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【研究リポート】

建設ソリューション成長戦略研究会

人件費・資材の高騰、地方の衰退など、外部環境の変化に合わせて提供価値を進化させている企業を研究し、建設業界の発展に寄与する機会を作っています。
研究リポート2023.12.08

土屋ホームの持続可能な未来に向けた取り組み:株式会社土屋ホーム

【第6回の趣旨】
建設ソリューション成長戦略研究会では、秀逸なビジネスモデル・経営ノウハウを持つさまざまな企業の現場を「体感」する機会を創出し、経営改革・業務革新のヒントを提供する。第6回は、カーボンニュートラル木造建築へのチャレンジや特殊建築など価値提供領域を広げている土屋ホームと、ブランディング戦略やDXの推進で大きな変革を起こした草野作工の2社から学ぶ。
開催日時:2023年7月27日、28日(北海道開催)

株式会社土屋ホーム
代表取締役社長 山川 浩司 氏

 

 

はじめに

 

土屋ホームは北海道発祥の木造住宅企業「土屋ホールディングス」のグループ会社である。
注文住宅・賃貸住宅等の設計、請負・施工監理、分譲住宅の施工販売を手掛ける。土屋グループは、住宅産業を通じてお客さま・社会・会社の“三つの人の公”のために物質的・精神的・健康的な「豊かさの人生を創造する」ことを企業使命感としている。

 

シンボルマークはその「三つの人」と「公」を象徴し、シンボルカラーの“紅”は積極果敢な行動力と情熱を現しているが、理念の浸透が末端社員まで徹底できている。そのため、高い価値判断基準で社会課題解決に取り組めている。


企業ロゴは「三つの人」と「公」を象徴し、シンボルカラーの“紅”は積極果敢な行動力と情熱を現している


 

 

まなびのポイント 1:断熱の強みを尖らせ、業界最高水準の断熱性能実現

 

外断熱のパイオニアとして技術の枠を集めたのが「CARDINAL HOUSE」である。最先端のテクノロジーを駆使して業界最高水準を実現し、省エネルギーセンターが主催する「2022年度省エネ大賞」の製品・ビジネスモデル部門で、最高賞の経済産業大臣賞(ZEB・ZEH分野)を受賞した。

 

世界的に見ると、アメリカやドイツなどの家は断熱性能が高く日本はとても低い。断熱性能はUA値という基準で示され、先進国の中でもっとも高いのは0.24 W/㎡・Kだったが、同社の「CARDINAL HOUSE BES-T 019」はそれを上回る断熱性能UA値0.19W/㎡・Kと高い水準を実現している。これは、国が定める省エネ住宅の基準値の半分程度の数値である。

 

 

 

まなびのポイント 2:高性能を担保するため大工を内製化

 

大工を内製化するため、1991年に土屋アーキテクチャカレッジを設立し、これまでに300名超が卒業している。

 

社員として給与を支払い大工・職人を育成(高卒対象)。職業訓練校で自社大工を育てることで「品質管理」を行い、さらに、工場から現場まで一貫した施工管理体制を整えたことで高い品質を維持できている。

 

木造在来工法は大工の力量による依存度が高いため、品質を一定にするためのディティール集を作成。200ページに渡り、詳細な施工基準が示されている。先見性を持って取り組んでいた大工の内製化が、採用難の昨今では強みになっている。

 

 

 

まなびのポイント 3:RC賃貸住宅の社会課題を木造建築の優位性と差別化で解決を図る

 

RC賃貸住宅の課題として入居者満足の低さ(寒さ、結露、カビ、高い光熱費)と環境性能の低さ(ESGの観点から不動産評価が低下する不安)があった。これを解決するために木の特性を最大限に生かしたワンランク上の高性能中層木造マンションを開発。

 

RCとの比較では、①軽量化30%、②短工期25%、③低コスト10%、④交通量減85%(近隣地区の渋滞などが減少)、⑤省エネ50%、⑥カーボンストック100%(CO2を建材として100%固定)などを実現している。

 

さらに、木の素材を生かしたデザインはホスピタリティーとの親和性が高いのも特徴だ。木材特有の断熱性や調湿性により発病率が減少され健康的で暮らしに豊かさをもたらす。

 

また減価償却が22年(RC47年)と短期間であり、投資にとっても有利に働いている。


木造4階建て賃貸住宅「ラピス」を見学する参加者

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