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【研究リポート】

学校・教育ビジネス研究会

ICT教育・GIGAスクール構想やビックデータ活用など、時代の先を行く尖った企業のアイデアから、自社の"価値を再発見"をするためのヒントを探していきましょう。
研究リポート2022.12.23

『SDGsを意識した教育活動』~ユネスコスクールの実践やカリキュラムから学ぶ~:江東区立八名川小学校

【第1回の趣旨】
当研究会では、永遠の経営テーマの1つである「人材育成」について、企業の社員教育ではなく、企業に入社するまでの教育過程である学校・教育現場を研究する。
教育の最先端は、学校・教育現場にある。保育園・幼稚園から大学に至るまでの教育モデルや教育コンテンツを研究し、自社の教育に生かすためのポイントを学ぶことが狙いである。
第1回では、外部の教育機関のはじまりである保育園・幼稚園、義務教育のはじまりである小学校で、どのような教育が展開されているのかを学んだ。
開催日時:2022年9月29日(東京開催)

 
 

 

江東区立八名川小学校
校長 澤田 純二 氏

 
 

はじめに

江東区立八名川小学校は東京都江東区に位置する、地域に根差した小学校である。
 
2022年に105周年を迎えた同校は、2011年にユネスコスクール、2016年にはESD重点校サスティナブルスクールに認定されている。
 
SDGsが国連で採択され、世界全体の「持続可能な開発目標」が明確化されたことに伴い、SDGsを具体化するためのESD(持続可能な開発のための教育)を推進。その取り組みが世界的にも注目されている。「子どもの教育」という単一視点ではなく、「持続可能な社会を開発するために必要な教育」を考え、実施していることがその理由である。
 
今回は、同校の特色である「SDGs」や「地域連携」、「未来の教育の在り方」について、校長の澤田純二氏に話を伺った。

 


 
 

江東区立八名川小学校の校内庭園
 
 

まなびのポイント1:特色ある教育 SDGs

 

八名川小学校は児童の「確かな学力」と「健康・体力」、「豊かな人間性」を育てて、「生きる力」を養うことを目指している。主体的な学びと対話的な学びを融合させ、物事の多面的な見方・考え方を育み、価値観を培う教育を行っている。
 
その中でも特色と言えるのがSDGsである。2015年にSDGsが国連で採択される前の2011年から同校はユネスコスクールに認定され、それ以来、10年以上もESDを推進してきた。
 
児童たちがSDGsを意識して活動できるよう、校長の朝会講和や道徳教育の中での発信はもちろんのこと、自分たちの取り組みについて「SDGsシール」という17の目標が描かれたシールを貼り、SDGsへの取り組みや成果を見える化している。

 
 

江東区立八名川小学校の「SDGs実践計画表2021」
 
 

まなびのポイント2:SDGsと単元(授業)をつなげるカリキュラムマネジメント

 

SDGsの他にも、この地域で松尾芭蕉が居住していたことから「俳句教育」を行ったり、「ごみ減量大作戦」という地域のごみを減らす活動し、地域とSDGsをつなげる活動にも取り組んでいる。
 
こうした教育を行うためには、カリキュラムマネジメントが重要である。文部科学省が定める学習指導要領と、同校の教育ポリシーをつなげる取り組みだ。合わせて、トップ(校長)が変わっても、変わらないカリキュラムをつくることが重要である。そのため、特色教育推進委員会をつくり、学校としての組織システムとし、継続できる仕組みとして構築している。

 
 

第4学年が実施するESD推進カレンダー
 
 

まなびのポイント3:「持続可能な社会の創り手」を育成する教育

 

持続的な社会を創るためには、その担い手が必要である。
 
地域で学び、地域を生かし、地域と行動する児童を育てる教育活動を行うため、同校は地域と連携した活動を充実させている。
 
地域に愛された児童は、地域を愛することになり、地域の担い手になる。こうした考えのもと、「社会の形成者としての資質・能力を育てるESD」として、SDGs実践計画表、ESDカレンダー、そして、生活科年間指導計画・総合的な学習の時間指導計画を展開している。まずは地域創生を行い、そこから世界に貢献できる教育を実践しているのである。

 
 

「持続可能な社会の創り手」を育成する教育活動
 

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