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【研究リポート】

SDGs・ESG経営研究会

2030年までの成長戦略は、環境・社会・経済のサステナビリティへの挑戦です。SDGs・ESGを通してサステナブルなビジネスモデルの再構築について学びます。
研究リポート2023.10.19

地域の付加価値を高め、多様性あるまちづくりを。民間事業で取り組む社会課題の解決:株式会社フューチャーリンクネットワーク

【第1回の趣旨】
2030年に向けた戦略構築においてサステナブルというキーワードが非常に重要になる。SDGs・ESG経営研究会では、「未来の社会課題を解決するための新たな事業を創造する」というテーマのもと、SDGs・ESGビジネスモデルのあり方について学ぶ。
第1回では、株式会社フューチャリンクネットワークへ訪問し講演いただいた。
開催日時:2023年9月27日(東京開催)

 

 

株式会社フューチャーリンクネットワーク
代表取締役 石井 丈晴氏

 

 

はじめに

 

株式会社フューチャーリンクネットワークは、千葉県船橋市に本社を置き、地域情報プラットフォーム「まいぷれ」を全国で運営している。全国各地の地元パートナー企業との協業によって事業を全国に広げ、その基盤を活かして地方自治体などにもソリューション提供を行っている。

 

創業の原点は、チェーン店の競争激化、人口減少社会といった市場環境の中で、地域の店舗の競争力が弱体化する社会課題を解決したいという想いである。「安さ」だけではなく、地域店舗が持つ「付加価値」に注目し、消費者に向けて主にインターネット、ときにはリアルな場も用いて情報を発信している。

 

2021年に東証マザーズ(現グロース)市場に上場した際も、事業においては「地域活性化に関わることしかやらない」と宣言して上場した。

 

事業の特徴としては以下の3点である。
1.地域情報プラットフォームとしての独自性
2.プラットフォーム運営体制を活かした公共ソリューション
3.運営パートナーモデルによる全国展開

 


講演当日の様子


 

まなびのポイント 1:地域情報プラットフォームとしての独自性を発揮し、地域の課題解決を図る

 

ビジネスモデルとしては、加盟店舗から毎月定額のプラットフォーム利用料を受け取るサブスクリプション型のサービスの提供がベースとなる。全国で活動する地元スタッフが地域に赴き、足で集めた情報を発信することで地域の店舗の魅力を発信している。

 

また、地域密着型の強みを活かし、国や地方公共団体と提携することで、地域住民のお困りごとを解決する情報提供や地域共通ポイントの発行といった実行力のある課題解決事業を展開。他の媒体では発信されていない情報や、知る方法が限定された情報を発信することにより、情報格差の是正を図っている。SDGsの原則「誰一人取り残さない」にも通じるものがある。


地域情報プラットフォーム「まいぷれ」のビジネスモデル

 

まなびのポイント 2:プラットフォーム運営体制を活かした持続可能な経済・社会づくりのロールモデル

 

フューチャーリンクネットワークは事業を展開する際、CSRの観点だけでなく、「事業として継続するか?」を念頭に事業展開を行っている。理由としては、企業のCSR活動の一環として行うと業績悪化の際に撤退し、事業として持続しないリスクがあるからである。

 

また、同社は自治体・民間企業・地域住民などの地域のあらゆるステークホルダーとのコネクションが強みであり、地域限定ポイントの導入など官民一体となった事業展開により、さまざまな企画を実行できる。

 

地域への貢献活動を通して収益化しながら持続可能な地域社会を構築していくビジネスモデルは独自のSDGs・ESGビジネスモデルのスキームであり、世界に先駆けたロールモデルとなりうる。

 


官民一体型の取り組みである自治体ポイントの活用例

 

まなびのポイント 3:運用パートナー制による全国展開

 

同社はフランチャイズに準じたビジネスモデルを採用し、全国約160社の運営パートナーとの協業により、事業の全国展開を実施している。本部で培ったノウハウを集積・標準化・共有を行うことで、サービス業や建設業、情報発信通信業等多岐にわたる業種の参入を実現している。

 

まいぷれ事業をきっかけに地域とのつながりを強化し、本業とのシナジー効果を発揮することを目的にパートナー企業として参画する企業が多い。既存事業ではできない地域とのつながり・信用が企業にとっての付加価値となるだけでなく地域活性化と収益への貢献を両立することはまさにSDGs・ESGに直結するビジネスとなる。

 


運用パートナー制の仕組みと内訳
※図表は講演資料より抜粋

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