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【研究リポート】

ホールディングス・グループ経営モデル研究会

6つのホールディング経営タイプをベースに、新たなグループ企業を研究します。自社がどのようなホールディングスモデルとして進化するのか、共に考えましょう。
研究リポート2022.11.17

中小企業支援プラットフォームとしてのホールディング経営:株式会社メイホーホールディングス

【第1回の趣旨】
ホールディング経営を選択する企業は引き続き増加している。一方、目的や経緯に応じてホールディングスモデルそのものも多様化する傾向を見せている。
本研究会ではこれまで研究してきたケーススタディーを基に、ホールディング経営を6つのタイプにモデル化することを試み、それをベースに新たなグループ企業研究を付加することで深掘りしてゆく。
第1回は経営のプラットフォームを研究。講師に株式会社メイホーホールディングス代表取締役社長の尾松豪紀氏を迎え、講義いただいた。
開催日時:2022年10月26日(東京開催)

 

株式会社メイホーホールディングス
代表取締役社長尾松 豪紀 氏

 

はじめに

地元・岐阜で父親の創業した土木測量設計会社を受け継いだ尾松社長は、下請企業からの脱却を図ることで経営基盤を確立。その後、さらなる成長のためにM&A戦略で事業領域とエリアの拡大に成功した。2017年にはメイホーホールディングスを設立してグループ経営を展開。事業は段階的な進化を続け、現在では地域創成のプラットフォームとして新たな成長モデルを形成している。

 

今回はグループ経営の要諦について、ミッション、成長戦略、プラットフォーム機能、人づくりなど多角的に講話いただいた。今回の研究成果は、キーワードである「能動的・主体的」な組織づくり、言い換えれば「任せる経営の遠心力」である。それを効かせるための肝は、①経営者(尾松社長自身)の人間的成長、②理念をブラさず、言い続け、あらゆる手を打ち続ける、③それによる経営者と幹部の信頼関係の醸成、の3つである。

 


メイホーグループの相関図。メイホーホールディングスには、経営企画・管理部門のスペシャリストを配置し全体統制を図っている。4つの事業セグメントとメイホーホールディングスの間に『中間持株会社』を設置し、中間持株会社の長であるセグメントリーダーが、各事業会社の経営支援を実施する緩衝材の役割を果たしている

 

まなびのポイント 1:経営には熱と理が必要

 

同社はグループミッションである「永続的発展的な企業を創る」「全従業員のしあわせを追求する」「地域社会の発展に貢献する」に本気になって向き合い、実現を試みている。
全従業員の幸せを実現するためには、企業を永続的に発展させる必要があり、そのためにM&Aという手法で多角化を実現。

 

M&Aの方針は「グループ入り企業の永続的発展がグループの発展」。幸せになれるM&Aをどのように行うかを追求し、HD、中間持株会社を設立するなど組織図とマネジメントを戦略的に構築している。

 

まなびのポイント 2:会社の成長エンジンは能動的・主体的な人づくり

 

同社には、「弾み車」という企業を成長させる善循環システムが構築されている。
特に重視しているのは、「グループ理念に共感し志ある人を増やす」「経営を見える化し全員参加経営を実践する」の2項目。あらゆる手段を通じて理念を伝え続け、能動的・主体的な人づくりを実践している。社員の幸せを追求することを会社の成長の原動力とする価値観を、「ために」から「共に」と定義している。

 

具体的な活動には、コミュニケーションを重視し、勉強会の実施、フィロソフィーブックの作成、対話などがある。

「弾み車」と呼ばれるメイホーグループの善循環システム。
人づくりを起点として、企業の成長を実現する『基軸』になっている

 

まなびのポイント 3:「任せる経営」で成長可能性は無限大に

 

2030年にグループ企業300社を目指している同社。M&Aした企業に人は派遣せず、経営計画達成のための経営プラットフォームによる支援での永続的発展を目指す。この「任せる経営」がM&Aによる多角化の推進を可能にしている。

 

グループ入りした企業のマネジメント体制変更のため、システム導入によるPMIの実施、経営計画の策定、月次決算、予実対比、ガラス張り経営による全員参加経営のスタイルを構築している。

 

M&Aによる多角化を図りながら、プラットフォームの提供と同時に人を育てることで、水平展開による企業規模拡大が可能となる。

これまでのM&Aの実績。
2006年以降18社、特に2015年以降、7年間で15社のM&Aを実施している

 

 

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