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【研究リポート】

デザイン経営モデル研究会

経営に『デザインの力』を活用して、魅力ある自社らしいブランドづくりを実践している素敵なデザイン経営モデル実践企業の取り組みの本質を視察先講演と体験で学びます。
研究リポート2023.11.29

デザインの力でブランドをより効果的に発信 ~他社事例に学ぶブランディング戦略と多様なブランディングツール~:ジェイスリー

【第6回の趣旨】
「デザイン経営」とは、デザインを「企業やビジネスモデルそのものを差別化する経営資源」と捉え、受け手側の体験価値を高め、自社らしさを醸成する経営手法である。
デザイン経営モデル研究会では、デザインの力を経営に活用する「高収益デザイン経営モデル」実践企業を視察し、経営の現場でデザインがどう活用され、他社との差別化、社員の活躍と成長、地域社会との共創を実現しているかを体験する。
第6回は、株式会社ヴィスの講義で「プレイスソリューションとデータソリューションから導くワークデザイン」、株式会社ジェイスリーの講義で「デザインの力でブランドをより効果的に発信 ~他社事例に学ぶブランディング戦略と多様なブランディングツール~」についての秘訣を学び、デザイン経営の本質に迫った。
開催日時:2023年8月4日(東京開催)

 

デザインの力でブランドをより効果的に発信 ~他社事例に学ぶブランディング戦略と多様なブランディングツール~:ジェイスリー

 

株式会社ジェイスリー
代表取締役 ⾜⽴ 功治 氏

 

はじめに

 

デザインの力で自社の魅力をより効果的に発信することを支援する、ブランディングパートナーである株式会社ジェイスリー。1986年に創業した同社は、創業期には編集やデザイン制作の請負を中心に活動。2000年代に入るとそれらのデジタル化対応支援、2010年代後半からはブランディングや顧客体験価値向上などの観点を取り入れ、クライアントをより魅力的に世に広める活動を支援してきた。この間、一貫してそのブランドが持つ価値をクリエイティブとしてどのように表現し、素敵な物語として発信していくべきかを重視している。

 

同社の基本的な考え方である「見た目だけでなく、本質の課題を発見し、クリエイティブによって、その課題を解決する」という、「デザインの力を活用するクリエイティブ制作」の本質に迫った。

 

当日の講演の様子
当日の講演の様子

 


 

まなびのポイント 1:「解像度」が異なる課題を「デザイン」で解決

 

特許庁によれば、デザイン経営とは人を中心に捉え、その根本的な課題を発見し解決していくことであり、「ブランド構築に資するデザイン」と「イノベーションに資するデザイン」の2つデザインを経営に活用していくことと定義されている。ジェイスリーは2つのうち、前者の「ブランド構築に資するデザイン」に対し、デザイン力を強みにクライアントの課題解決パートナーとして取り組んでいる。

 

同社では、デザインは2種類あると定義している。1つ目は『考えのデザイン』であり、コンセプトやストーリーなど、ぼんやりとして抽象的な課題で解像度が低いものだ。2つ目は『カタチのデザイン』であり、見た目のアウトプットなど、視覚的にわかりやすい課題で解像度が高いものだ。ブランド構築における、ストーリー性等の情緒的価値と直接的に利便性等を提供する機能的価値の双方を、デザインの力を活用し、魅力的に発信していく。

 

 

まなびのポイント 2:クリエイティブがもたらす変革

 

数々の企業の課題をクリエイティブの力を用いて解決してきたジェイスリー。A社からは「コーポレートサイトの見た目が古いので変えたい」という要望を受けた。サイト刷新にあたり社員へヒアリングを行ったところ、自らの業務に自信を持っていない社員が多いと判明。クリエイティブを変えるだけでなく、制作を通じて社員の自信も醸成することがA社の取り組むべきことであると考えたジェイスリーは、企業としての決意と未来を描いた「ビジョンサイト」を構築し、動画・社内報で発信して企業をアップデートさせた。

 

その結果、サイトや動画を見たステークホルダーからのポジティブなリアクション、社内報への掲載による社員の自信醸成を通じ、会社の雰囲気が変わっていったという。

 

このように、クリエイティブを変えたいという顧客要望を「考えるデザイン」の観点から捉え、真髄を掴むことで本当の価値提供ができる。そして、「考えるデザイン」と「カタチのデザイン」のバランスを取った上でデザインプランとクリエイティブのアウトプットを構築していくことで価値を共創していけるのだ。

 

クリエイティブ制作時の撮影の様子(ジェイスリーコーポレートサイトより)
クリエイティブ制作時の撮影の様子(ジェイスリーコーポレートサイトより)

 

 

まなびのポイント 3:魅力を伝えるためのクリエイティブ&プロモーション

 

周年記念・ファン醸成・インナーブランディングなど、クリエイティブ・ブランディングを見直す機会はさまざまある。それぞれのきっかけにおいてただモノを作るだけではなく、会社が持っている魅力と求められているニーズとを掛け合わせ、ステークホルダーに伝えることでより効果的に活用できる。

 

デザインにおける一番の目的は魅力を伝えることである。そのためにはターゲットの立場で課題を考え、視覚・直感・体験をデザインする必要がある。そして最適な手段を選択し、コミュニケーション全体をデザインすることで、ステークホルダーへの効果的な発信が叶うといえる。

 

社内啓もう用のブランディングツール。世代を問わず共感できるマンガを活⽤し、誰もが触れやすい見た目にしている(講義資料から抜粋)
社内啓もう用のブランディングツール。世代を問わず共感できるマンガを活⽤し、誰もが触れやすい見た目にしている(講義資料から抜粋)

 

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