約7割がサステナビリティに取り組む
タナベコンサルティングが実施したアンケート(「中堅企業白書2026」掲載)結果によると、サステナビリティ(ESG※1を含む)への対応状況は、「一部テーマで取り組み中」が33.5%、「全社方針を策定し推進中」が32.3%と、合わせて約65%の企業がサステナビリティに取り組んでいる。(【図表1】)
【図表1】サステナビリティ(ESGを含む)への対応状況
全体として取り組みが進む一方、「関心はあるが未着手」(18.7%)、「特に取り組んでいない」(15.5%)と、企業間での対応に差が見られる。
サステナビリティにおいて現在注力しているESGのテーマ(【図表2】)を見ると、「人的資本(育成・エンゲージメント・ダイバーシティーなど)」が60.6%、「働き方改革(柔軟な勤務、ワークライフバランスなど)」が50.9%で上位に並ぶ。「気候変動対策(TCFD※2・カーボンニュートラルなど)」は42.4%、「従業員の健康・安全管理」は38.2%で続く。「資源循環・廃棄物削減(3R・プラスチック削除など)」は28.5%、「コーポレート・ガバナンス(取締役会・内部統制など)」は19.4%、「製品・サービスの安全性と品質確保」は10.3%と低く、人的資本を軸としつつ、環境・社会領域に広がりつつある傾向が示された。
【図表2】サステナビリティにおいて、現在注力しているESGのテーマ(上位3つ)
事業価値と信頼関係の向上の両立を意識
【図表3】は、サステナビリティに取り組む目的を調査した結果である。これを見ると、「企業価値・評価の向上」が25.9%で最多となり、「顧客・取引先からの信頼・期待への対応」は17.5%、「社会的責任の実践と信頼構築」は14.6%で続く。「社員の共感・モチベーションの向上」(10.4%)や「人材の採用力・定着率の向上」(8.5%)、「コンプライアンス意識の向上」(5.2%)、「他社との差別化・ブランド価値の向上」(4.2%)、「長期的な競争力の強化」(3.3%)も選ばれるなど、事業価値と信頼の両立が意識されている。
【図表3】サステナビリティ(ESGを含む)に取り組む目的
「人的資本」偏重からより幅広い社会課題への拡大が急務
中小企業庁「2025年版中小企業白書」では、サステナビリティについて、「GX※3」「サーキュラーエコノミー※4」「人権」「経済安全保障」など、幅広い共通価値の実現を重点領域として位置付けている。
本調査では、中堅企業の65%がサステナビリティに関する取り組みを実施しているものの、その内容は「人的資本」や「働き方改革」といった内部人材・組織課題に重心が置かれていることが分かった。
気候変動対策や健康・安全管理も一定の比重を占めているが、「中小企業白書」で重点領域とされる「GX」「サーキュラーエコノミー」「人権」「経済安全保障」といった外部的・社会的テーマへの対応は、相対的に弱い。
今後は、この人的資本偏重の状況から、より幅広い社会課題へと対応領域を拡大していくことが重要な課題になるだろう。
※1 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせた言葉で、企業の持続的な成長のために重視される3つの観点
※2 「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略。気候変動が企業にもたらすリスクと機会に関する情報を、投資家に向けて開示するための国際的な枠組み
※3 Green Transformation(グリーン・トランスフォーメーション)の略で、脱炭素社会と経済成長を同時に実現することを目指す取り組み
※4 作る・使う・捨てる経済(リニアエコノミー)から脱却し、資源を循環させて廃棄物を最小限に抑える経済システム
出所:図表全て、タナベコンサルティング「中堅企業白書 2026」
