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【研究リポート】

『成長M&A』実践研究会

「戦略」と「実行のスピード」をポイントに、アフターコロナ時代に求められる戦略の方向性と、それを実現するためのM&A・アライアンスの手法を学びます
研究リポート2023.09.08

M&A買収王が教えるプロ経営者のM&A成功理論:株式会社 Colors Japan

【第2回の趣旨】
当研究会では、M&Aのモデルを確立している企業から独自のM&Aノウハウと業種の特徴を取り入れた事例を学ぶ場を提供する。また、M&Aを活用した成長戦略を実現し、自社の企業価値を向上させるための道しるべを提示する。第2回のテーマは「ドメイン×M&A」。「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」との共催で、ゲスト3社(ITOKI、小松物産、Colors Japan)による「働き方」「事業ドメインごとのM&A戦略」についての講演を配信。M&Aを積極的に推進する企業の戦略構築・実行について深く考察した。
開催日時:2023年5月19日(東京開催)

 

 

Colors Japan
代表取締役 藤田 精 氏

 

 

はじめに

 

Colors Japanは創業期に不動産事業を手掛け、大企業が株主として参画していた。順調に事業は進んでいたものの、リーマンショックの影響を受ける事業は伸び悩んだ。その後、事業成長のためにM&Aを取り入れ、多種多様な試みを実施している。

 

藤田氏はM&A成功理論について話すためにNHKの番組に出演するなど「M&A買収王」としての顔を持っている。毎年営業利益10億円を増やす投資理論、他社がやらない投資、リスクを事前に想定していればリスクではなくなるなど「藤田式M&A」を展開しする。成功の要因は、投資家ではなく「プロ経営者」として経営改善を実施したいという信条が根幹にあるからだ。

 


 

まなびのポイント 1:失敗しないM&Aについて

 

多種多様なM&Aを実施した経験から失敗しないためのメソッドを展開。特に重要なポイントは、即断即決のスピード型でM&Aを進める点だ。トップ面談時に意思決定まで実施する。そのためには、面談時に企業価値を即決で判断しなければならない。自社の基準(純粋に企業の稼ぐ力を基に企業価値を算定)を用いることで判断していく。概要書の内容が全て正しいとは限らないため、仲介会社に頼るのではなく、自身でバリュエーションを実施する能力が必須だという。また、企業が持つさまざまな情報を企業価値と捉えており、定量的な情報だけではなく、定性的な情報もM&Aを実施するかの判断基準としている。

 

 

 

 

 

まなびのポイント 2:PMI(事業成長のポイント)

 

M&Aを実施する業種は人気業種ではなく、他社が実施しない案件(業種・収益・労働問題等でライバルが少ない案件)のM&Aを実施し、PMIに力を入れている。言い換えるのであれば、PMIが強いから収益が厳しい企業でも経営改善が出来る。案件検討の段階から、PMIのイメージを持つことが重要。永続的競争優位性があるかどうか。(参入障壁が高い企業だと、大手が参入してこないため優位性を保てる)

 

逆に社長の力量や俗人的な要素によっての収益変動が大きい企業は実施しないなど、PMIを行いやすいか否かも重要である。PMIでは社員に認められるよう自身で成果を上げ、社員の帰属意識を高める。また、地域でNo.1の企業になるためには、実績に応じて社員への分配を改善するなど、PMIの部隊を自社で備えている。


「DMMオンラインサロン」において藤田氏が手掛けているサロンのウェブサイト

 

まなびのポイント 3:6つのM&A成功のポイント

 

 1.譲渡企業に対して、「欲しい」という気持ちを先行させない。(冷静な判断ができなくなる)
2.リスクを事前に把握。理解するとリスクではなくなる。(リスクを見越した交渉)
3.譲渡企業の現預金を滞留させない。(現預金を流動させる)
現預金を流動させるため、投資回収の基準を持ち、投資額の交渉を実施する。
4.M&Aは教科書では学べない。実務を経験することでM&Aへの理解を深めていく。
5.自身がプロ経営者になること。適切な経営・事業戦略を実施。
(地域No1やオンリーワン、ブランディングなどの戦略)
6.譲渡企業から選ばれる条件は金額だけでなく、
譲受企業の会社情報・経営状況も影響する。

 

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