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【研究リポート】

Global & Design / 海外戦略・ブランディング

「体験」を価値あるものに変え、文化や習慣、価値観が異なる海外において顧客や社員の体験価値をリ・デザインするポイントと、自社の企業価値を高めるために必要なブランディングのポイントについて、タナベコンサルティンググループのグローウィン・パートナーズとジェイスリーが提言。企業が体験価値をデザインする際に必要となる視点を、現場での実践を踏まえて解説した。
研究リポート2022.10.03

ブランディングによる体験価値向上の実現:ジェイスリー

 

ブランディングで革新的なサービスと体験価値を生む

 

タナベコンサルティング・竹綱(以降、竹綱) タナベコンサルティンググループの一員であるジェイスリーは、大手・中堅企業のブランド構築、価値向上、新たな魅力の創造を支援しています。代表取締役社長の足立功治氏に、ブランディングやCX(顧客体験価値)向上の取り組みについて伺います。

 

足立 私たちが目指すブランディングは、顧客視点に立って「企業の価値を見つけること、つくること、広めること」です。ブランディングを「分析・戦略・実施・グロース」の4フェーズに分け、最初のブランド分析に時間をかけて、その結果を基にブランディング戦略を立てています。実施フェーズでは、アウトプットとして言語化したり、ロゴやサイトをつくったりします。さらに、ブランドを浸透させるマーケティングや改善まで、クリエーティブを主軸に一気通貫で支援しています。

 

強みは、クライアントの事業や業界を徹底的に研究すること。経営者や社員の方々へのヒアリング、調査分析などを通して「クライアントよりもクライアントに詳しくなる」ことで、同じ目線に立ってブランドの価値を見つけることができると考えています。

 

竹綱 価値を共創するブランディングパートナーとして、あらためてブランディングの重要性について教えてください。

 

足立 企業におけるブランディングは2つあります。1つはコーポレートのブランド、もう1つは製品・サービスのブランド。例えば、アップルはコーポレートのブランドで、iPhoneは製品のブランドです。コーポレートブランディングが優れている企業は、製品・サービスブランドの方向性を示し、非常に良質でイノベーティブな事業を開発しています。多様な製品・サービスの体験価値が相乗効果を発揮するので、ブランドを高めていくのが上手ですし、成果も上がります。アウターブランディングは、独自の強みを表現できるので他社と差別化でき、価格競争に巻き込まれにくくなります。継続することで信頼性を高め、より強固なブランドを構築できるでしょう。

 

また、社内へ向けたインナーブランディングにおいては、社員のやりがいや帰属意識の向上に効果があります。採用においても、優秀な人材を迎え入れることができ、社内全体のチームワークが高まります。

 

 

感情的な価値を分類しターゲットを明確にする

 

竹綱 製品・サービスの差別化を図る上で、近年、特に重要な要素になっているCXについて、どのようにお考えですか。

 

足立 コモディティー化しやすい製品・サービスは、独自の価値を加えることで、ブランドの価値をより高めることができます。機能や価格といった合理的な価値ではなく、感情に訴えるものを価値として付帯することで、他社との差別化が非常に明確にできるメリットは大きいと思います。

 

感情的な価値は、「Scene(感覚的)、Feel(情緒的)、Think(知的)、Act(行動・ライフスタイル)、Relate(社会的)」の5つに分類しています。Sceneは、おいしい、手触りが良い、Feelは格好良い、かわいい、Thinkは勉強になる、興味が深まるといった価値です。Actはこれまで体験できなかったことや異なる価値体験、Relateはメンバーシップやソーシャルのどこかに属する集団的な価値体験です。

 

竹綱 物を買う体験に喜びを感じるBtoC事業だけでなく、BtoB事業においても、顧客同士がどう向上していけるかという体験を重視し、戦略的に実践する企業が急増しています。実際にCX向上に向けた取り組みを支援されていかがですか。

 

足立 書店と文房具を専門に事業展開されているナレッジ・デザイン(岐阜県各務原市)から、オウンドメディア「MONO SWITCH」を新ビジネスとして立ち上げたいとご相談いただきました。文具に対するこだわりやノウハウをコンテンツとして情報発信する有料の会員制ウェブメディアというビジネスモデルです。

 

第1フェーズは市場のリサーチからモデルの設計まで、第2フェーズでは成長戦略の立案やコンセプトづくり、サイト設計などをお手伝いしました。サイト構築はシステム開発まで一気通貫で進め、第3フェーズではリリース後のコンテンツの効果分析をしながら集客プロモーションをサポート。ブラッシュアップを続けています。

 

竹綱 新規事業の挑戦を支援するに当たって、特に意識したポイントはありますか。

 

足立 サイト構築ではユーザー設定です。制作に当たってターゲットを明確にする必要がありましたし、課金モデルにふさわしいコンテンツづくりに悩みました。MONO SWITCHでは感情的な価値、特にThink・Act・Relateの3点をサービスに反映するコンテンツにしようと、ディスカッションをしながら決めていきました。

 

掲載コンテンツは、手紙を書くときに使ってはいけない色、当たり前に使っている大学ノートがなぜ「大学」なのかなど、皆さんに興味を持っていただけそうなテーマをピックアップして、感情的な価値を意識しながら公開しています。

 

竹綱 ウェブメディアやサイトを展開する企業に、コンテンツについてのアドバイスをお願いします。

 

足立 私たちはコンテンツのネタ出しにはかなり時間をかけていますし、なるべく多くの人からさまざまな視点でネタを考えてもらいたいと思っています。また、最後まで読まれたのかなどを検証・分析し、PDCAを回しながら絶えず改善し、質を上げていくことに重点を置いています。

 

竹綱 ブランディングとCX向上、どちらもクライアントやターゲットをどこまで追求・リサーチできるかがポイントになることが分かりました。同時に、コンテンツとして伝えるべき価値をしっかりと見いだして、正しい伝え方をすることも重要になると感じました。本日はありがとうございました。

 

 

足立 功治(あだち こうじ)氏
ジェイスリー 代表取締役社長

 

 

PROFILE

  • (株)ジェイスリー
    価値を共創するブランディングパートナー。『ものごとの本質を見極め、可視化して「価値」を伝える』ことをコンセプトに掲げ、お客さまが持つ価値を最大化するブランディングを実践。大手・中堅企業のブランド構築やブランド価値の向上、新たな価値の創造を強みとしている。

 

 

Interviewer

竹綱 一浩(たけつな かずひろ)
タナベコンサルティング 執行役員 クリエイティブ&デザイン大阪本部 本部長

 

 

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