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【研究リポート】

ホールディングス・グループ経営モデル研究会

6つのホールディング経営タイプをベースに、新たなグループ企業を研究します。自社がどのようなホールディングスモデルとして進化するのか、共に考えましょう。
研究リポート2023.03.01

地域の会社だからできるSDGsによる価値創造:九州教具 株式会社

【第3回の趣旨】
ホールディング経営に取り組む企業は増加しており、目的や経緯に応じてホールディングモデルそのものが多様化する傾向にある。本研究会では、ホールディング経営を6つのタイプにモデル化し、それを基に新たなグループ企業研究を付加することで深掘りしていく。第3回は経営のプラットフォームを研究。九州教具の代表取締役社長である船橋修一氏にご講演いただいた。
開催日時:2023年1月31日(東京開催)

 

 

九州教具
代表取締役社長 船橋 修一 氏

 

はじめに

 

九州教具は、1946年に初代社長である本田嘉末氏が長崎県大村市に本田文具店という個人商店として創業。その後、70年を経て長崎県一円を中心に福岡県へと事業を展開するグループへ成長した。ホテル事業やウォーターネット事業を次々と展開し、幾度かのM&Aを行う事で事業拡大に成功した。

 

2021年にはグループ経営体制となり「誠実にして正確を旨と社会に貢献すべし」をグループ理念に、現在では地域創成のプラットフォームとして新たな成長モデルを形成している。

 

今回は企業が持続的成長を遂げるための存在価値について、SDGsによる社会課題に対する取り組みと経済価値を両立させる“CSV経営”や、ダイバーシティーと平等性を促進させる人づくりなど、多角的な視点から講和講話いただいた。

 

 


 

まなびのポイント 1:ダイバーシティーと平等性の促進

 

SDGsの取り組みとして「公正・公平な人事評価と昇格」「育休・介護休暇の取得促進などワークライフバランスの推進」「性別・国籍に捉われない採用活動」を実施している。

 

背景には「従業員の夢を共有する事で、その夢を会社全体の夢として応援・支援する事が重要である」という船橋氏の熱い思いがある。

 

また、外国人採用についても積極的に取り組んでおり、言語や文化の違いを尊重し、優秀な人材を採用する事で多様な人材登用を実践している。枠に捉われない人材登用や評価、育成を行う事で従業員の平等性を重んじる事が、同グループのさらなる成長へのキーポイントとなっている。

 


2022年に第12回地域再生大賞特別賞「SDGs企業賞」を受賞

 

 

 

 

まなびのポイント 2:持続可能な地域社会の実現

 

サステナビリティを実現すべく「労働生産性の向上とノウハウ還元」「教育ICT普及活動」「イノシシ肉料理提供による地域産業への貢献」「持続可能な観光業促進」に取り組んでいる。

 

例えば、Q-bicソリューションズでは地域において教育ICT普及活動を行っており、学校関係者へ教育環境整備を長年サポートし続ける事で「平等な学びの機会」の提供を行っている。また、Q-bicホテルズが運営するホテルにおいて地元産のイノシシ肉料理を提供。そうすることで、イノシシ駆除の担い手の新規参入を促し、地域農業の獣害減少と料理の名物化による地域観光活性化に貢献している。

 


教育ICT 導入および活用支援ではノウハウの共有を行いながら教育環境の整備をサポートしている

 

 

 

 

まなびのポイント 3:地域と連携した環境課題への取組

 

環境課題への取り組みとして、安心安全なミネラルウォーターの製造販売を行っている。災害時の備えとしてお客さまへ「ローリングストック」の提唱を行い、持続可能な循環型社会への実現に貢献している。

 

また、Q-bicホテルズの料飲部門では食品ロスの軽減に向けた取り組みとして、小分け容器でのバイキング実施やメニューのリニューアルを行い、従来のバイキングと比べ食品ロスを40%削減した。加えて、先述した地元産イノシシ肉を使用した料理を提供する事で地産地消の実施と流通でのCO2排出量削減を実現している。

 


Q-bicホテルズが運営するホテルにおいて提供するイノシシ肉料理

 

 

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