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【研究リポート】

マーケティングイノベーション研究会

顧客の購買行動が激変する時代の中、コミュニケーションモデルを新たに創造し実践するため、最先端のマーケティング事例を学び、自社での展開をサポートします。
研究リポート2023.09.11

デザインでプロデュースするブランド価値:株式会社 ニード

【第2回の趣旨】
当研究会は、「自社のファンを創造・育成するためのコミュニケーション設計を最先端事例から学ぶ」という趣旨のもと、ゲスト講師をお招きし、LTV向上の成功ポイントについて事例を交えながら紹介している。
第2回では、ゲスト企業であるハルメク・エイジマーケティング様とニード様より、自社のブランドやサービス、商品をどのようにプロデュースするかを解説していただいた。

開催日時:2022年12月16日(東京開催)

 

 

株式会社ニード
代表取締役 飯島 理 氏

 

 

はじめに

 

消費者自身が情報発信をできる今、製品購入後のプロセスにも意識が向けられるようになり、マーケティングやデザイン、ブランディングにおいてUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の重要性が叫ばれるようになった。

 

ブランド戦略やクリエイティブディレクション、アートディレクションを手掛けるニードでは、さまざまな企業のデザインやイベントを支援してきた。これまでに手掛けた事例を交えながら、プロダクトを成功に導くための知識やノウハウをクリエーティブな視点からご講演いただいた。

 


 

まなびのポイント 1:ブランディングとマーケティングの関係を理解する

 

広告、PR活動、プロダクトをつくることなど、企業が対外的に行う活動はブランディングである。ブランディング戦略を立てる上でまず考えたいことが2つある。1つはブランドの印象を定義するブランドアイデンティティー(トーン&マナー)だ。ロゴやブランドカラー、コミュニケーションデザインシステムなどがこれらに該当する。もう1つはバーバルアイデンティティ(トーン&ボイス)だ。ブランドネームやブランドステートメントなどがこれらに該当する。

 

一方で、マーケティングはブランドを管理するためにあり、ブランディングの効果を発揮するための手段と言えよう。ブランドを伝え、守るためにプロモーションやPRなどを行う。

 


比嘉酒造の泡盛「残波」をPRした事例。創立70周年のリブランディングとして“残波でザンパイしよう!”というインパクトのあるキャッチフレーズを用いたデザイン

まなびのポイント 2:経験価値マーケティング

 

経済の中心がモノからコトへ発展していき、体験や価値に重きを置くようになってきた。市場のニーズが変化する中で、現代では製品やサービスのコモディティー化が進んでいる。

 

企業がコモディティー化から抜け出すためには、機能や利便性といった価値を超えるより高次の価値、つまり、「経験」という価値を体現した製品やサービスを提供する必要がある。

 

マーケティング管理するためには、製品の品質や機能を表現する基本価値や便宜価値と、ブランド価値を表す感覚価値や観念価値とを明確に区分したい。「商品力」と「ブランド価値」とを峻別することが極めて重要である。商品(企業)と消費者(生活者)との関係性の構築は、ブランド価値の形成を通してのみ行なわれることを理解しておきたい。


サイクルベースあさひの様子。「物を売る店舗から、サイクリストが集え活用できる自転車基地へ」がコンセプトだ

 

 

まなびのポイント 3:売上増のためのWEBサイト改善とその施策

 

広告、口コミ、WEBサイトなど、顧客がブランドに接するあらゆるポイントをコンタクトポイントと呼ぶ。コンタクトポイントは大きく分けて次の3つ。1つ目はWebサイトやメールマガジンなどの「購入前コンタクトポイント」。2つ目はEC機能のあるWebサイトや小売店舗など「購入時コンタクトポイント」。3つ目はカスタマーサポート機能を持つWebサイトや請求書などの「購入後コンタクトポイント」。

 

各コンタクトポイントで適切なアプローチを行うためには、全体を考えた上でコンタクトポイントを設計することが重要である。どのフェーズでどのような経験ができる『場』を提供するかは、コンセプト(顧客の興味があるモノ・コトに対して集まれる場所)、ストーリー(フィットするコンテンツ(イベント)を活用し、導線を設計)、デザインやクリエイティブ(色味、デザイン配置など)に工夫を凝らしたい。

 


体験ができる『場』を設計することで生活者とのコンタクトポイントを増やし、商品認知度、購入意欲を高める
 

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