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【研究リポート】

学校・教育ビジネス研究会

ICT教育・GIGAスクール構想やビックデータ活用など、時代の先を行く尖った企業のアイデアから、自社の"価値を再発見"をするためのヒントを探していきましょう。
研究リポート2023.08.09

未来を創るひとづくり、まちづくり:サイエンスヒルズこまつ

【第4回の趣旨】
学校・教育ビジネス研究会では、大きな経営テーマの1つである「人材育成」について、企業による社員教育ではなく、学校教育現場の取り組みを中心に紹介する。
教育の最先端は学校教育現場にあり、保育・幼稚園から大学に至るまでの教育モデル・コンテンツを研究することで、自社の人材教育に活かすことができる。第4回では、金沢工業大学とサイエンスヒルズこまつを訪問・視察。縮小するマーケットの中での先進事例からポイントを学んだ。

開催日時:2023年5月25日、26日(石川開催)

 

 

サイエンスヒルズこまつ
副館長 宮島 浩典 氏

 

 

はじめに

 

「科学とひとづくり」の一大交流拠点として、科学の楽しさや驚き、魅力にあふれているサイエンスヒルズこまつ。同施設は、石川県小松市に所在しており、“ものづくり精神の継承と科学技術意識の啓発”を目的とした「ひととものづくり科学館」と、“未来に向けた地域の活性化と産業振興”を目的とした「こまつビジネス創造プラザ」の2つの施設で構成されている。その敷地全体の愛称が「サイエンスヒルズこまつ」である。

 

2014年3月に全館オープンとなってからは、年間10万人を超える利用者数が来場。コロナショックによる利用者数減少はあるものの、2022年度はコロナ禍以上の年間利用者数であった。今回は、施設の設立経緯や施設での活用内容、今後の展望について副館長である宮島氏にお話いただいた。

 

 


サイエンスヒルズこまつ 施設風景

 


 

まなびのポイント 1:ものづくり精神の継承と科学技術意識の啓発

 

サイエンスヒルズこまつの施設の1つ「ひととものづくり科学館」は、①科学への興味・関心と夢を育む、②体験を通して、ものづくりや科学技術を学ぶ、③天文宇宙を学ぶ、ことを目的に設立されている。

 

同施設には、実際に体を動かして科学を体験できる約50個の仕掛けがあり、ゲーム感覚で楽しく学ぶことができる。

 

また、子供からシニアまで様々な団体が利用しており、3Dスタジオでの宇宙学習、ラボでの科学実験や工作体験、サイエンスショーなど科学に触れる場を提供している。


ラボ風景

 

まなびのポイント 2:未来に向けた地域の活性化と産業振興

 

サイエンスヒルズこまつには、大規模イベントが開催できる「イベントホール」がある。イベントホールは、企業による製品見本市や展示会の他、大学のオープンキャンパスや学会のシンポジウム、館の主催によるロボットショーや宇宙航空研究開発機構(JAXA)のコズミックカレッジなど企画展、書や生け花などの文化展など様々な場面で活用されている。

 

また、活動の一環として各分野のトップにある機関や大学との連携にも積極的だ。具体的には、金沢大学、公立小松大学などの教育機関やJAXA、国立天文台などの公的機関と講演会やコンテンツ開発を行っている。まさに地域の活性化に向けたハブとしての機能を担っているといえる。

 



イベントホール

 

まなびのポイント 3:よりよい教育施設への転換

 

同施設は様々な機関と連携してコンテンツ開発・学びの提供を実践しているが、今後の展望について「いつ来ても・何度でも楽しめる」施設にしていくことを構想している。

 

具体的には、ラボで開催している体験教室は子どもに付き添う家族の負担軽減するために料金改定を実施。また、3Dスタジオにも新型投影機を導入し新たな学習体験を提供していく。

 

地域への発信にも力を入れており、公式YouTubeチャンネルで星座に関する話や家でできる簡単な実験を配信したり、活動報告を「ヒルズリポート」にまとめ月刊で配信。これらの活動を通じて、すべての来場者が成長する施設づくりを目指しているのである。

 



施設内風景

 

 

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