私たちSurpassは、創業以来、営業アウトソーシング事業を通じて、営業未経験からスタートした女性社員を2000人以上育成し、その中から多くのリーダー・管理職を輩出してきた。
入社当初は顧客への提案や会議での発言に不安を抱えていた社員が、営業活動の経験を積みながら顧客企業の成果創出を担う存在へと成長し、その後、後輩育成やチーム運営を担うリーダー・管理職へとステップアップしている。
現在は、その実践知をもとに女性活躍推進総研を立ち上げ、講演や研修、女性リーダー育成支援を行っている。本稿では、私たちが現場で数多くの女性社員や管理職候補者と向き合う中で実際に見てきた変化をもとに、女性リーダー育成の重要性と実践のポイントについてお伝えしたい。
なぜ今、女性リーダー育成が必要なのか
人材不足や価値観の多様化、働き方の変化など、企業を取り巻く環境は大きく変化している。こうした変化に対応しながら持続的に成長するためには、多様な視点を意思決定に取り入れられる組織づくりが不可欠である。その中でも、女性リーダーの育成は重要な経営テーマの1つである。
一方で、私たちが企業支援を行う中では、「候補者が管理職を望まない」「育成方法が分からない」といった悩みを耳にする機会が少なくない。
また、女性社員との面談や研修の場では、「自分にリーダーが務まるイメージが持てない」「意見を伝えることに苦手意識がある」といった声も多く聞かれる。
しかし、私たちが多くの女性社員と向き合う中で感じるのは、こうした課題の多くは能力不足ではなく、経験不足に起因しているということである。
例えば、会議で自分の考えを発言する経験、顧客に提案する経験、後輩を育成する経験、チームの課題解決や意思決定に関わる経験などである。実際には十分な能力を持ちながらも、こうした経験機会が少ないことで、「自分にはまだ早い」「リーダーは向いていない」と感じてしまうケースは少なくない。
だからこそ今求められているのは、単に管理職候補者を選抜することではなく、女性社員が考え、判断し、言葉で人を動かす経験を積める場を意図的につくることである。
女性リーダースクールの特徴と価値
こうした課題に対し、私たちは「女性リーダースクール」を通じて、次世代リーダー育成の支援を行っている。
本スクールが目指すのは、受講者が“管理職らしく振る舞う”ことではない。自分の強みを理解し、現場の課題に対して自分の考えを持ち、周囲に伝え、行動を起こせる状態をつくることである。
研修の現場では、「リーダーは強くなければならない」「管理職は自分には向いていない」といった固定観念を持つ女性に多く出会う。しかし、リーダーシップに唯一の正解はない。
私たちは異業種・異職種の参加者との対話やケーススタディーを通じて、自身の強みや価値観を整理し、自分らしいリーダーシップを言語化する支援を行っている。
加えて、AI時代において差別化の源泉となるのは、自ら問いを立て、自分の言葉で考えを伝える力である。研修を通じて受講者は、自分の考えを整理し、相手に伝わる形で発信できるようになる。さらに、複数の選択肢を比較しながら判断する力を養うことで、意思決定への苦手意識を克服していく。
さらに、受講して終わりにしないために、事前ヒアリングから実践課題、プレゼンテーション、フォローアップまでを一貫して設計している。受講者本人だけでなく上長も巻き込んだ「本人×上長×講師」の三者連携を重視している。学びを現場で実践し、上長と対話しながら定着させることで、行動変容につなげていくのである。
Surpassが見てきた女性リーダーの成長
私たちが現場で見てきた女性社員の成長には、共通点がある。
例えば、ある女性社員は入社当初、会議で自分の意見を発言することに強い苦手意識を持っていた。顧客との商談でも、「自分の考えが間違っているかもしれない」という不安から、提案よりも相手の話を聞くことに終始していた。
しかし、営業活動を通じて顧客課題と向き合い、自ら考えた提案を伝える経験を積み重ねる中で、徐々に自信をつけていった。
その後は担当案件だけでなく、チーム全体の成果にも目を向けるようになり、後輩育成や業務改善にも積極的に関わるようになった。後輩へのフィードバックやチーム内での情報共有を通じて、自分だけではなく周囲の成果を高める視点が身に付き、やがてチームリーダーを任されるようになった。
現在では管理職としてメンバー育成やチーム運営に携わりながら、組織全体の成果向上に貢献している。
私たちがこうした成長の過程を見てきて感じるのは、リーダーになる人材に最初から特別な資質があるわけではないということである。
重要なのは、自分の考えを発信する経験、顧客へ提案する経験、後輩を育成する経験、そしてチーム運営に関わる経験を積み重ねることである。その経験の積み重ねが、自信と視座を育み、リーダーとしての成長につながっていくのである。
私たちが支援する女性リーダー育成も、こうした経験機会を意図的につくることで、一人一人の可能性をリーダーシップへとつなげていくことを重視している。
中堅企業が女性リーダー育成を進める上での提言
女性リーダー育成を進める上で重要なのは、「女性管理職比率を上げること」だけを目的にしないことである。重要なのは、女性社員が主体的にキャリアを考え、自ら意思決定できる状態をつくることである。
そのためには、研修だけでなく、上司との対話機会や挑戦機会を増やすことが欠かせない。また、人事部門だけでなく、経営層や現場管理職が育成に関与する姿勢を示すことも重要である。
女性リーダー育成は、特定の人材を育てる取り組みではない。組織全体の意思決定力を高め、変化に強い組織をつくるための経営施策である。
私たちが見てきた女性たちも、最初からリーダーを目指していたわけではない。小さな挑戦と経験の積み重ねが自信と視座を育み、やがて組織を動かすリーダーへ成長していった。
女性リーダー育成とは、その挑戦の機会を組織としてつくることである。私たちはこれからも、一人一人が自分らしいリーダーシップを発揮し、組織や社会で活躍できる未来の実現に貢献していきたい。
Surpass 女性活躍推進総研 上級講師
BtoB営業の最前線で培った豊富な実務経験を生かし、これまで延べ1000名以上の営業担当者・マネージャー・リーダーの育成に従事。現場の課題や成長過程、自身の試行錯誤を踏まえて育成マニュアルや研修コンテンツを体系化し、実務に直結する独自の育成プログラムを開発・運用している。「成果につながる営業行動」「再現性のあるマネジメント」「リーダーとしての意識変革」といったテーマを得意とし、受講者の成長を後押しする実践的かつ情熱的な指導スタイルが特徴。