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【研究リポート】

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

人口減・高齢化・住宅への価値観の変化など「住まいと暮らし」領域を取り巻く環境は著しく変化しています。強みを明確にし勝ち続けるためのヒントを事例企業より学んで頂きます。
研究リポート2023.11.28

人とテクノロジーの共存施工を目指す~街づくりに次世代の感性とテクノジーをICTのチカラで街のミライを守る:加藤組×Polyuse

【第4回の趣旨】
今回は株式会社加藤組と株式会社Polyuseの2社を迎え、“テクノロジー”をキーワードに対談いただいた。
株式会社加藤組は広島県に本社を置く建設会社。土木工事や建設工事など幅広い業務を行っている。創業以来、地元に密着した事業活動を展開しており、最先端の技術を活用して地元のインフラを支えている。
一方、株式会社Polyuseは建設用3Dプリンターの開発企業。小型で持ち運びが可能という強い武器を持つ3Dプリンターであらゆる建設現場で活躍している。
最先端の技術を活用して未来を創る2社のゲスト企業より、対談を通じて建設業界における最先端の技術について学びを得る。
開催日時:2023年3月16日(広島開催)

 

株式会社加藤組取締役 原田 英司 氏

 

株式会社加藤組
取締役 原田 英司 氏

 

株式会社Polyuse代表取締役 大岡 航 氏

 

株式会社Polyuse

代表取締役 大岡 航 氏

 

 

はじめに

 

日本の建築業界が慢性的な人材不足を迎える中、新たなテクノロジーで生産性を高めることが常に求められている。大阪・関西万博2025や社会インフラの老朽化を中心とした建設投資が拡大する状況とは裏腹に、深刻な人手不足が加速化している。さらに、技術労働者の高齢化も深刻な課題となっており、若年層の割合も年々減少傾向にある。

 

このような状況下において、建築業界では様々なテクノロジーが発達している。今回は、ICT技術を活用する「株式会社加藤組」と3Dプリンターを展開している「株式会社Polyuse」の対談により、深刻な社会課題である高齢化と生産性の向上や3Dプリンターを活用した無人化施工、そして日本が目指すべき方向性についてディスカッションを行う。

 

次世代の建設技術の開発(建設用3Dプリンター)
次世代の建設技術の開発(建設用3Dプリンター)

 


 

まなびのポイント 1:高齢化と生産性の向上

 

日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向である。さらに地方における少子高齢化の加速化やインフラの老朽化など、社会課題は深刻な状況である。このような環境下において、建設業界では生産性を向上させるべくICT技術等の最先端技術が求められている。

 

建設業界の企業は、自社の技術だけでは今後成長しない。産学連携や他業種との連携が重要となる。今までのやり方では社会課題に対応できないため、パートナーとの協業により新たな事業を展開していく必要がある。加藤組とPolyuseもパートナーシップを構築している。加藤組の最先端技術とPolyuse の3Dプリンター技術を組み合わせることにより、高齢化社会に適した環境づくりを今後も実現していく。

 

国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」
出所:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001493958.pdf

 

 

まなびのポイント 2:3Dプリンターを活用した無人化施工

 

次世代の建設技術の開発は急速に発展している。近い将来、AI・GNSS・5Gなどの通信IT技術に加え、過重労働軽減のためのロボティクスが進んでいくと謳われている。

 

こうした中、住宅建築における3Dプリンターの問い合わせが増加している。工務店やビルダーにおいては、3Dプリンターで住宅を建築するだけでなく、外壁材(化粧材)として3Dプリンターを活用し、施工スピードを向上させることも可能となる。耐久性についても問題無く、生産性の向上につながるため今後普及していくことは間違いない。

 

建設用の3Dプリンターはインフラ公共工事でも活躍している。株式会社Polyuseは国土交通省の工事を全国各地で支援しており、インフラ工事だけでなく、土木・建築工事などのあらゆる場面で活躍している。今後も人とテクノロジーの共存施工を世に普及させていく。

 

株式会社Polyuseの支援実績(国土交通省 インフラ公共工事)
株式会社Polyuseの支援実績(国土交通省 インフラ公共工事)

 

まなびのポイント 3:日本が目指すべき方向性

 

小人数で効率的な作業が必要となる今後の建設業界において、ICT技術は欠かせないものである。国の施策によりICTの普及は加速しているが、まだ導入が進んでいない企業も多い。

 

このような背景の中、ICT技術をいち早く導入した加藤組は最先端の技術を活用することで、建設業界の課題である“残業時間”を大幅に削減。社員のワークライフバランスが整い、エンゲージメントの向上にも繋がっている。また、エネルギー効率の向上や品質管理の改善を実現しており、持続可能な社会への貢献も果たしている。

 

ICT技術を導入する企業が増加すれば、持続可能な建設業界の実現につながる。ICT技術は環境負荷の軽減や人材不足の解消など、様々な課題解決に必要な存在であるため、建設業界での活躍が大いに期待されている。

 

国土交通省「 i-Construction 建設現場の生産性革命「前進」に向けた取り組み」
出所:国土交通省「 i-Construction 建設現場の生産性革命「前進」に向けた取り組み」https://www.mlit.go.jp/common/001189942.pdf

 

 

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