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【研究リポート】

人材育成研究会

EVP(従業員に対する価値提案)を高め、社員のエンゲージメントを向上させ、自律的に成長する・会社に貢献する人材を生み出していくためのヒントを優秀企業から学びます
研究リポート2023.01.24

企業・組織を活性化させる5つのステップ:日本ツクリダス株式会社

【第1回の趣旨】
当研究会では、最先端の教育制度や人材育成の仕組みを持つさまざまな企業の視察を通じて、人材の育成・活躍・定着を成功させるヒントを提供している。
今回は「会社と社員の在り方を追求した社員体験価値(EVP)の最大化を図るためのメソッド」をテーマに、2社のゲスト講師から、社員の多様性を生かしながら楽しく安心して働くことができる環境を整備するための具体的な施策を伺った。
開催日時:2022年11月15日(大阪開催)

 

 

日本ツクリダス 代表取締役
角野 嘉一 氏

 

はじめに

日本ツクリダスは社員22名(男女比1対1)、平均年齢36歳といった、他の町工場とは一線を画す特徴を持つ。デジタルとデザインを重視した「2DX経営」を掲げており、デジタル面では納期の見える化や図面などの共有、生産管理においては効率化を図り、デザイン面では会社のシンボルとなるロゴをはじめ、働く環境(オフィスインテリア)のデザインも考慮しメディアから注目を集めている。

 

取り組みの成果として、社員の会社の示す方向性への共感や働きがいの促進など、企業と社員の関係性が強まっている。

 

 
同社の思いをシンボル化したロゴ。
5つの星は、「驚き体験・快適体験・満足体験・楽しさ体験・成長体験」を表している
 


 

まなびのポイント 1:働きやすい会社へと変革するためのステップ

 

同社は社員が働きやすい環境を創造するために、「企業は人の集まりである」と定義し、次の5つのステップで変革に取り組んでいる。

 

1.理念・計画:会社が存在する目的(パーパス)を明確にする
2.人事制度:何を評価しているのかを明確にする
3.環境:居心地の良い環境をつくる
4.仕事の仕組み:仕事のやり方を仕組み化する
5.広報:関係者に伝える

 

ともに働く人(仲間)を大切にする“わが社らしさ”を軸にした取り組みにより、会社の風土を形成しているのだ。

 
 

まなびのポイント 2:働きたいと思える職場環境を整備し帰属意識を醸成

 

「うちの会社ちょっとオシャレかも」「格好良くて好き」といった社員の共感を重要視し、職場環境はきれいさ・オシャレさ・快適さを追求している。

 

例えば、照明は明るさや色合いに配りょ、装飾品はオフィスインテリアのノウハウに基づいて配置するなど、社員が「この環境で働きたい」と思える職場環境を創造することで、帰属意識を高めている。

 

ウェブ会議システムを活用することで、工場・オフィス内で働いている社員をいつでも確認できる
 
 

まなびのポイント 3:効率性とユーモアを融合し社員のストレスを緩和

 

仕事の仕組みにおいては、社員がストレスを感じにくく、楽しく仕事するためのルールが制定されている。例えば、業務依頼は直接手渡さなくても良いよう、依頼したい業務内容をまとめた書類を受け渡すトレーを通じて行っている。自分のタイミングで業務に取り掛かることができるため、時間ロスやストレスが発生しにくいという。

 

コミュニケーション施策に関しては、社員同士が「ありがとう」を送るウェブシステムを活用。ありがとうを“送った数”が人事評価項目の1つとなっている。

 

業務依頼を行うトレー(左)、社員同士が「ありがとう」を送り合うウェブシステム(右)

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