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【研究リポート】

マネジメントDX研究会

成長している企業は”デジタルを活用した自社独自の顧客創造モデル”を構築しています。当研究会では、DXによる顧客創造モデルの事例紹介、および設計をサポートします。
研究リポート2023.12.07

Try&Learnで進める ヤマハ発動機DX戦略と人材育成:ヤマハ発動機株式会社

【第2回の趣旨】
当研究会は、デジタル戦略のケーススタディー・ワークショップを通じてデジタル戦略のロードマップを描くことを目的としている。今期は「従来の見える化手法とDXを横断し、マネジメントをアップデートする」をテーマに掲げ、第2回は「デジタルケイパビリティー」を研究した。
オートバイを中心とした輸送用機器メーカーのヤマハ発動機株式会社様にご講話いただき、Try&Learnを繰り返すことで見えてきたヤマハのDX戦略と人材育成方法を学んだ。
開催日:2023年11月14日(東京開催)

 

 

ヤマハ発動機株式会社
IT本部デジタル戦略部 部長 新庄 正己 氏

 

はじめに

 

ヤマハ発動機株式会社は、二輪車やマリン製品、レクリエーショナルビークル、電動アシスト自転車、産業用ロボットなどを提供しているメーカーである。180を超える国と地域で製品を販売しており、連結売上高2兆2485億円(2022年12月期)、海外売上比率約93%のグローバル企業だ。

 

今回ご講話いただいたIT本部デジタル戦略部の部長である新庄正己氏は、2020年より同社のDXを推進している。バイクの車体設計や商品企画、調達部門まで幅広く経験してきた一方で、デジタル分野の業務経験がなかった新庄氏が、どのようにデジタル人材を育成、DX戦略を推進しているかを伺った。

 


ヤマハ発動機の事業と製品
出所:ヤマハ発動機コーポレートサイトを基にタナベコンサルティング作成

 


 

まなびのポイント 1:ヤマハらしい感動体験を届ける3つの改革

 

「何億円ものITシステムを導入したものの、生かしきれずに眠ったままになっているのは大企業でもよく聞く話です。そうならないために、デジタル化そのものが目的化しないよう、デジタル“も”うまく生かせる状態にビジネスを“変革”することが重要です」と新庄氏は説明する。

 

あくまでも、デジタルはビジネスを成長させる手段であると再認識し、同社では、DXの目的を 「競争力のある経営システム構築」「今を強くする」「未来を創る」 の3つに分けて明確化その実現のため、社内の優秀な人材・ノウハウを横断的組織として1カ所に集約するコア組織 CoE(Center of Excellence)を組成し、IT企業にはないヤマハならではの武器とデータ活用を掛け合わせた変革に挑戦している。

 


ヤマハ発動機株式会社「新中期経営計画 2022-2024年」より

 

 

まなびのポイント 2:「現場」の人が「使いこなす」ことが大事

 

「船頭は必要だが、変革すべき『現場』のことは『現場』が最も分かっている』という考えのもと、現場社員がツールやデータを当たり前に使いこなすための研修と、現場とCoE(Center of Excellence)部門が協業し合える関係を作った。例えば、鋳造工程では材料や気温によって溶解し型へ流し込む最適な温度は違っており、現場の職人の「勘」に頼る部分も多かったが、その経験則に依存していた内容をデータで可視化することにより不良品削減につながった。

 

デジタル化を成功させるポイントは、「通常業務をラクにする」という視点で小さな現場発信の困りごと解決からスタートすることにある。すると、成功事例が口コミで広がり、コア人材(声の大きい人)が連携し、徐々に現場が使いこなせる状態になることで、形骸化することなく全社課題や高難度課題の解決につながっていく。

 


デジタル戦略部の取り組みの歴史
出所:ヤマハ発動機講演資料を基にタナベコンサルティング作成

 

 

まなびのポイント 3:全社員が当たり前にデータ活用できる会社を目指す

 

今後は、全社員が当たり前にデータ活用できる会社となり、顧客との関わり方や未来の自社の在り方などを変えていくことを目指す。データ活用の一例として、車両情報、顧客情報、販売情報などを統合し分析することによって顧客ニーズを把握し、バーチャルショールームやECストア等の新顧客接点構築や、新たな価値を提供している。

 

DXに取り組む中で、全社方針と事業・機能部門特有の状況の整合を取れるような中間とりまとめ組織(LoB-CoE)が一部の部門で自然発生するなど、組織が変化し徐々に「全社員が当たり前にデータ活用できる会社」へと近づいている。

 

最初の一歩は小さく、 Try&Learn(失敗から学ぶ)を繰り返し、自社固有の強みとデータを掛け合わせることで、更なる事業成長を目指している。

 


「データ分析の民主化」のための研修内容
出所:ヤマハ発動機講演資料を基にタナベコンサルティング作成

 

 

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