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【研究リポート】

食品価値創造研究会

AI・IoT・DX・フードテックなどの新たな潮流が、食品業界においてもさまざまなイノベーションを起こしています。新市場創造の最新事例を学びます。
研究リポート2023.09.11

「食を通した健康とホスピタリティの未来を、テクノロジーにより共創する」:株式会社グリーンハウス

【第1回の趣旨】
当研究会では、“食す”のEATになぞらえ、Engineering(技術進化・フードテック)・Association(新結合・オープンイノベーション)・Transformation(デジタル改革・業態転換)を推進している企業様から、業種の特徴を取り入れた戦略や独自のノウハウをもとに、自社が創造すべき価値についてヒントを学ぶ。
第1回は企業や病院内でのフードサービスや、グループで「とんかつ新宿さぼてん」を運営する株式会社グリーンハウスをゲストに、食と健康、食とホスピタリティーの未来をデザインするための最先端の取り組みをご紹介いただいた。

開催日時:2023年3月9日(東京開催)

 

 

グリーンハウスグループ
常務執行役員 村岸 栄一 氏

 

はじめに

 

企業や病院内でのフードサービスや、「とんかつ新宿さぼてん」を運営するグリーンハウスグループ。『(食と健康 +食とホスピタリティ)× 新しいアイデア』というコンセプトのもと、「GreeneX Plus」というオープンイノベーションを目的とした施設を2022年4月に立ち上げた。学びのポイントは「パーソナライズド×レコメンデーション」である。食と健康、食とホスピタリティーの未来をデザインするための最先端の取り組みをご紹介いただいた。

 


飲食事業は「とんかつ新宿さぼてん」を中心に国内外で616店舗を展開


オープンイノベーションを目的とした施設「GreeneX Plus」の内観

 


 

まなびのポイント 1:創業の原点

 

創業者である田沼文蔵氏は、1947年戦争で亡くした部下の霊に報いるため「社会に役立つ仕事がしたい」という熱い想いを持ち続け、慶應義塾大学予科の学生寮(現在の川崎市登戸)で学生の食事の面倒を見る仕事を引き受けた。戦後間もない食糧難の時代、必死で食糧を調達し、お金のない学生には無償で食事を提供したこともあるという。社是「人に喜ばれる仕事がしたい」という思いを日本の将来を担う学生達とともに歩みだしたことがグリーンハウスの原点となる。

 


創業者 田沼文蔵氏 (1952年)

 

 

まなびのポイント 2:食を通した健康貢献企業へ

 

2016年4月よりグリーンハウスグループでは、健康経営の実践のため「社員の健康増進で、いきいきと活躍できる職場と生産性向上で業績改善を実現する」とした健康企業宣言を制定している。これを実践するため、Chief Health Officer(最高健康責任者=CHO)を設置し、従業員が主体的に健康づくりに取り組める環境整備を進めるとともに、食を通した健康の実現を図り、顧客の健康にも寄与していくことを目指している。


健康経営マップ(グリーンハウスHPより)

 

 

まなびのポイント 3:パーソナライズド×レコメンデーション

 

「ひとびとの明日を今日より健康にする」をコンセプトに展開しているAI食事管理アプリ「あすけん」。食事画像判別AIなどにより、ユーザーは食事の写真を撮るだけで食生活を記録・栄養計算ができることに加えて、食事を記録すると、すぐに栄養計算・アドバイスが表示される。アドバイスは管理栄養士のノウハウとAI技術を組み合わせたもので、一般論ではなく、ユーザーの視点でアドバイスを行う。食に対する知見を個々のユーザーごとにカスタマイズして発信・提供できる技術、また日々どのように個々のユーザーとつながるのかを設計できる技術、そして何よりユーザーの行動変容を促し、動機付けする技術が特筆すべき点だと言えます。指導や指示ではなく、伴走する仕組みが同アプリの人気を博している。

 


AI食事管理アプリ「あすけん」

 

 

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