に向けて~:オムロン

【第2回の趣旨】
2030年に向けた戦略構築においては、サステナブルというキーワードが非常に重要になる。SDGs・ESG経営研究会では、「未来の社会課題を解決するための新たな事業を創造する」というテーマのもと、ビジネスとしてSDGsに取り組んでいる先進的な企業を紹介する。
第2回では、企業の将来価値を向上させ、競争力を強化したい経営層を対象に、オムロンの技術・知財本部知的財産センタ長・奥田武夫氏より講義とワークショップを実施いただいた。

開催日時:2023年12月18日(東京開催)

 

 

オムロン株式会社 技術・知財本部
知的財産センタ長 奥田 武夫 氏

 

 

はじめに

 

1933年創業のオムロンは、センシング・コントロール技術を核とした制御機器や電子部品のほか、ヘルスケア製品などを製造・販売する電気機器メーカーである。

 

同社は、社会のサステナビリティと自社のサステナビリティを両立させることは、 企業としての存在意義そのものであると捉え、「私たちは、『企業は社会の公器である』との考えのもと、 企業理念の実践を通じて、持続的な企業価値の向上を目指します。」というサステナビリティ方針を掲げて、「社会価値」と「経済価値」の両方を創出し、企業価値の最大化に向けて事業を推進している。

 

 

 


 

まなびのポイント 1:オムロンのサステナビリティ経営

 

同社は創業以来、「ソーシャルニーズの創造」に挑戦し続け、世の中の先駆けとなるさまざまなイノベーションを生み出してきた。2030年をゴールとする長期ビジョン「Shaping The Future 2030(略称 SF2030)」では、「人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける」をビジョンステートメントとして掲げ、人が能力を最大限に発揮できるよう、代替・協働・融和の3段階でオートメーションを拡張し、社会に実装していくことで社会的課題の解決を目指している。

 

また、2030年までに取り組む社会課題として、 ①カーボンニュートラルの実現、②デジタル化社会の実現、③健康寿命の延伸、の3点を設定。これらの課題を、同社の強みであるオートメーションと顧客・事業資産を活用し、4つのドメイン「インダストリアルオートメーション」「ヘルスケアソリューション」「ソーシャルソリューション」「デバイス&モジュールソリューション」で解決することを目指している。

 

 

 

まなびのポイント 2:経営デザインシートの活用

 

研究会参加者はワークショップにより、サステナビリティ経営の実現を目指し、将来に向けて具体的にどのようなことをやりたいのか、何をやりたいのかを考えるためのフレームワークを学んだ。自社の「これまで」を振り返り、やっていきたい「これから」のサステナビリティ経営のために、 どのような有形・無形の資産を持ち、足りない資産をどう獲得するかを考え、将来に向けてやるべきこと・やりたいことを整理する方法である。

 

具体的には、環境変化に耐え抜き、持続的に成長するために、自社や事業の ①存在意義を意識した上で、 ②「これまで」を把握し、 ③長期的な視点で「これから」の在りたい姿を構想する。④それに向けて今から何をすべきか、移行戦略の策定に取り組んだ。

 


経営デザインシート

 

 

まなびのポイント 3:経営デザインシートの特長

 

①将来を構想するための思考補助ツール (フレームワーク)である

②環境変化を見据え、自社や事業の「これまで」の理解に基づき 「これから」を構想する

③そもそも自分たちは何をしようとしていたのか、現業の範囲に縛られないように意識する

④これまでの延長線上ではなく、未来からバックキャスティングして考える

⑤1枚で俯瞰でき、時間軸で記載できる

⑥想いを記載できる

⑦資源とビジネスモデルと価値の関係性を意識しやすい

⑧企業理念の意図・背景を検討した上で事業を捉えると、より考えやすくなる

 


経営デザインが活用される場面

 

 

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