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【研究リポート】

『成長M&A』実践研究会

「戦略」と「実行のスピード」をポイントに、アフターコロナ時代に求められる戦略の方向性と、それを実現するためのM&A・アライアンスの手法を学びます
研究リポート2024.01.09

M&Aを成功に導くPMI (経営統合プロセス)の勘所:企業法務Matching

【第5回の趣旨】
当研究会では、独自のM&Aモデルを確立している企業からM&Aノウハウと業種の特徴を取り入れた事例を学ぶ場を提供する。第5回は、PMI(経営統合プロセス)をテーマにゲスト2社(企業法務Matching合同会社、株式会社エムジーエス)を迎え、M&AにおけるPMIのポイントや実例について講演いただいた。
開催日時:2023年10月26日、27日(北海道開催)

 

 

企業法務Matching合同会社
代表社員CEO 久保 智人 氏(左)
業務執行社員 弁護士・CLO 草薙 平 氏(右)

 

はじめに

 

企業法務Matching合同会社は、企業法務を軸に学生・企業・士業をつなぐ日本で唯一の事業を展開しており、既存法務部の強化や法務部の新規構築、法務担当者の育成などを手掛けている。メンバー全員が副業(複業)という体制で同社に在籍しているが、各自の長所を活かした支援体制を構築している。

 

さらに同社は、「あらゆる企業に法務リテラシーを」という理念を掲げ、企業法務を啓発し、あらゆる法務リテラシーを高めることで経営を多角的にサポートし、企業の継続的な発展に貢献している。

 

※正しい法律理解、ビジネスに関する知識、法務実務能力で企業を守り、ビジネスを発展させることで企業価値向上を目指す能力


企業法務Matching合同会社の理念

 


 

まなびのポイント 1:M&AにおけるPMIの位置付けと目的

 

PMIは、M&Aの一連の流れの中で、最終契約書を締結してM&Aが完了した後に行うプロセスである。クロージングしたからといって、統合作業(PMI)を行わなければ、買い手企業・売り手企業の間にシナジー(相乗効果)は生まれない。

 

M&Aを進めるに当たり、外部の専門家に相談することは多く、経営コンサルティング企業もその1つに入るが、最も重要なのは「自社の事業内容をよく知る自社自身でM&Aに取り組むこと」である。

 


M&AにおけるPMIの位置付け

 

 

まなびのポイント 2:PMIの主な実施項目

 

M&A後のPMIを進めるに当たり、基本的には下図の通り、「経営統合・業務統合・意識統合」の3つを意識して取り組む必要がある。

 

まずは実施テーマの優先度を決め、分科会を組成してPMIの取り組みを推進したり、定量的なモニタリングを行ったりすることが理想的だ。

 


PMIの主な実施項目

 

 

まなびのポイント 3:中小企業におけるPMIの成功ポイント

 

中小企業でPMIを進めるに当たり、まずはM&Aの目的を共有するために経営統合を行う。売り手企業の経営陣や幹部に、「なぜM&Aを行ったのか」「今回のM&Aにより何を求めているのか」を説明し、自社の経営理念や買収方針を理解してもらうことが重要である。

 

次に、目的に合わせた統合を行う。人材確保が目的であれば、人が離れないように意識統合を、モノやノウハウの確保が目的であれば業務統合を行うというのが一般的であるが、中小企業の場合は臨機応変に対応していくことが望ましい。中小企業の場合、仕事が人に付いていることが多いため、ノウハウの獲得が目的であったとしても、業務統合だけでなく、意識統合も並行して進めていく必要があるためである。

 

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